直島コンテンポラリーアートミュージアム




*直島コンテンポラリーアートミュージアム/香川県香川郡直島町琴弾地
 087-892-2030/8:00-20:00/無休

ベネッセが運営する宿泊施設を併設した美術館。
泊まらなくてもギャラリーは見られるようですが、少なくとも1泊することを勧めます。
生活空間に美術があるかんじはとてもいいです。

瀬戸内海に浮かぶ島の中腹に安藤忠雄による建築が埋めこまれています。
遠くに瀬戸大橋を望む絶好のロケーション。
作品はギャラリーの他に屋外にも展示されています。

ギャラリーは設計が安藤氏ということで、空間の強さが作品と
バッティングするのではないかと危惧していましたが、
メインの部分は割り切って白く塗装され、
伸びのある気持ちのいい展示空間となっていました。

一方、円形の吹き抜け空間はコンクリート打ち放しのままで、
ブルース・ナウマンのネオンによる作品だけが置かれ、
巨大な空間と対峙していました。
ここは照明は使わず、トップライトによる採光のみなので
夜は闇にネオンが浮かんで奇麗です。
プログラムが一巡してすべてのネオンがつくのは圧巻。

展示作品は屋外のものを含めると50近くあり、見応えがあります。
私はトーマス・ルフ、デイヴィッド・ホックニー、ドナルド・ジャッド、
柳幸典、ブルース・ナウマン、ダン・グラハム、草間彌生といった
作家の作品が気に入りました。

特にお勧めは、ここでしか見られないであろうという意味で
ブルース・ナウマンとダン・グラハムあたりでしょうか。
ダン・グラハムの作品は以前ミュンスターの美術展にも出展していた
ハーフミラーガラスによるインスタレーションの別バージョン。
ガラスで円形に囲った空間をさらにガラスで2分しただけのものなのですが、
山側のスペースに入って海側のスペースにいる人を見るとあら不思議。
自分と相手がともに透き通って見えます。

直島島内の少し離れた場所では「家プロジェクト」というものが進んでいます。
古くからの家屋が多く残る集落の一部に手を加えて作品を作り上げるもので、
現在はジェームズ・タレルの「南寺」と宮島達男による「角屋」が見られます。

「南寺」は安藤忠雄による黒い木造の建物の中の
漆黒の暗闇の中、白い矩型が浮いているというもの。
過去にもいろんなところで製作されている氏の代表作ですが、
今回は矩型の光ががなり弱く、モノトーンであることが特徴です。
目が暗闇に慣れるまでの10分ほどは本当に何も見ず不安になるほど。
ある瞬間からぼんやりと浮かび上がる矩型はエッジがぼやけていて
無彩色であることと相まって、墨絵のような印象がありました。
伝統的な家屋が立ち並ぶ場所ならではの作品です。
安藤氏の建築もスケールが抑えられていていいかんじで、
近年建てられたものでは秀作の部類にはいるでしょう。

「角屋」には4点の作品があるのですが、
屋内に張った水盤のなかにデジタルカウンターを散らした作品と
格子窓の内側の曇りガラスに透明のデジタルカウンターを
組みあわせたものがよかったです。
前者は以前、表参道で開催された「水の波紋」に出展されていたものの
スケールを大きくしたもので、水に揺らぐ光ははかなげで美しいです。
後者は電気を通すと透明-曇りと変化するガラスを用いているのだと思いますが
技術的な苦労を感じさせず、とてもきれいに仕上がっていました。
曇りガラスを通した白い光は空間に、和的でありながら現代的な雰囲気を与えていました。
ともに歴史ある民家との融合、対比のバランスが絶妙で、
煤けた空間を透明感あるものにみごと変容させていました。

現在工事中の内藤礼による「きんざ」は今年夏ごろに完成予定。
氏によると、今回は美術家と建築家の関係が一心同体のようで、
お互いの職能の垣根を取り払っているという点で、
既存の2作とは異なった作り方になっているとのことでした。
ちょっと期待してしまいます。

ところで直島名物といえば「山本うどん店」の肉うどん。
肉汁が甘めで意表をつかれますが、麺には腰があり
すりおろし生姜との取り合わせが絶品です。
ぜひ。


(01/02/20 h.taki)



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