美術館を読み解く




*美術館を読み解く-表慶館と現代の美術/東京国立博物館
 010311まで/月休/420円

東京国立博物館の敷地内にある
表慶館という建物を使ったインスタレーション。
もともと美術館として建てられたものですが、
竣工が1908年というだけあって、
現代の美術館とはかなり異なる様式建築です。

出展者は松井紫朗、栗本百合子、谷山恭子、
高柳恵里、テレジータ・フェルナンデスの5人。
それぞれが1、2点を出展していて、
全体にゆったりとした構成になっています。

建物自体や展示室に備え付けのガラスケースを題材にしたものが面白く、
なかでも私は松井紫朗の展示にひかれました。

ひとつは建物中央の円形吹き抜けのホールの
2階の回廊部分から黄色いじょうご状の膜を垂らすというもの。
1階からはそのじょうごが邪魔して吹き抜けが見渡せないのですが
垂れているじょうごの出口に頭を入れると
とたんに上部にきれいなドーム天井が広がります。
普段何気なく見ている風景が、額を通して見ると
急に新鮮に見えてくる、そんなかんじで、
美術が空間とうまく対話している作品です。
2階から膜を見下ろした感じも面白い。

もうひとつはガラスケースのなかに両端がじょうご状のチューブが
ガラス面につっぱるようにして展示してあるというもの。
よく見ると、じょうごが接した部分のガラスが円形に切り取られており
ガラスケースの手前と裏に棒状の空間が貫通していることに気付きます。
ケースの外から見る中(内)のものが見られるもの、
つまり展示であるというのが一般的な見方ですが、
チューブの内部は外なので、そこで内-外の関係が捻れて
あいまいのものとなっているところが興味深いです。
またチューブを通した音も遠近感のズレがあって面白い。

テレジータ・フェルナンデスのガラスケースのなかに
ミニチュアの砂丘をつくり、ブラックライトを当てた作品もきれいでした。
全体の照度をもっと落として、砂丘だけが浮かび上がるようにすると
もっとよかったかもしれません。
時間と共に少しずつ変化させるというアイデアもあるかも。


(01/03/05 h.taki)



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