見えない境界




*見えない境界/光州ビエンナーレ2000<アジアセクション>日本巡回
 宇都宮美術館  http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/
 001022まで/月休/9:30-17:00/800円

宇都宮美術館に行くのは初めてですが、
なんとも交通の便の悪いところにあるものです。
しかもアクセス路の手前は港北ニュータウンのような
新興住宅地で、いかがなものでしょう。
美術館の周辺は公園になっているのですが、
美術館の他に施設もなく、人はまばらです。

展示のほうはアジア10ヵ国1地域の21人による企画展示と常設。
企画展は今年の光州ビエンナーレの展示を一部入れ替えて
日本に持って来たものです。

全体に既視感を覚えるものが多く、目新らしい感じはあまりしません。
また例えばジャン・シアオガンの全体にぼやけた感じのなか、
眼球だけがつややかな人物画は透明感があり魅力はありますが、
人間に対する紋切り型な批判など、視点が単調で閉じている感じがします。
これはクリシュナ・ムルティのモニターで蟻が働く様子を
じっと見ているライオンのような架空の動物の列、
という作品などにも感じられます。
風鈴やモニターから流れる音、照明の当て方や影など、
なかなかの雰囲気を醸し出してはいるのですが。

いろいろと地域ごとの事情はあるにせよ、
体制や現状に対する批判としての美術であるより、
一歩進んでその先をどう描き出すか、
そういう前向きでポジティブな姿勢のほうが、
今は共感を得るように思います。
例えばアイロニーよりユーモア、という感じで。

そういう意味では、ただ空と雲を描いたカン・ウンの作品や
髪の毛で万国旗を描いたグー・ウェンダーの展示あたりのほうが
先につながっていくのかもしれません。

常設は目玉のマグリットの「大家族」以外は平凡でした。

付属のレストランでは時間が遅くてランチには間に合いませんでしたが
チーズケーキはおいしかったです。


(00/10/10 h.taki)



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