日常茶飯美




*日常茶飯美-Beautiful Life?/水戸芸術館
 020331まで/月休/9:30-18:30/800円

10人の作家の「日常」という視点による展示。
テーマからの連想で、もっとこまごました、
未完成な作品が多いのではないかと想像していましたが、
予想はいい意味で裏切られ、全体に完成度は高く、
最近の水戸芸の展示のなかでも、良質な部類に入るのではないでしょうか。

まず会場構成がうまいです。
照明を含めた、光の質や量のコントロールもきいていて
メリハリのある展示となっています。

展示は「日常」的な素材を用いたり、「日常」的な風景を切り取ったり
またそれを異化させたり、と「日常」というテーマに対して
いろいろな切り口を見せていて、興味深かったです。
主題設定がうまくいったのでしょう。
少し大げさですが、テロや不況で将来的な不安が拡がるなかで、
「日常」というのは、ひとつの救いの方向たりえるのではないか、
とも思いました。

最もそれを強く感じたのは、ジュリア・ロクテフの作品。
横長のスクリーンに対面してベンチシートが据え付けられ、
座って手元のヘッドホンをつけると、正面のスクリーンに映し出される
地下鉄の乗客、ひとりひとりの内面のつぶやきが聞こえてきます。
電車のなかの見ず知らずの人々が、みな異なったことを考えていて、
それはお互いに理解し得ないものなのかもしれないのだけれど、
しかし、みんな同じく「日常」をかかえて、
日々「生きて」いるのだということを、しみじみと実感する展示でした。

伊達伸明の、取り壊される建物の一部の建材をウクレレに加工して保存する、
というプロジェクトは、美術と呼べるのかどうかわかりませんが、
普段、意識しない「日常」がある日突然断ち切られることにより、
あらためてその大切さが浮かび上がってくる。
それをなんとかして残していきたいという想いがあふれていて、
目をひきました。

「日常」を異化させるという点では、西野竜郎の展示が面白かったです。
水戸芸に隣接するビルの屋上にある給水タンクを取り囲むように
部屋(和室)をつくり、タンクを床の間の置物として見せる、というもの。
普段あまり意識しない構造物が、「日常」的風景とスケールのなかに
突然、放り込まれる様はシュールでばかばかしくも、楽しい風景です。
このばかばかしいことの実現に対する多大な労力に敬意を表します。


(02/02/18 h.taki)



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