『三匹の子ブタ（さくら編）』
世界迷作劇場その6改 三匹の子ブタ
キャスト
長男ブタさん：桃矢
次男ブタさん：山崎
末っ子ブタさん：小狼
オオカミ：さくら
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むかしむかしのその昔。
森の中に三匹の子ブタの兄弟が住んでいました。
ある時、三匹の子ブタはそれぞれ自分のお家をつくる事になりました
三匹は家の素材についていろいろ考えてみました。
長男のブタさんは言いました。
「めんどくせえな。俺はワラで適当に作るとするぜ」
次男のブタさんは言いました。
「じゃあ、僕は木にしようかな。最近の流行はエコだよね」
末っ子のブタさんは言いました。
「オレはレンガにしよう。やっぱり耐震性が重要だからな」
三匹はそれぞれの場所に家を作ってそこに住むことにしました。
さて。
そんな三匹のところにやって来たのは山に住んでいるオオカミさん。
「くんくん。美味しそうなブタさんのにおいがいっぱいするな〜〜。ふふっ、決めた！ 全部さくらが食べちゃおう！」
悪そうな台詞と共に山を降りて来たオオカミさん。
でも、このオオカミさん、ずいぶんとちんまりとした可愛いオオカミさんですね。
どっちかと言うと美味しく食べられちゃう側に見えるのですが。
大丈夫でしょうか。
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さて、オオカミさんが最初に目をつけたのは長男のブタさん。
「お、怪獣。こんなところまで何しに来やがった」
「さくら怪獣じゃないもん！ オオカミさんなんだから！」
「なるほど。オオカミ怪獣サクラノドンってわけか。で、そのオオカミ怪獣が何しに来たんだ？」
「くぅぅ〜〜、あったまにきた〜〜！！ こんな家、さくらの息で吹き飛ばしちゃうんだから！」
ワラの家を吹き飛ばそうとすぅーーっと思いっきり息を吸い込むオオカミさん。
そして
ぷぅぅぅ〜〜〜〜！！
吸い込んだ息をワラの家に吹きかけるオオカミさん。
ですが。
そよそよそよ〜〜〜〜
ちっこいオオカミさんの吹く息ではワラを何本かそよがせるのが精一杯。
「えい、えい！ この！ ぷぅぅぅぅ〜〜〜〜！！」
「どうした、怪獣。扇風機の代わりならもうちょっと強く吹いてくれよ」
「こ、このっ！ ぷぅぅぅ、ぷぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜！！」
何度も果敢にチャレンジするオオカミさんですが、やっぱりワラの家はピクリとも動かず。
「やれやれだな。ま、怪獣って言ってもこんなチビっこい怪獣じゃこんなもんか」
「うわ〜〜ん、お兄ちゃんのイジワル〜〜。うえ〜〜ん」
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長男ブタさんにからかわれて泣きながら逃げ出してしまったオオカミさん。
しかし、オオカミさんはこの程度ではくじけない強い子です。
「うぅっ、つ、次は負けないよ！」
お次にやってきたのは次男ブタさんの木の家。
「あれ、木之本さん。お久しぶり。こんなところに何の用かな」
「そんなの決まってるよ！ ブタさんを食べに来たんだから！」
「怖いことを言うなあ。そんな人をこの家に入れるわけにはいかないよ。悪いけどお引取り願いたいなあ」
「ならば実力行使だよ！ こんな家、さくらのパンチ一発で壊しちゃうんだから！」
力いっぱい握り締めた拳をブンブン振り回しながら近寄るオオカミさん。
ですが、そんなオオカミさんを見ても次男のブタさんは慌てた素振りを見せません。
「あ、木之本さん。注意した方がいいよ。その辺は〜〜」
「山崎くんのウソにはもう騙されないよ！ それっ！！ れ？ れ？ ほ、ほぇぇぇぇぇ〜〜〜〜っっ！！」
ズボッ！
ひゅ〜〜〜〜
どっし〜〜ん！！
「あ〜〜あ。だから言ったのに。その辺にはボクが掘った落とし穴がいっぱいあるって」
「うぅっ、痛たたたた。で、でも、このくらいじゃさくら、あきらめないんだから！」
「木之本さんは頑張り屋さんだなあ。だけど、もうちょっと注意した方がいいと思うよ。その穴には･･････」
「な、なに？ なんな･･････ほ、ほぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっ！」
突如、魂消るような絶叫を迸らせるオオカミさん。
それもそのはず。
オオカミさんが落ちた穴の中は、たくさんのヘビ、カエル、ムカデ、クモ、その他のトンでもないものでいっぱいだったのです。
「いや〜〜〜〜！！ ヘビ〜〜！ クモ〜〜！ カエル〜〜！ いやぁぁぁぁぁ〜〜〜〜！！！！」
これにはオオカミさんもたまりません。
泣きながら穴を飛び出すと、後も振り返らずに一目散に逃げ去ってしまうのでした。
「う〜〜ん、もともとは李くん用に作ったトラップだからな〜〜。木之本さんにはちょっと刺激が強すぎたかな」
次男ブタさん、ちょっとやりすぎ。
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さてさて。
「こ、今度こそ、今度こそ大丈夫なんだから！」
あれだけ散々な目にあったというのに、オオカミさんまだ諦めていません。
本当に頑張り屋さんですね。
ボロボロになった体を引きずって向かうのは末っ子ブタさんの家。
けれども、そんなオオカミさんの前にど〜〜んと立ちはだかったのは末っ子ブタさんのレンガ造りの家なのでした。
堅物の末っ子ブタさんの性格を反映したかのような一部の隙もない堅牢極まりない家。
非力なオオカミさんが突いても押してもビクともしそうにありません。
「こんなの･･････無理だよ･･････。絶対に壊せないよ･･････」
これにはさすがのオオカミさんもガックリきてしまったようです。
最後の気力も尽きてしまったのか、へたり込んで泣き出してしまうのでした。
「ぐすっ、ひっくひっく･･････。おなか減ったよ･･････。寒いよ･･････。ひっく、ひっく」
シクシクと泣くオオカミさん。
と、そこへ
「人の家の前で何をやってるんだ」
後ろから声がかけられるのでした。
末っ子ブタさんです。
末っ子ブタさん、お出かけしてたみたいですね。
それでちょうど今、帰ってきたところのようです。
「うっ、ひっくひっく、ぐすっ･･････」
「なんでそんなところで泣いてるんだ。一体、何があったんだ」
「ぐすっ、お兄ちゃんに怪獣ってバカにされて･･････落とし穴におっこちてヘビとカエルがいっぱいいて･･････ひっく、ひっく」
「とにかく泣くのはやめろ。泣いてても何にもならない」
「おなか減ったよ･･････。寒いよ･･････ひっく」
「ご飯くらい食べさせてやるから！ お風呂にも入れてやるから！ だから泣くのはやめろ」
「ホントに？」
「本当だ。ほらっ、これで涙を拭け」
「うん。えへっ、ブタさん、やさしいんだね（ニコッ）」
「（かぁぁぁぁぁ〜〜〜〜！！）と、とにかく家に入れ！ そんなところにいると風邪ひくぞ！」
「うん！」
こうしてようやく暖かいお風呂と美味しいご飯にありつけたオオカミさん。
ま、この後は末っ子ブタさんに美味しくいただかれてしまうというオチが待っているわけなんですけどね。
終わりよければ全てよし。
めでたしめでたし？
END
新年早々、アホ話･･････
まあ、いつも通りということで。