子供部屋について




少し前のAERA(No.50)に「子供を救う子供部屋の作り方」という
記事が載っていました。
たぶん、神戸で少年による猟奇殺人がおきて、
子供の教育に対する世論の高まりを受けての記事だと思うのですが、
子供部屋を狭くして子供が篭れないようにする、
その他の共用空間を一体化させて、
常に家族の存在を感じていられるようにする、
個室に行くのに必ずリビングを通らなければならないようにする、
というようなプランが、実例をあげて取り上げられています。
この記事の中には、
ミサワホームの「センターリビング」提案も紹介されています。

ところでこうした内容ですが、
昔、建築家が書いた住宅関係の本や雑誌を読み返していると、
同じ様な提言が随分前からなされていることがわかります。

*「それでも建てたい家」宮脇檀著 新潮文庫 平成3年刊
*芸術新潮1986年7月号「現代建築の家相」清家清編 新潮社

「それでも建てたい家」一部抜粋
こうすれば、よい子供部屋ができるというノウハウ。
まず。勉強もしない子供部屋に子供を閉じ篭らせないこと。
子供がなぜ部屋に入りっぱなしになるかについては、
基本的には親子間の心と愛情の疎通の問題だけれども、
そんなこと建築の作りでどうこうできることではないから
この際無視する。(略)
方法は簡単、まず六畳などどいう大きな部屋はいらない。
精々四畳あれば十分、それでは勉強机が置けませんというでしょう。
そうです、四畳というのはベッドと最小限の洋服箪笥置けば一杯になる広さ。
つまり、狭くして寝るだけの独房のような部屋にすることが第一。

「現代建築の家相」一部抜粋
(金属バット殺人のあった家のプランについて)
二人の息子は二階に一部屋ずつ自分の部屋を持ち、
一家四人がばらばらの寝室にいた。完全な家庭内別居ですね。
玄関から直接二階に上がれるというのは、設計上仕方のない場合もありますが、
コミュニケーションの少ない家庭では、
親子の断絶がますます深まる要因になります。
(子供部屋について)
小学校が終わるまでは、子供部屋は必要ないのです。
小さい頃から個室を持たせると、大切なコミュニケーションに欠けて、
子供にとって有害ですらあります。(略)
勉強部屋ならば、書斎と同様、北向きの部屋がいい。
南向きの居心地のよい快適な場所ではないほうがいいのです。

住宅メーカーが商品化するのは、世論の大半が賛同するような状況になってからです。
これは事故が起きてからようやく信号を設置する行政と似ているかもしれません。
建築家はそうしたブームと距離を置いたところで
これまで様々な視点から住宅のプラン、流通、生活などについて提言をしてきています。
興味のあられる方は一度、大きな書店の建築書コーナーの住宅に関する書籍を、
手にとってみてはいかがでしょうか。
上に紹介した清家清、宮脇檀両氏は住宅設計のベテランですし、
石山修武氏の著書もちょっと癖はありますが面白いかと思います。



(97/12/06 h.taki)




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