やなぎみわ




*やなぎみわ 無垢な老女と無慈悲な少女の信じられない物語/原美術館
 051106まで/月休/11:00-17:00(-20:00水)/1000円

エレベーターガールのシュールな写真から12年余り、やなぎみわの新作です。
モノクロの写真作品が主ですが、映像作品も3点出展されています。

展示全体で共通するのは、少女と老婆の仮面を被った少女の共存と対比。
出てくる人物はすべて外国(スペイン?)人です。
写真は主に西洋童話の1シーンをモティーフとしているようで、
少女の一部が老婆の仮面を被っていて、不気味な雰囲気をかもしだしています。

少女と老婆というのは、生まれながらにして子供を産むという存在意義が与えられている
女性という性のなかで、その役割を果たさない、自意識だけが存在する時期という点で
相通じるところがあるのかもしれません。
立場的には似ているのに、しかしその経験値の差と身体的衰えなどから、
両者の間には嫉妬や軽蔑など(もちろん愛情も)様々な感情がうずまいているのでしょうか。
それが写真から感じる不気味さや違和感につながっているのかもしれません。

映像作品では、少女の足と老婆の手を持つ、イスラムのチャドルを思わせるような服装、
頭部に大きな黒いテントを被り、上半身をやはり黒いドレープで覆った
「砂女」という形而上絵画から抜け出てきたような神秘的なキャラクターが出てきます。

2階最奥の「砂女」の映像にはストーリーがあって、ひとつの寓話のようなものを
かたちづくっていますが、ちょっと稚拙な印象を受けました。
それより1階の第1室のモノクロで白を飛ばしたような、ストーリーのない、
幻想的な映像作品の方にひかれました。

今回、作者は「日本」をばっさり切って、西洋のメタフォリカルな世界に挑戦しています。
それは難度の高い冒険で、真の力量が求められるでしょう。
今回の展示では、半分成功、半分力量不足との感触でした。
この方向で果たして成功するのか、これからもお手並み拝見させてもらいましょう。


(05/08/18 h.taki)



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