皆既日食



来年の7月22日に屋久島南部、トカラ列島、
奄美大島北部で皆既日食が見られます。

国内で皆既日食が見られるというのはめったにないチャンスで
この次は2035年の関東-北陸地方まで待たなければなりません。

ぼくは小学校高学年のとき、一瞬だけ天文ファンでしたが、
当時、大学で天文学科は宇宙物理学科を含めて東大、京大にしかなく、
それも学類で成績トップの人間しか行けないと知ってさめました。
まだハッブル宇宙望遠鏡などがなく、地味な電波の解析等、
目に見えないものの研究が主だったというのものめり込まない理由でした。

ただ、日食だけは見ておきたいと思っていて、まず1987年9月23日の
沖縄北部の金環食を職場の夏休みをとって見に行きました。
金環食というのは月面が太陽を完全に隠すのではなく、
周囲に光の輪を残す日食を指し、皆既日食ほどまれではありません。
(皆既日食も地球単位で見れば毎年どこかでは起きているものですが)

金環食はリング部分の照度が強すぎて、直接見ることができません。
目を痛めないようにすすをつけたガラス板などを通して見るのですが
写真には写りませんでした。
環境もあまり「変わった」という感じはありませんでしたが、
木漏れ日の地面への照射が、皆リング状になっているのが面白かったです。

結局金環食ではもの足りず、1995年10月24日に起こる
東南アジアの皆既日食を見に行くことになりました。
このときは観測者が殺到すると思われたインドとマレー半島を避け、
マレーシアのボルネオ島北端を選びました。
当時はまだあまり観光地化されてなかったボルネオに興味もありました。

宿はコタキナバルにとり、オランウータンの森などを見たあと、
北部のクダッまで行く日食観測ツアーに参加しました。
日本人はいませんでしたが、同じことを考えるひとはやはりいるものですね。

クダッでは駐車場のような広場が観測ポイントになっていました。
天気は晴れなるも、雲が結構あって心配。

さて、そのときがやってきました。
太陽が完全に隠れる継続時間は2分以下。
しかしそれまでとは全く異なった光景は深く印象に残りました。

ダイヤモンドリングと呼ばれる漏れた光が消えると、太陽を直接見ることができます。
それは光というより黒く丸い影のようです。浮いているのが不思議。
周囲は薄暗くなり、風が吹いて森がざわめきます。
うまく言い表せませんが、それはちょっと不気味ささえ感じる体験でした。

来年の皆既日食の継続時間は6分と言われ、この上ない環境にあります。
興味のある方は、是非行かれてみてください。
ちなみに中国でも見られるところはあります。

リンク:雰囲気をよく表している映像


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