2つのフランク・ゲーリー展




*建築家フランク・ゲーリー展/21_21 DESIGN SIGHT
 160207まで/10:00−19:00/火休、年末年始休/1100円
*パリ - フォンダシオン ルイ・ヴィトン 建築展/エスパス ルイ・ヴィトン東京
 160131まで/12:00−20:00/160101休/無料

前者で取り上げるのは、ルマ財団、ルイ・ヴィトン財団、メイク・イット・ライト、
ル・ルポ脳研究所、Facebook本社、シドニー工科大学、エイト・スプルース・ストリート
後者はパリのルイ・ヴィトン財団オンリーです。

ともにスタディを含む模型が主となっており、デザインの変遷がわかるようになっているが、
実物の写真や動画はほとんどなし。唯一の現場写真は展示室奥のスライドで、結局ずっと
ここに張り付いていました。Facebook本社は竣工しているはずですが、現場の写真は1枚もない。

建築は言うまでもなく実物が一番大事です。この展示の中でゲーリーは建築が
内部空間を持つ重要さを強調していますが、ルイ・ヴィトン財団の半屋外空間を除けば
内部の様子がわかる展示はほぼないと言っていい。主張と展示がちぐはぐです。

今回の展示でわかるのは執拗なまでの模型スタディ、CATIAを使った設計手法、
コストコントロールくらいか。いずれも既知のものでいまさらという感じです。
もっともらしい解説をしていますが、MITの建物で漏水が発生したのはどう説明するのか。

またこの展示ではカタログはおろかチケットすら作られていません。とりあえずあるもので
間に合わせた感が強い。果たして本当に開催する意味はあったのだろうか?

今回の展示のベストは写真のエクスペリメンタル・エッジズという家具でしょう。
1979−82年と彼の経歴の初期に登場しています。今回の展示で、家具を作っていたら
家具デザイナーだと見られるようになったことに危機感を抱き制作を止めたとある。

が、これは嘘もしくはジョークでしょう。彼の家具は決して量産に向かないし、
それで食べていくこともできない。エクスペリメンタル・エッジズに関して言えば
ものすごく手間がかかっていて、にも関わらず制作を途中で放棄したような形に見える。

初期のゲーリーの作品はこうした未完成感や投げやり、一種の挑発などが特徴でした。
彼はわかっているはずです。あの時が最高でもうそこへは戻れないということを。
だから展示の文脈を無視してでもあの椅子を展示したのではないのか。そう推測します。


(15/10/23 h.taki)



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