アーキグラムの実験建築




*アーキグラムの実験建築1961-1974/水戸芸術館
 050327まで/9:30-18:00/月休0322休/800円

1960年代に活躍した建築家グループの回顧展です。
建築家と言っても、架空のプロジェクトがほとんどで、
当時に実現した作品はないと言っていいでしょう。

いわゆる「作品」は設計図というより、
写真、テキスト、図面、パースが入り交じった
コラージュのような形をとっていて、
当時のフラワー・ムーブメントやサイケなどの影響が見られ
ひいては体制-反体制という世界的な学生運動に
つながっているものだったと考えられます。

社会が自由を求めたのは、それ以前にもありました。
モダニズムは元来、そうした運動だったはずですが、
いつの間にか形式的、保守的になってしまっていて、
アーキグラムはそれに対する楽観的なアンチテーゼで
あったと思いますが、20世紀をトータルに長い目で見ると
ひとつの「流行」だったという表現が適切かもしれません。

今回の展示は、かなりつくりこまれていますが、
パネル展示が主で、それが何を表わしているのか、
読みとりづらいものが多いように感じました。
作品をできるだけ小難しく見せるという、建築特有の価値観
がそこに見えますが、実作ではできない、2次元平面
だからこそできることを追及した結果なのかもしれません。

今回、6人のメンバーのうち、存命中の4人が来日し、
水戸芸術館でシンポジウムを開きました。
なかなかない機会なので、自分もミーハー気分で
聞きに行きました。
前半で各メンバーがリレー形式でレクチャーをして、
後半で磯崎氏、五十嵐氏という日本の建築関係者を交えて
ディスカッションが行われました。

最初はなんとなく面白いことを期待していたのですが、
だんだん、何を語らいたいのかわからなくなりました。
グループのスポークスマンだったピーター・クックは
まるでウディ・アレンのように早口でまくしたてて
ひとりで元気でしたが、これは最近、ようやくアーキグラム
という伝説から逃れて、大きな実作を発表したばかりという
タイミングがあってからこそ、と見えましたし、
その他のメンバーは一様に冷めぎみで、
特にデヴィッド・グリーンに至っては、クックに対して
皮肉的な発言をしたりしていました。

考えてみると、グループとして活動していた時期から
もう40年がたとうとしていて、各個人も単独で設計なり
教職なりをしてきた期間の方がずっと長くなって
いるので無理もない話です。
クックはメンバーがみんな違った個性を持っていたから
アーキグラムは面白かったのだ、というような発言を
していましたが、今では本当にばらばらになっていて、
なんで今さらそんな古い話をするのか、という雰囲気が
出ていたのかもしれません。

終ってみて、言葉は悪いかもしれませんが、
「化石」を見ていたような印象を受けました。
たぶん今だったら、オランダの建築家、クールハースの
話を聞くほうが100倍、刺激的でしょう。

クールハースと磯崎氏との1989年の対談から
クールハースの発言を以下抜粋します。
時は流れて、諸行無常?

--その時は1968年。AAスクールはアーキグラム・グループと
フラワー・チルドレン達によって完全に支配されていた。
はじめての授業の日、理論的指導者になっていた
ピーター・クックがこういったのをおぼえている。
「建築について、何も心配するな。俺達が君の眼を
開かせてやるからね!」こりゃ恐ろしいところに
きちゃったなと思ったんだ。--


(05/01/24 h.taki)



back