芸術起業論




スーパーフラットの概念を提唱した現代美術家、村上隆の著した本を読んでみました。

内容を簡単に紹介すると、村上氏は欧米の美術の構造を詳細に分析して、
その文脈をふまえた上で日本の美術、主にオタク文化を説明し、位置づけることで成功した。
弟子も次々と成功していっている、という感じでしょうか。

氏の作品はものによっては億単位の金で取引され、金銭的には確かに成功したようです。
しかし本当に世界に認められたかというと疑問が残ります。
ぼくの印象ではジェフ・クーンズのようにとにかく突飛なことをやって、
それが一部の裕福なもの好きにうけただけのような感じがします。

ただ偶然にでも傑作はできている。クーンズのパピーにあたるのがマイ・ロンサム・カウボーイでしょうか。
その数は少ないので、河原温、オノ・ヨーコ、草間彌生らの大物と比べるとどうしても見劣りはします。

ぼくがこの本を読んでいて不思議だったのは、作家は成功するという欲望に忠実に行動し、
それがある程度達成されているにも関わらず、幸せそうに見えないというところです。
村上氏は平凡な容姿の肥満体で、眼鏡や服装などもお世辞にもお洒落とは言えません。
女性にはプロポーズするも断られ、50歳になる今も結婚していない様子。モテなそう。

氏は埼玉にある倉庫を借りて、集団で制作をしています。
その様子は文面から推測すると、カルトなコミューンのような印象があります。
村上氏は絶対的存在で、まるで教祖のようです。その閉じた環境では幸せなのかもしれませんが。
成功した弟子というのも聞いたこともない名前だったりします。

(12/05/10 h.taki)



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