赤瀬川原平の芸術原論展




*赤瀬川原平の芸術原論展/千葉市美術館
 141223まで/10:00−18:00(−20:00金土)/無休/1000円

この大々的な回顧展が始まる2日前に赤瀬川さんは亡くなっています。享年77。
70を越えたあたりで体調を崩し、3年前から胃がん、脳出血に見まわれ徐々に死んでいった
そのさまは自著、父が消えたに描かれた氏の父親の臨終を思わせるものでした。

赤瀬川さんはその活動が幾つものジャンルにわたっているひとで、まとまった展覧会
というのは過去1度しかなかった。もしかしたら今回が最後の展覧会になるのかもしれない。

なぜなら赤瀬川さんははっきりとした作家になろうとはしなかったから。
ひとりで何かをやるのではなくみんなで何かを発見して楽しんでいく人。
ニューヨークでメジャーデビューを試みた同級生の荒川修作を快く思っていなかったらしい。

あえて代表作をあげるとなると拡大千円札や零円札になり、コンセプチュアルアートに
位置づけられると思いますが、赤瀬川さんにとってはその作品性より、
それが引き起こした裁判や社会の価値観の転倒の方が重要だったのではないか。

通貨価値を問うているので反社会的な姿勢は見えます。その元をたどれば
幼少期の貧困に行き着くのかもしれません。 そしてそれは後のイラスト群に
反権力や反左翼として受け継がれますが、40歳頃からは政治的に脱色される。

千円札裁判も一見過激ですが、この対談を見るとやっぱり赤瀬川さんらしいアプローチも見える。
http://www.1101.com/okane/akasegawa/index.html

氏は社会というものを子細に観察して、◯って◯◯だよねと一見突飛のような比喩をする。
えっ?と驚いているとそこに至るまでの思考の道のりを解説され、なるほどとなる。

後期は文章作品も多く、芸術家というより発想家、発見家と言った方が適切かもしれない。
赤瀬川さんが亡くなってみんなが寂しいのはその本人がいなくなったから。
新たな作品が出なくなって悲しまれる美術家とはやはり立ち位置が違っていたのだと思います。


(14/12/13 h.taki)



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