交錯する流れ




*交錯する流れ MoMA現代美術コレクション/原美術館
990530まで/11:00-17:00(-20:00金)/月休/1000円

コレクション展なので展示全体のまとまりのようなものはないのですが
幾つか面白い作品もありました。

出展者は荒木経惟,John Baldessari,Matthew Barney,Douglas Brau,
Waltercio Caldas,Katharina Fritsch,Robert Gober,Felix Gonzalez-Torres,
David Hammons,Jac Leirner,Glenn Ligon,Boris Mihailov,David Moreno,
Bruce Nauman,Luc Tuymans,Sue Williams,Steve Wolfe

John Baldessariはインクジェットで出力した
クリップの写真の下に「AND」という文字。
さらに「ゴヤシリーズ:そして」という題名がついていて、その素っ気なさと
脈絡のなさが、安易に読みとれない謎めいた雰囲気を醸し出しています。
古くからある手法でありながら、機械を用いた表現方法やシンプリシティが
むしろ現代的な印象を与えていました。

Douglas Brauは人の後ろ姿が映っている風景写真や風景画を集めて
それらをフレームに入れてずらりと並べた作品。
昔から世界中の人々は風景を見ながら物思いに耽り、
また、そういう行為に魅力を感じていたのだなあとしみじみ感じました。

Katharina Fritschの今回の展示はおとなしめでちょっと残念。

Robert Goberは4点出展していましたが、壁から斜めに男の足が生えた作品が
とてもリアルで不気味な感じが気に入りました。

Felix Gonzalez-Torresは見たかった「Perfect Lovers」が出ていたので満足。
二つ並べられた時計の秒針のずれが、少しずつずれていくのが運命のような
カップルの心理を暗示しているようで興味深かったです。
「Placebo」も出展されていましたが、以前に水戸芸で展示されていた時と比べ
展示室の面積が不足している感じがいまひとつでした。

Glenn Ligonの作品は黒くタールのようなもので塗られたカンバスの上に、
アルファベットの文が盛り上がり浮き出ている、というもの。
それは例えば、消失した教会の壁面からいつのまにか聖書の文字が浮き出てきて、
それを切り取って展示にしたような感じで、宗教的な印象があります。
そのあたり、遠藤利克氏の作品と通底するところがあるかもしれません。

David Morenoの作品は今回の展示のなかでイチオシ。
スピーカーの仕込まれた板の上で笑顔の赤ちゃんの写真が
くるくると回りながら移動しています。
その動きは赤ちゃんか踊っているようでユーモラスですし、
写真をくるくるとスムースかつランダムに動きまわらすために
技術的にかなりの工夫がされているように思うのですが、
その熱意と赤ん坊の写真一枚のギャップがナンセンスな感じがして
気に入りました。

Bruce Naumanは「Think!」と連呼しながら
上下運動する男の映像を組みあわせたビデオ作品。
まるで拷問をされているような痛々しさは、
見ていてこっちの身体にまでダメージを受けそうです。
痛々しさを表現させたら氏のビデオは天下一品。


(99/05/24 h.taki)




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