『鶴の恩返し・いろいろ』


日本迷作劇場その3改改改怪傀快隗戒 鶴の恩返し いろいろ

キャスト
若者:桃矢
鶴:雪兎
悪魔:エリオル

覗くなと言われると覗きたくなってしまうのが人の性というもの。
あれほど言われていたのに、若者はついにこらえきれずに部屋を覗き込んでしまいました。
そこで見たものは……

「お、お前は!」
「あぁ、ついに見ちゃったね」
「お前はもしや、あの時の……」
「そう、あの時、桃矢に助けてもらった鶴だよ」
「そうだったのか……」
「あの恐ろしい悪魔の仕掛けた罠に捕まってもうダメかとあきらめてたあの時、助けてくれたね」
「は? 悪魔?」
「人の身であの悪魔に刃向かうなんてなんて命知らずな……あの悪魔に見つかったらどんな目にあわされるかもわからないのに……それを思えば機を織るくらいは」
「ちょ、ちょっと待て。なんだ、その悪魔ってのは」
「あぁ、悪魔の気配が! 追いかけた来たんだ。もうここにはいられない。それじゃあね桃矢。僕は逃げるから。恩は忘れないよ。それじゃあ!」

バサッ、バサッ、バサッ……

「お、おい! 待て! 一人で逃げるな〜〜!」

………………………
………………
………

その後、若者は鶴を追いかけてきた悪魔に捕まって、あ〜〜んなことやこ〜〜なこと、それこそ口には出せないようなひどい目にあわされたそうです。

「ふふふ、あなたもなかなか……」
「わわわ〜〜〜!  雪! 雪〜〜!!」

このお話の教訓:
幸の薄い者はとことん幸が薄い。

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キャスト
若者:小狼
鶴:苺鈴

覗いてはいけません、と言われると覗きたくなってしまうのが人の性。
いけないとは思いつつ、つい部屋を覗き込もうとしてしまう若者でしたが。

「そ〜〜。どれどれ。いったい何を……」

ぎっこん、ばっこん
ぎっこん、ばっこん

「なんだ。普通に機を織っているだけか。ん? いや、なんか変だな。あの影はなんだ?」

そ〜〜

「ぴき〜〜ん! む! 人の気配!」
「いったいなにをしてるんだ? そ〜〜……」
「きぇぇぇ〜〜〜っ! 奥義! 鶴爪三角脚!」

ズガガガ〜〜ン

「なな? ぐぇっ! がくっ」
「ふぅ。あぶないところだったわ。まったく。あれほど言ってたのに。いけない人ね、小狼は!」

………………………
………………
………

「うう〜〜ん」
「おはよう。あれ、どうしたの。変な顔して」
「う〜〜ん、なんか体のあちこちが痛いんだ」
「やあねえ、寝違えでもしたの? ほら、ご飯でも食べてしゃんとしなさい」
「そ、そうだな」

………………………
………………
………

その後、若者は時折起きる全身痛に苦しみながらも、すえながく幸せに暮らしたそうです。

このお話の教訓:
女の子は怖い。

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キャスト
若者:山崎くん
鶴:千春ちゃん

ついに部屋の中を覗いてしまった若者。
そこにいたのは一羽の鶴。
そう、あの時、若者が助けた鶴……

「とうとう見ちゃったのね」
「ち、千春ちゃん、きみは……」
「そう、わたしはあの時、山崎くんに助けられた鶴……恩返しのためにこうして機を織っていたの。でも姿を見られたからにはもう、ここにいられない。山崎くん、さようなら!」
「あぁ、千春ちゃん!」

バサーーーッ
バッサ、バッサ
バサバサ……

ひゅ〜〜〜
ぼてん

………………………

「えぇ、そうよ! 太ったのよ! 太って飛べなくなったのよ! 座り仕事で食べ放題だったからね!」
「え、いや、その〜〜」
「山崎くんのせいよ! 山崎くんの作るご飯が美味しすぎるからいけないのよ!」
「ぼ、僕に言われても〜〜」
「どうすんのよ、これ! これじゃあ山に帰れないわ!」
「だ、ダイエットするといいんじゃないかな」
「そうするわ!」

………………………
………………
………

こうして一念奮起、ダイエットに励むことになった鶴さん。

「うんしょ、うんしょ」
「ははは〜〜がんばってるね千春ちゃん。はい、お昼ごはんだよ」
「またそんな美味しそうなものを。で、でも。いただくわ」
「ははは〜〜。いっぱい食べてね〜〜」

ですが、若者の妨害? のため思うようにダイエットははかどらなかったようです。

このお話の教訓:
ワーカーホリックに注意。

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キャスト:
若者:黒鋼
鶴:ファイ

ぎっこん、ばっこん
ぎっこん、ばっこん

若者への恩返しのため、今日も機を織る鶴さん。
若者には部屋を覗いてはいけないと固く注意しておいたので大丈夫なはずですが……

がらっ

「!? く、黒さま?」
「おう、やってるな。お、あったあった」

ずけずけと部屋に入ってきた若者。
鶴さんには目もくれずにひっつかんだのは、鶴さんが仕事中に飲もうと持ち込んでいた一升瓶。
そのままとっとと出て行こうとします。

「じゃあな」
「ちょ、ちょっと黒さま! それだけ?」
「あぁ〜〜ん? なんかあるのか」
「なんかって。おれを見てなにか思わないの?」
「ん? 痩せたな」
「いや、痩せたって」
「気ぃつけろよ。今月のノルマはまだなんだからな」
「の、ノルマ〜〜? なんでそんな話になってんの〜〜?」
「いいから働け! じゃあな」
「ちょっと、黒さま! 黒さま〜〜!」

………………………
………………
………

その後も他人のことなど全く眼中にない若者と鶴さんはなんだかんだでうまくやっていったそうです。

このお話の教訓:
平和の村では忍なぞヒモにしかならない。

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キャスト:
若者:小狼
鶴:さくら

覗くなと言われるほどに覗きたくなってしまうもの。
禁を破って部屋を覗いてしまった若者。
そこに見たのは……

「お、お前は!」
「とうとう見ちゃったね。小狼くん。あれほど言ったのに」
「お前はあの時の……」
「そうだよ。あの時、小狼くんが助けてくれた鶴だよ。小狼くんに恩返しをしようと……ううん、違う。小狼くんにもう一度会いたくて」
「そうだったのか」
「でも、ダメだね。姿を見られちゃった。このままじゃいられないよ」
「さ、さくら! 待て!」
「『封印解除』(レリーズ)!」
「は?」

ぱぁぁぁ〜〜〜っ!

「かの者を眠りに誘え! 『眠』(スリープ)!」
「な、なにを? あ……う、うう〜〜ん。すやすや」
「かの者の記憶を消去せよ! 『消』(イレイズ)!」

みぃよよよ〜〜〜ん

「ふぅ。これでよし、と。あ、小狼くんをお布団に入れなきゃね。『力』(パワー)!」

ずるずるずる……

………………………
………………
………

「うう〜〜ん」
「おはよう、小狼くん。あれ、どうしたの?」
「い、いや、なに。なにか大事なことを忘れているような気がして」
「なにか悪い夢でも見たのかなあ。ほら、そういう時はご飯を食べてしっかりしなきゃ」
「そ、そうだな」

………………………
………………
………

その後、若者は時折起きる謎の記憶喪失に悩まされながらも幸せに暮らしたそうです。

このお話の教訓:
女の子はやっぱり怖い。


マチ姉さんの妄想アワー単行本化希望。

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