河口龍夫展




種や鉛といったモチーフは興味があるし好きなので、関心は持っていました。
実際に河口氏の作品を見るのはたぶん2回目。

私は新聞に蜜蝋を塗った作品と鉛を張ったベッドが気に入りました。
ぼんやりと霞のなか浮かび上がってくる新聞の写真や、
時間が止まってしまったようなベッドとその上に乗っている蓮の花は
ともに静謐な雰囲気を醸し出していて、私の好みです。

ただ、今回の展示はこれ以外にかなりの数とバリエーションがあって、
なかにはちょっと首を傾げたくなるようなものも幾つかありました。
一番わからなかったのは、ひまわりの種の上に乗せたマンモスの歯の化石。
あれってなに??

オープニング・レクチャーも聞きましたが、
どうやら河口氏はあまりものを考えて作られる方ではなく、
むしろ思いつきを大事にしているようなので、
この作品ごとの落差はそのあたりから来ているのかもしれません。

ついでに言うと、ものの作り方も結構あっさりとしていて、
例えば鉛の使い方なんかでも、同じ素材を使うキーファーなんかと比べて
私は少し物足りない感じを受けました。

とはいうものの、氏のセレクトする魅力的なモチーフやテーマ、
鉛、放射能、種子、生命、死、封印、停止、転写、新聞、蜜蝋、化石、水
といったものから喚起される思考はやはり興味深いものがあります。


(98/08/12 h.taki)




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