なぜ、これがアートなの?




*なぜ、これがアートなの?/水戸芸術館 /990321まで

展示内容はいわば現代美術館の常設展のようなものですが、
展示方法は幾つかのテーマごとにブロック分けされたものとなっており、
さらにキャプションの類のものが排除されています。

単体の作品ではソフィ・カル、ヘレン・チャドウィック、
リチャード・セラといったあたりの作品が気に入りました。
全体的に自分の好みに近いものが多くて嬉しかったです。
なかでもヘレン・チャドウィックのチョコレートの泉は
その臭いを含めて強烈でした。

展示方法は、まあ賛否両論あるのかな、という感じを受けました。

テーマがある分、とっつきやすく、また単体の作品では見えてこないような
解釈が得られる可能性があることはよいことだと思います。
この点、特に現代美術に日常、縁のないような人達にとっては
現代美術へのひとつの導入路として有効な展示方法かと思います。
キャプションがないことも知識が少ない人には効果的ですし。

一方、個人個人の作家がパーソナルに追及していることは見えづらくなり
一種「みもふたもない」ような印象も受けました。
企画者自身は、観客をあらかじめ決まった答えに導くような意図を
持っていないことは、彼女のトークを聞いていて感じましたが
具体的な展示にしてしまうと、観客はそれぞれひとつの回答を探し出して
そこまではいいのですが、そこから先の思考、多様な解釈を
停止させてしまう恐れがあるように感じました。

ただ、現代美術を見て「なぜ?」という思考をする習慣をつけるのは
いいことで、それを喚起させる試みは今のところ少ないと思いますし
世の中の展覧会というものは、やはり作家を中心としたものが
大半を占めているので、こうした展示がその対極として
少数でも存在すること自体はいいことだと思いました。

企画者のアメリアさんはいかにもパワフルといった感じのおばちゃんでした。
ギャラリートークはなかなか面白かったですが、
発言を求められるとその場で求められている「正解」を
探し出そうとしてしまうような雰囲気が、どこか学校の授業のようで、
そういうのが苦手な自分はちょっと引いて参加していました。
でもこれは企画者のせいではなく、日本人の受けてきた教育環境が
そうさせているのかもしれません。


(98/12/22 h.taki)




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