『わんこコンビ』


(※この先、バカギャグのうえ男性同士の同性愛的表現を含むというしょうもない話ですのでどちらか苦手な方はご遠慮ください)


















「えい!やっ!はっ!」
「甘い!」

バシッ!

「うぅっ!」
「まだまだだな」

静かな公園の池のほとり。
いつもは静かな公園ですが、今日は朝も早くから頑張ってる人達がいます。
がんばってるのは
「おっきいわんこ」と
「ちっこいわんこ」
の二人。
どうやら、おっきいわんこがちっこいわんこを鍛えているところのようです。

「どうした?もう終わりか?」
「いえ、まだです!もう一度お願いします、黒鋼さん!」
「フン、返事だけは一人前だな」

一度は倒れたちっこいわんこが元気よく起き上がり、剣を構えます。
とってもがんばり屋さんのわんこです。

「はっ!とうっ!やっ!」

ガシッ、ガン、ドカッ

気合も激しくおっきいわんこに打ち込みますが、

「ふん・・・それっ!」
「あぁっ!」

やっぱりおっきいわんこにはかなわず、簡単に払われてしまいます。

「くっ、どうして・・・」
「前にも言ったろう。お前は右目が見えない分、右からの攻撃には気配で感じ取って素早く反応できる。だが、左からの攻撃には目で敵を追ってしまう分だけ反応が遅れる」
「それはわかっているんですが・・・」
「わかってるんなら反応できるようにしろ」
「はい!」

ガシッ、ガン、ガシッ

再びおっきいわんこに打ち込むちっこいわんこ。
今度はけっこういい線いってるようです。
おっきいわんこの打ち込みもなんとか受け止めています。
苦手だった左からの一撃もうまく避けることができました。
でも

(よし!今度はいけるぞ!)

・・・と思った瞬間、

バシッ!

「あぅっ」

あっさり打ち込まれてしまいました。

「今度は左を意識しすぎだ!敵はどっちから来るかわからないぞ!」
「す、すいません」
「どうしても左右で同じようには反応できないようだな。ならば・・・」
「え?黒鋼さん?」
「黙ってろ」

何を思ったのか、おっきいわんこは持っていた手ぬぐいでちっこいわんこに目隠しをしてしまいました。

「これならば右も左もない。左右で同じように反応できるはずだ」
「でもこれじゃあ何にも見えませんよ」
「見えなくても感じ取れるはずだ。それができないようじゃあ、いつまでたっても鬼児は倒せねえ。姫の羽も取り返せないぞ」
「!わかりました。これでお願いします黒鋼さん」
「その意気だ」

目隠しされた状態で再び剣を構えるちっこいわんこ。
形のよい眉をキリッと締め、全神経をおっきいわんこに集中します。
よほどに強い決意があるのでしょうか。
堅く閉じられた口元に悲壮な覚悟が感じ取れます。
まさに鬼気せまる美しさです。



(ほぅ・・・こうして見るとこの小僧なかなか・・・)

おや?
無言でちっこいわんこを見つめていたおっきいわんこですが、何やらよからぬことを考え始めたようです。
口元がいやらしい形につり上がっています。
そのまま気配を消してちっこいわんこの背後に回りました。
いったい、何をする気でしょうか?

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

(どこだ・・・どこから来る、黒鋼さん・・・)

視界を閉ざされた暗黒の中、必死でおっきいわんこの気配を探るちっこいわんこでしたが

ふっ

「うわっ!?」

思いがけない不意打ちに可愛い悲鳴をあげてしまいました。
無理もありません。
剣かそれとも拳か蹴りかと構えてはいましたが「耳元に熱い吐息」という攻撃は想像もしていなかったのです。

「どうした小僧」
「く、黒鋼さん?今のは・・・?」
「構えを乱すな」
「で、でも」
「でももへちまもあるか。戦いの中で大事なのは平常心を失わないことだ。俺がいいというまで構えてろ」
「は、はい!」

ちっこいわんこはおっきいわんこの無茶苦茶な要求を疑いもしません。
これも俺を鍛えるための訓練なんだ、と信じてるようです。

れろっ

そんなちっこいわんこのうなじを今度は舌を出して舐め始めます。
さらには

ぱくっ

かわいらしい耳たぶに甘噛みです。

「んっ・・・」

ちっこいわんこは必死で声を抑えています。
それがまた、なんとも可愛らしい仕草になってしまい、おっきいわんこをますます燃え立たせてしまうようです。

(唇はあのお姫様のためにとっておいてやるよ。その代わり・・・)

さわさわさわ

無抵抗のちっこいわんこに気をよくしたのか、両手でちっこいわんこの体をまさぐり始めました。

「うぁっ・・・黒鋼さん・・・」
「なかなかいい体をしてるな、小僧」
「あ、ありがとうございます!(そうか、これはオレの体を確認してくれているんだな。黒鋼さんはやっぱり頼りになる人だ!)」

・・・多分、ちっこいわんこは「いい体」の意味を間違えていると思いますが。
どうやらちっこいわんこは人を疑うということを知らない子のようです。
あまりにも純粋すぎるのも考えものです。
雲の上でお父さんが泣いてます。
胸、腕、太股と学生服の上からですが、おっきいわんこの手がちっこいわんこを弄り続けます。
そして、ついにおっきいわんこの手はちっこいわんこの一番敏感な部分に伸びるのでした。
布越しにそこをさすられると、さすがにちっこいわんこも声を抑えられません。

「黒鋼さん、そ、そこは・・・!」
「そこはなんだ」
「そ、その・・・んんっ!こ、これも修行なんですか?」
「当然だ。鬼児にここを狙われたらどうする。やめてくださいとでも言うつもりか?」
「いえ!・・・うぅっ」

モコナがいたら鬼はお前だ!とツッコミが入っているところですね。
それにしても朝も早い公園で、目隠しされた学生服姿の少年を背後からもてあそぶ和服姿の大男。
なんというアンモラルな光景でしょうか。
きっとこの「妖精遊園地」遊戯にはX指定という考えがないのでしょう。

「ぁ・・・ぅ・・・黒鋼さ・・・ん・・・もう」
(ふっ、そろそろか)

「んんっっ!!」

ついにちっこいわんこはかわいらしい声とともに達してしまいました。
おっきいわんこは忍者の棟梁だけあってその道に長けていたようです。
恥ずかしさと情けなさでちっこいわんこの頬はまっ赤ッ赤です。
はぁはぁと荒い息をつき、それでも必死で構えをとろうと頑張っています。

(ちょっとやりすぎたか。さて、この後どうしたもんかな)

どうしたもこうしたも、ちっこいわんこのズボンは彼自身の精で汚れてしまっています。
このまま帰ったら何をしてたのかバレバレです。

(あのへらいのに見つかると面倒だな。ここは・・・)

証拠隠滅。

けりっ!
ドッボ〜ン

哀れ、ちっこいわんこはおっきいわんこの蹴りを喰らって池に落っこちてしまいました。

「黒鋼さん・・・」

池の中からずぶぬれになっておっきいわんこを見上げるちっこいわんこ。
その様はまさに、「雨の中の捨て仔犬」です。
おっきいわんこの目には一瞬、ちっこいわんこの頭に可愛らしくうなだれる犬耳としょぼ〜んとしたシッポの幻覚が見えてしまうのでした。

「今日はここまでだ。帰るぞ!(やべぇ・・・こいつ可愛すぎる。本気になっちまいそうだ)」
「はい!ありがとうございました!」

――――――――――――――――――――――――――――――

「お帰りなさい、黒鋼さん、小狼くん・・・?大変!小狼くんこんなに濡れてる!」
「大丈夫ですよ姫。このくらいは」
「大丈夫じゃないよ!小狼くん風邪ひいちゃうよ!タオル、タオル!」

喫茶店「猫の目」に戻ってきたわんこコンビ。
さっそくお出迎えのちっこいにゃんこさんですが、ずぶ濡れのちっこいわんこにビックリ。
あわててタオルを取り出し、ちっこいわんこを拭きます。

「小狼くん、あんまり無理しないでね」
「これくらいは平気ですよ。それにオレはもっと強くなりたいですから(さくらのために・・・)」
「でも、こんなに傷だらけになって。こんなところにもアザが出来てるよ」
「この程度は・・・・・・!?」

ちっこいにゃんこが指さしたのはちっこいわんこのうなじ。
そこはさっき、おっきいわんこに・・・?

(そ、そこはさっき黒鋼さんにキスされた・・・!!!)

かぁぁぁ〜〜〜っ!!!
バタバタバタバタッ

「あ、小狼くん、小狼くん?待ってよ〜〜〜」

あまりの恥ずかしさに耐えられなくなったちっこいわんこはダッシュで2階に逃げてしまいました。
ちっこいにゃんこがあわてて追いかけます。
そこへキッチンからおっきいにゃんこがやってきました。

「朝からさわがしいねえ」
「そういう手前は今まで何してやがった」
「オレ?オレは朝ごはんの用意だよ。小狼くん、お腹空かせて帰ってくるだろうな〜って思って」
「小僧の分だけか!俺の分はどうした」
「黒様の分もちゃんと用意してるよ〜〜〜。ところで黒様」
「ん?なんだ」
「小狼くんの首にへんなアザがあったよね〜」
「そうか?気づかなかったな」
「ホントに?あれってなんか変だったよね〜?」
「どういう意味だ?(こいつ・・・日頃はへにゃへにゃしてるくせにこういう時だけ目ざといな・・・)」
「く〜ろ様、なんでさっきからオレの目を見て話してくれないのかな〜?なにか後ろめたいことでもあるのかな〜?」
「・・・」
「あれってどう見ても『キスマーク』だよね〜。いったい二人でなにしたてのかな〜〜〜?」
「あれは、その・・・」
「く〜ろ〜さ〜ま〜(怒)」
「うわっ、なにしやがる!やめろ!この!」

――――――――――――――――――――――――――――――

喫茶「猫の目」の1日はこうして始まるのでした。

END


写し身復活祈願小説その2。
何を書いているというツッコミはスルーの方向でお願いします。

ツバサのBLといえば黒鋼×ファイか、黒鋼×小狼(本体)、小龍×小狼(堀鍔)でしょうが、
このサイトでは黒鋼×小狼(写し身・前半)を推奨します。

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