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キョンの旅『人を食った話』(旅人役の声優に佐川君抜擢)できょん |
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少しばかり困ったコトになりましたよ。
体重を落としてる途中に 夏カゼひーたワケですよ。
とりあえず 『怪我と病気は食べて寝てりゃ治るシステム』で治しましたよ。
普段ドーリの食生活に戻したんでございますが やっぱり病中ですよ。
ちょっぴり軽くなっちゃいましたよ。
そんでもってワンプライス。
さすが青春真っ只中。
ニキビがデキまくりだったんですよ。
アゴの辺りに。
だからヒゲ剃ってツルツルにしてましたよ。
そんで義理のパパン上京に合わせて 髪の毛の色を黒くして ついでに夏だから短く刈り込んどいたワケですよ奥さん。
夏カゼ良くなって 鏡を見たら目の下にクマ出来てましたよ。
まいりましたよ。
この状況が全部ミックスされたら『高倉健』にソックリになっちゃいましたよ。
「自分っ不器用ですから」
ほら 声までクリソツ。
そんで肉体美と美少年に目がナッシングでございましょう?
完全に『高倉健』ですよ。
どうしようかと思ったけど とにかく鉄道会社の求人募集を探してみますよ。
ここまでキたら 行くトコまで行ってやりますよ。
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『夏カゼひーてグワイ悪いので1〜2日休むついで特別企画』
愛する『なおなお』に捧げちゃうん(はあと)
『忘れられない恋の想い出 〜完全版〜』
『第一話 ボール』
「八丈島く〜ん!ボール取ってー!」
校庭で雑草を口に咥えて 煙草の吸えない口寂しさを 紛らわしていた時だった。
ふと見るとクラスメートの数人が バレーボールに興じている。
声の主は『美里恵美』だった。
その周りにいる女性徒達は どこか僕を恐れている様子でいる。
プイッとそっぽを向いた。
その頃の僕は 誰とも関わらない事で自我の確立をしようと必死だったように思う。
「ほら やっぱり」
一人の女生徒のひきつった声が聞こえた。
気にする事もなく また目を閉じて明日の事を考え始める。
スタスタと近付く足音。
耳に走る急激な熱さ。
驚いて目を開けると『美里恵美』の困ったような顔。
「ボールぐらい取ってくれても貴方の人生に影響ないと思うよ?」
少し怒った様子で 僕の耳を引っぱっていた。
「なにしやがるクソアマ!」
かなり痛かっただろう。
思い切り彼女の手を払いのけた。
「痛っ!」
そのまま手を押さえて下を向いている彼女。
クラスメートの女生徒が騒ぎ出す。
面倒は御免だ。
そのまま立ち去った。
−次の日の早朝−
夜勤のバイトを終えて 高校の始まるまでの数時間 仮眠を取ろうと 四畳半一間の部屋に向かっていた。
アパートの前まで辿り着くと いつもと違った風景が そこにあった。
『美里恵美』が立っていた。
「知らなかったでしょ?お向かいさんなのでした」
ペロリと舌を出して笑う彼女。
「え?」
いつも作っていた険しい顔が あまりの驚きに年相応の顔になる。
確かに 向かいの一戸建ての表札には 『美里OO』と書かれていた。
「なんとなく見てただけで 好きとか嫌いとかじゃないからね?」
何か 念を押すように彼女が言う。
「少し肩を力を抜いた方が良いよ。少しでも楽になると思うから。これから毎日の食事の支度は 私がしてあげるから」
あっけに取られた僕は つい「ああ頼む」と言ってしまった。
ここから悲しい恋の物語が始まる事も知らずに。
『第二話 ピーマン』
それから二週間。
夜勤から帰ると食事の用意がされていた。
盗まれる物など何も無い部屋だ。
鍵など掛けていなかった。
『美里恵美』は 約束したとおり 朝食と夕食の支度を続けていた。
夜勤から戻ると いつも不器用な手作りの料理が並んでいた。
夜のバイトまで数時間 独りで時間を潰していた寂しい部屋だった。
それが 心安らぐ時間に変わっていた。
『美里恵美』は 僕の休んでいる間に夕食の支度をするのだった。
不思議な人だった。
世界中を拒もうと必死に努力していた僕を あっと言う間に友人とやらにしてしまった。
「八丈島君は どうして一人暮らししてるの?」
そんな事を平気で尋ねてくる。
その無邪気さに嫉妬していたのかも知れない。
君のような人間には 知らない世界があるんだと突き付けてやろう。
そんな醜い嫉妬が芽生えた。
窓から見える幸せそうな彼女の自宅を見ながら呟く。
「OOOOOO」
サラリと言ってのけた。
きっと驚くだろうと思っていた。
しかし 逆だった。
驚いたのは僕の方だった。
「ふーん。あ、ピーマン食べられるよね?」
彼女に話した内容は とても聞き流せる内容じゃないはずだった。
この話を利用して 年齢などを誤魔化せない賃金の良いバイトに 何度か入り込む事にも成功している。
かなり珍しい いわゆる『お涙頂戴残酷物語』なのだったが 彼女に取っては 野菜炒めのピーマンが無駄にならないかの方が気に掛かるようなのだ。
初めての反応に絶句していると もう一度『美里恵美』が尋ねる。
「あの ピーマン食べられないの?もしかしておこちゃま?」
振り返ると何事もなかったように 僕を からかうように笑っている。
「食べられるよ ピーマン」
なんだか不思議な気分だった。
「そう 良かった」
鼻歌まじりに料理が再開された。
ほんの少しだけ僕は変わっていた。
学校で独りでいる事が減った。
隣には『美里恵美』がいた。
「友達いなくなっちゃうぞ?」
それは本気で心配だった。
もう彼女の顔から 笑顔が消えて欲しくないと想うようになっていたからだ。
「そうなったら責任取って 八丈島君が ずっと友達でいてよ」
にっこりと笑う彼女。
本当に不思議な人だった。
ささくれた僕の心が 少しだけ丸い形に整い始めていた。
『第三話 チキンカレー』
「美里さん」
地が出ていた。
心を許した相手『美里恵美』。
精一杯 捻くれていて誰も寄せ付けない自分を 彼女の前だけでは演出しなくなっていた。
「なあに?」
今でも忘れない。
鶏肉の入ったカレー。
それを作りながら振り返る彼女。
「こんな事しててさ その、、、親とか大丈夫なの?」
一ヶ月と少し。
二人の時間が経過していた。
こんな疑問 当たり前に始めから抱いていた。
ただ 初めは生活の負担を減らしたくて。
それからは心の安らぐ時間を失いたくなくて。
ずっと聞けないままでいたのだった。
さすがに地で関わり続けていると どうしても相手の事が心配になってしまう。
「うち来てみる?」
そう言うと 二人分のチキンカレーにラップを掛けて 『美里恵美』は自宅へと僕を招いた。
さすがに戸惑った。
どんな顔をして『美里恵美』の家族に会えば良いのか。
そもそも異性の部屋に招かれる事も初めての経験だ。
そんな不安を抱えながら 美里家に吸い込まれて行く。
何故か彼女の言葉と行動には どこかしらの安心感のようなものがあった。
不安を抱えながらも躊躇なく入れてしまった。
少し雰囲気の暗い家だった。
玄関の閉まる音を聞いて 年配の女性が顔を出した。
自分を演出するのか 地のままで行くか躊躇していた僕は とても苦しい出来事を体験する。
「恵美のお友達ね!?」
彼女の母親だった。
「ちょっとお話があるの!」
少し興奮した様子だ。
僕は この数ヶ月の行動を責められるのだろうと思っていた。
『美里恵美』は一言だけ母親に言った。
「よして」
それは 初めて見る彼女の冷たい視線と 感情のこもらない声だった。
その言葉を無視するように 彼女の母親は話し始めた。
切羽詰った狩人のようなスピードで。
彼女の母親の信じる神様の話だった。
どうしたら良いのか分からない数分間だった。
その話を玄関で立ったまま聞いていた。
「カレー冷めちゃうから私の部屋に行こう」
まったく母親など目に入らないかのように 僕の様子だけを窺っていた『美里恵美』が手を引く。
簡単な説明をされた。
どこかの神様に心酔した母親。
食事などは その神様の洗礼を受けた物だけを食べるようになった事。
それを家族に強要するようになった事。
生活費が母親の信じる神様の供物になって行った事。
同じ神様を信じろと言い始めた頃 父親が家を出た事。
父親は生活費を『美里恵美』にだけ教えた口座に振り込んでいるそうだ。
「わりと自由にお金が遣えるのだよ」
腰に手を当てて 胸を張りお道化て見せる『美里恵美』。
あの学校での明るい顔や 僕に見せる優しさ。
そのバックボーンを知った日だった。
『第四話 ビデオデッキ』
「青い乳首の人を見せてしんぜよう」
突拍子も無い言葉だった。
今なら分かる。
部屋に入ってからの『美里恵美』は 妙に元気に振舞っていた。
照れ隠しと 恥かしさを隠す為だったのだろう。
「青い乳首!?」
あまりに重い話を聞かされた後だったから 必死に合わせて 大き目の声で驚いてみせた。
それから彼女は ビデオデッキにテープを入れた。
「ちょっと待っててね?」
ニヤニヤとしている。
再生された場面は 乳首を青く塗った男が「ハイになりましょ」と歌っている場面だった。
プッと吹き出した。
「おっもしろいでしょ〜」
もう普段の彼女に戻っていた。
当時の深夜放送で アマチュアバンドが何組か出演する流行の番組だと説明された。
「そっかぁ。土日は丸々バイトに使える稼ぎ時だから まったく知らなかったよ」
夢中で画面に登場する個性的な人々を 食い入るように見ながら呟いた時だった。
「それじゃ毎週録画してるから一緒に見ようよ!」
笑顔だった。
大人びた女性だった。
そんな彼女の笑顔が どこか幼い少女の笑顔に見えた。
思い返してみれば 何か娯楽に近い物に誘われたのは これが初めてだった。
食事の支度。
いつも間か部屋の掃除も済ませてくれていた。
ゼンソクで寝込んだ時など 徹夜で傍らにいて看病をしてくれた事もあった。
お礼に何かさせて欲しいと尋ねても「友達への慈善事業だからいいよ」と断られていた。
ゆっくり話すのは 校舎の中と一時間半の夕飯の時だけ。
恋人同士になるには少なすぎる時間。
そんな関係が変わり始めていた。
お互いの足りない物を埋め合う 同志のような関係とでも言ったら良いのだろうか。
僕は一つバイトを減らした。
代わりに 稼ぎの良い 少し法の外側にある仕事を始める。
少しでも多く 彼女と共有する時間が欲しいと望んだから。
一週間に一度。
彼女と僕は 丸一日を二人で過ごせるようになった。
僕のササクレは とても整って行き 彼女の表情は 16歳のそれに近い物に戻り始めていた。
『第五話 秘密だよ』
僕の部屋が 手狭になって来ていた。
50kgそこそこの少年が暮らすには 四畳半一間で十分だった。
そこに背の低い少女が 頻繁に訪れたとしても そんな事態は招かない。
『美里恵美』の所有物が 運び込まれ始めたからだ。
きっかけは いつも同じだった。
「ちょっと面白い物があるよ?」
僕の興味を掻き立てる様な言い様で いつも『美里恵美』が切り出す。
「どんな物?」
そう聞き返すと「秘密だよ」と言い残して自宅へ帰って行く。
次の日の早朝。
夜勤明けの僕の部屋に『美里恵美』の所有物が置かれている。
いつも聴いていると言う音楽CD。
傾倒している作家の小説。
購読している雑誌。
CDコンポ ビテオデッキやテレビまでが運び込まれていた。
お互いに 無言で通用する事柄が いつくかあった。
一度 その中から 一つを選んで伝えた事がある。
脈絡も無く切り出した。
「僕の留守の間は ここを自由に使っていいから」
いつだって どこかへ逃げ出したいと思っていた。
だから彼女にも逃げ場が必要だと思っていた。
その言葉を切っ掛けに 『美里恵美』の独りで過ごす時間は 僕の四畳半一間が ほとんどを占める様になっていたようだ。
彼女の楽しいと思う物ばかりが並ぶ部屋。
それを僕は 彼女のいない時間に楽しむ。
逢える時間は その事について語り合った。
何度か喧嘩になった事もあるくらい 白熱した議論に発展した事もある。
あの作家は素でデリケートだとか あのバンドが近々解散するだとか。
そんな当たり前の会話が 心の底から楽しかった。
そして 僕だけの密かな楽しみもあった。
早目に夜勤から戻ると 『美里恵美』の部屋に明かりが灯っている事があった。
部屋の中に入り 電気を点けないまま横になる。
すると彼女の部屋の明かりが こちらの部屋に微かに入り込む。
どこか 暖かいと錯覚しながら眠る。
彼女を感じながら眠る。
不思議と悪夢に魘されずに熟睡出来た。
後に 何気ない会話で知るのだが 『美里恵美』は 僕の部屋の明かりが消えた事を確認してから眠る 密かな楽しみを持っていたそうだ。
今だに 友達以上の関係にならずにいた僕達。
だけれども とても深い所で繋がってしまったと 互いに感じ始めていた。
ほんの少しだけ大人になる速度を どこかで狂った歯車に速められてしまった二人。
僕も彼女も 永遠など存在しないと知ってしまっていた。
だから 深く繋がれば繋がるだけ その『時』が訪れるのを恐れるようになっていた。
お互いに言葉に出す事もなく。
まるで何かを溜め込むようだった。
ただ二人の時間を貪るように楽しい事だけに使っていた。
『第六話 素晴らしい僕等』
「あのね」
週に一度。
二人で過ごせる一日。
その始まりの朝 僕の部屋を訪れた彼女の第一声だった。
体験した者だけが感じられる直感。
あの感覚が全身を駆け巡る。
「とにかく入るといいよ 寒いから」
冬の雨の朝。
彼女は言った。
「私、、、遠くに行くんだ」
その時が 二人に訪れた。
彼女の知らぬ間に 自宅が売られてしまった事。
まだ16歳の少女は 新興宗教団体の悪質な遣り口など 想像も出来なかったと呟いた。
気が付くと 自宅は母親の手で 現金に換わる事になっていたそうだ。
「私が青かったって事だよね」
スッと彼女の頬に涙が流れた。
それは二人を別つ悲しみからでなく 無力な自分に対する悔しさを吐き出す涙だったのだろう。
それが原因で ついに両親の離婚が決まったそうだ。
自分は 父方の祖父の所へ行くのだと告げた。
「お父さん ここから数駅の所に住んでいたよね?」
そう切り出してから後悔した。
その選択をするのならば 彼女は初めからしているはずだったのだから。
「お父さん、、、君が私にしない事、、、わりとする方だか、、、」
「言わなくていいんだ ごめん」
自分で引き出してしまった言葉を必死に遮った。
よく聞く話。
テレビの中だけじゃない話。
それを何度も体験しているのに それは自分や身近な人に起こる現実なんだと改めて痛感させられる。
そして若さゆえの無力も。
沢山の言葉を飲み込んだ。
僕が君の暮らす街へ行けばいいさ。
僕達 結婚しよう。
このまま二人で遠い所へ逃げてしまおう。
一緒に死のう。
総てが早熟な少年少女に取って どれも無理な事だと悟らせている言葉。
いつも 冷静でいなくてはならない悲しい習性が こんな時にまで顔を出す。
だから無言で向かい合ったままだった。
そっと彼女が音楽CDを手に取った。
『素晴らしい僕等』と言う曲だった。
いつだったか二人で笑った曲だ。
歌詞には『糞ったれだって素晴らしい』と書かれている。
「パンクバンドだから?」
そう言った僕に彼女が答えた。
「『そう誰だって素晴らしい』って歌ってるよね!」
二人同時に声を揃えた。
「きっと良い人なんだよ この人。どうしてパンクを選んじゃったんだろう?」
二人同時に吹き出した。
二人一緒に笑い続けた。
その時の曲を彼女は流した。
「八丈島君も私も素晴らしいのかな?」
ポツリと呟く『美里恵美』。
「僕は、、、それを知りたいから無理して生きてるんだ」
深い部分で繋がった二人が 初めて弱音と本音で会話をした。
「たぶん私もだと思う」
また沈黙が続く。
「きっと無駄に強かったんだよね」
長い沈黙の後 短く彼女が言う。
「だから苦しいのかな?楽になる方法なら沢山あるのに」
短く僕が応える。
まるで今まで黙っていた 二人の共通項を確かめるような会話だった。
いつしか夜になり 僕は初めて夜勤を無断で休んだ。
ゆっくりと時間を掛けて 二人だけの共通項を確認して夜が明けた。
最後の言葉は記憶の中で薄れてしまっている。
確か こんな言葉だった。
「たぶん愛してる」
「愛とかって分からないけど同じ気持ちだよ」
『第七話 つっかえ棒』
『美里恵美』の帰った後。
一人 考え続けた。
何か方法は無いか。
彼女が消えてしまう日まで 3日間だと聞かされていた。
その間に奇跡のような出来事が起こっても良いのではないか。
何か方法があるのを見落としてないか。
そんなことばかりを考えていた。
彼女の所有物は まだ部屋に残されたままだ。
電気を消せば あの彼女の部屋から零れる 微かな明かりも感られる。
必死に足掻いた。
部屋から出る事も無く考え続けた。
『美里恵美』の部屋から零れる微かな明かりだけが まだ二人の繋がりを残す証のように感じられた。
2日目の朝だった。
おかしな事に気付いた。
二人の繋がりを残す証。
彼女の部屋の明かりが点灯したまま消えない。
部屋を飛び出して向かいの玄関をノックする。
やつれた彼女の母親が顔を出した。
まるで幽鬼のようだった。
そして知る。
あの共通項を確認し合った日。
その足で彼女は この街を去っていた事を。
どんな気持ちだったのかは分からない。
彼女の所有物だけが 幸せの傷跡になって残った。
その年。
僕は 進級だけ済ませると高校を自主退学した。
それまでの間も まるで抜け殻のようだった。
独りぼっちで生きるのは とても楽な事だ。
何も失う物が無ければ どんな寂しさも降り掛からないから。
ほんの一瞬だけ。
ただ それだけの時間なのに。
まるで同じ魂を持ったかのような同志と出会ってしまい そして心を通わせてしまう。
全部を独りだけで支えていた所に つっかえ棒が入る。
慣れてしまうと気付かぬ内に手遅れになる。
そのリヴァウンドに耐えられる程 僕は強い人間では無かった。
暮らしは乱れてゆき それに比例して食べる物にも困るようになった。
路上生活者に落ちるまで それ程の時間を必要としなかった。
〜エピローグ〜
人生なんてチョロイもんだ。
両手に花。
これから高級ホテルとまで行かないが そこそこのホテルの最上階で食事だ。
皆が俺の体を見ては振り返る。
痩せた路上生活者の少年は 紆余曲折を経た数年後 100kgを超える筋肉の塊に変貌していた。
一睨みで道を空けたヤクザを 両手の花が笑っていた。
そして俺を称える。
悪い気はしない。
人生なんてチョロイもんだ。
あれから数年。
そう思うようになっていた。
知性の欠片も無い癖に かじった程度の詩人の言葉で会話を作る。
見た目とのギャップに 両手の花は大喜びしていた。
いつもの常套手段だ。
どちらの花とベッドを共にするか下品に考えを巡らせている時だった。
左側に赤ん坊を抱いた女性が見えた。
その傍らにはベビーカーを折り畳んで持っている男性。
泣き出した赤ん坊を あやす若い夫婦だった。
一瞬にして蘇る記憶。
どこか陰を残しながらも とても穏やかな表情の彼女だった。
体中が汚れていると感じた。
彼女越しに映ったショーウインドウの中の僕は とても醜い生き物の姿をしていた。
「ごめん 帰ってくれ」
両手の花に言い残し走り出した。
一瞬で決断していた。
間違っていたんだと。
振り返れば それまで苦労して積み上げた何年分かの自分が 残像のように立ちすくんでいただろう。
おいて行くなよ?
捨てられるのかよ?
そう言っているはずだった。
ただ走り続けた。
どこまでも走り続けた。
全身から どこかで間違って積み上げた様々な物を搾り出すように。
路上生活から立ち直る切っ掛けになった 老人の言葉を思い出していた。
「あんたにも大切に想う人いるんだろ?」
−顔向け出来るのかい?−
総ては そこから始まったのだった。
次に出会った時。
笑って「久しぶりだね同志」と笑えるように。
僕は再び走り出した。
<あとがき>
みたいな恋がしたかった!
こんな恋してたら こんな大人にならなかったのに!
このオチの為だけに こんな作り話を全裸で書き続けてたら夏カゼですよ!
何日も掛けた壮大なギャグなのに酷い!
なんて仕打ちなの!
とか言う大人にならなかったと思うの こーゆー恋してたら。
あと付き合ってくれた『○凹<ラ・マン>ナオキ』さんへ
ありがとうきびうんこ。
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あぐうっ。
やられましたよ、、、つうぅっ。
クーラーですよ。
一晩中 部屋を冷やしてたモンだから いわゆる『クーラー病』ってのになったみたいですよ。
頭痛と肩コリと関節痛が 一気に全身を襲ってキてますよ。
たぶん 人類を堕落させて 地球環境を破壊する目的で作られた 地球外生命体の兵器なんですよ。
奥さんは使わないで。
『きょん八丈島』は暑いから使いますけれども。
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バッタ天国ですよ。
庭の草ムシリ 今年してないんですよ。
二年連続で作物を育ててたから 今年は土を休ませよーと思ったワケでございます。
それで自然のままで放置しときましたよ。
雑草ボーボーなのは予想してましたけど まさか『緑の悪魔の大群』に襲われるなんて思ってもナッシング。
ちょっと庭で日曜大工なんかして 風に飛ばされたタオルを取ろうと深い草ムラに一歩。
恐ろしい数のバッタが ビョオオオ!って飛び出してキやがるんですよ。
一瞬 食われる!と思いましたよ。
いや 実際に噛むバッタもいて食われましたけれども。
こんなに大量発生してるとは思わなかったので バッタも侮れないなあと感心したモノです。
それから一週間後の今日の話ですよ奥さん。
あれだけ ボーボーだった雑草が枯れ始めてるんですよ。
おそるおそるバッタ天国に近付いてみると 根元とかガリガリに食べられてるワケですよ。
バッタのコト 大量発生すると怖い生き物だと知ってましたけど ここまでとは思いませんでしたよ。
その内 奴等は人を襲うと思いますよ。
庭の雑草が無くなるのも時間の問題。
そーしたら 人を襲うしかナッシングでございますから。
緑の大群のトーリ過ぎた後に 人間の白骨が転がってるワケですよ。
たぶん そんな事件が多発しますよ 今年の夏。
犯人は うちで育てたバッタでございます。
食べられちゃう奥さんビッグソーリー。
<閑話休題>
←『ラヂヲ経済通信5』のログを整理しましたよ。
10回分ごとに ゴソッと入れ替えよーと思いますよ。
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