河原温




* 河原 温 /東京都現代美術館 /980405まで 10:00-18:00 月休 /700円

展示も展示の仕方もよかったです。
去年、フランクフルトで見た時はあまりピンとこなかったのですが、
今回は1964年以降の仕事がまとめて見られて、とてもわかりやすく感じました。

生活や行動を要素に分解して、それを数値化、記号化して整理していく。
ペインティングを作成したかどうか、どんなタイプのペインティングだったか。
いつ起きたか。どこを行動したか。誰と会ったか。何を読んだか。
さらに自分が生きているかどうかさえ0-1の記号に還元する。

そうすることによって人生が、その時間が客観的に分析されて把握される。
感情の入らない均質な時間の流れ。
自分が生まれる前も、死んだ後も、生きている間も時間は均質に流れ続ける。
我々の生はその時間のほんの一部をシェアしているに過ぎない。
そしてその生も一見複雑のようでいて、起きて、行動して、働いて、
人と会って、文章を読んでと、実は同じ様なことを繰り返していることがわかる。

そこまで単純化すると逆にはみ出てくるものも見えてくる。
例えばアポロ計画の月着陸の日付。
月の日付と地球(アメリカ)の日付は同じでいいのだろうか?
また、「会う」というのはどこまでの範囲を言うのだろう?
それから、2度寝した場合はどうするのだろう?
そうした「ほつれ」もまた興味深い。

私はそんなことを感じて、
私自身そういう考えが好きなので、面白く見て回りました。
白い壁面に均質に配置されたデイトペインティングのドライな感じも好きです。

ちょっと気になったのは、新聞の切り抜きの展示。
そこには記事の選択があって、恣意性が見え隠れしています。
デイトペインティングの箱は「作品」ではないらしいですが、
ない方がスマートではないかなあ。
こうした展示はベタついた「人生の記録」の方に重点が移りがちかと思いますが、
温さんには最後までドライに撤して欲しいものです。



(98/02/05 h.taki)




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