杉本博司




*杉本博司 時間の終わり/森美術館
 060109まで/無休/10:00-22:00(-17:00火)/1500円

白く飛んだスクリーンの映画館のインテリア写真で知られる写真家の個展です。
53階の展示室をすべて使い、4か月間の会期という破格の条件ですが、
作家はそこまで認められているのか、自分の認識とギャップがありました。
カタログも分厚く立派で7000円!だったと思います。

「劇場」の長時間露光による映像と観客の消去は
オリジナリティのあるアイデアで、当初感心した覚えがあります。

その後、水平線で画面を上下に2等分する海と空のモノクロ写真に触れ、
なかなか日常では感じられない自然の雄大さを感じましたが、
抽象画家のマーク・ロスコとの類似が気になっていました。

今回、それ以外に幾何学立体の写真とスカルプチュア、
動物のジオラマの撮影、三十三間堂の横に長い仏像群の写真、
古い肖像画を写真で再現した作品、白く塗られた内壁の陰影の抽象的カラー写真(?)
近代建築のぼやけた撮影写真、神社とガラス階段のインスタレーションの模型など
多様な活動が紹介されています。

展示空間も作家によるものだそうで、特に第1室の古典建築を想起させる
大きな壁柱が立った空間はよくできていると思いました。
写真作品にもかかわらず、トップライト(あったんだ!)による採光をとったり
意外な才能を見せてくれています。

しかし肝心の写真のほうは一貫性がなく、オリジナリティにも疑問が感じられ、
肖像画は森村泰昌、室内写真はジェームズ・タレル、
ぼやけた写真はゲルハルト・リヒター、スカルプチュアはブランクーシとイサム・ノグチ、
その写真の陰影は田原桂一など、類似したものを多数見かけました。
神社のガラス階段も写真と模型で見る限り、プロポーションがよくない。

展示室ごとに作家によるテキストが掲げられていて、いろいろと考えてはいるようですが、
「劇場」以外では「写真的発見」までは至っていないのが現実だと考えます。
何を主題とするのか、一度立ち止まってみた方がよいのかも。(すいません、偉そうに)


(05/09/28 h.taki)



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