ブラジル:ボディ・ノスタルジア




*ブラジル:ボディ・ノスタルジア/東京国立近代美術館
 040725まで/月休、0720休/10:00-17:00(-20:00金)/650円

9人の作家による現代美術展。

こういう国単位の展示になると、その固有の文化、社会を反映したものを
無意識に期待してしまうことを再認識しました。
その国に関する情報が少ない場合は特に。

ブラジル人だからラテン系の情熱を、先住民族との歴史を、
疲弊した経済を、悪化した治安を取り上げる必要はない。
他国人からどう見られるか気にせず、敏感な感受性と問題意識を持って
クオリティの高い作品をつくって、世界に踏み出していっていいと思います。

そう思ったのはブリジダ・バリタールの「霧の収集」という作品を見たときで、
題そのままに、少女がもやにかすむ草原で、フラスコに霧を集める写真なのですが、
その繊細さは他国の若いひと、特に女性のそれと変わらないように感じました。

エルネスト・ネトの、巨大なストッキングでできたような空間の内部を
通り抜けるという作品も、荒川修作を連想するものの、オリジナリティがあって
「ブラジル」を掲げなくても十分通用するものになっていました。

しかし、それでも最もインパクトがあったのは、ブラジルの現実社会を取り上げた
ディアス&リートヴェークによる作品で、
正面の壁にはプロジェクターによる大きな映像が2つ並んでいて、
ブラジル市民、特にスラム住人やストリート・チルドレンなど貧困層の人々の
インタビューなどが流れている。
また部屋の中央にはひとの手足を型取った乳白のオブジェ(宗教的な意味があるらしい)
が無数に矩型状に敷き詰められています。

まず作品の高い形式性による強度と、現代的なニュートラルな美意識が突出しています。
これは現代美術としては本質というか、必然ではないのかもしれませんが。

その上で社会的なメッセージもあり、また市民への「愛」のようなものも感じました。
これは、いい。
同作家の他の作品も見てみたいです。

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近代美術館は、改装されてから初めて常設展示を見たのですが、
あれれ??
吹き抜け+展示室をブリッジ状につなぐ階段ってなかったっけ?
展示室の床の細かな暗色のフローリングとかのセンスは買いますが、
もし記憶に違いがなければ、この建物殺したようなもの。
何の必要があって、こんなことをしてしまったのだろう?



(04/06/14 h.taki)



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