草間彌生




*草間彌生 ニューヨーク/東京
東京都現代美術館/990704まで/10:00-18:00(-21:00金)/月休/1000円

初期の作品から最近作まで網羅されており、
展示方法も一部凝っていて、楽しめます。

初期の作品ではその早熟な才能に驚かされますが、
やはり見所はその日本近代的な作風から一転した、
モノトーンの網目作品と銀色のソフトスカルプチュアでしょう。
抽象的で緻密、静かで自然がつくりあげたような存在感のある網目作品と、
直接的で笑みを誘うユーモアがあると同時に
悪夢のようにグロテスクなソフトスカルプチュアが、
対照的で興味深かったです。
その他では市販のシールを無数に張り付けた平面や
内臓を思わせる赤く着色された軍手をもちいたスカルプチュア、
ネオンと鏡を組みあわせた覗き部屋などが魅力的でした。

ただ、本当に質の高い作品が生み出された時期は限られていて、
この展示のカタログは巡回展が取り上げた1958-1968年のニューヨーク
在住時期のものと、それ前後のものとに分かれているのですが、
自分が魅力的と感じる上記のような作品は、ほぼすべて前者に含まれています。
近年でも網目作品やソフトスカルプチュアは作り続けられているようですが
技巧面ではともかく、作品から受けるインパクトは比べようもありません。

氏は網目作品とソフトスカルプチュアという偉大な発明をしましたが
それがなぜ偉大か、どこが偉大なのかを客観視できなかったのかもしれません。
それとも単にその偉大さに踏みつぶされ、次の一歩を見失ってしまったのか。
私は類似した作家人生として、ジャスパー・ジョーンズを連想しました。
偉大な発明は必ずしも作家の人生を幸福にしないのでしょうか。
いや、それはまだ人生の半ばあたりを生きている自分らが、
社会の立場から想像して思うことで、本人は幸せなのかもしれない。
ただ作家個人と社会が徐々にずれていき、作家がそれを気にしないのならば
それはただの大きなお世話なのかもしれないですね。


(99/05/10 h.taki)




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