『さくらとクリスマス』


※注意
本作はパラレルものです。

小狼−高校生
さくら−小狼に拾われた子犬

という設定です。



わぁ……
雪が降ってる。
きれいだな。
でも、雪ってきれいだけどとっても冷たいんだよね。
お外の人たちはみんな元気だなあ。
あんなに寒そうなのに。
クリスマスだからかなあ。
……っていってもさくら、クリスマスがなんなのかよくわかんないんだけどね。
とってもおめでたい日でみんながお祝いする日だって。
小狼くんが教えてくれたけどよくわかんないや。
テレビでもみんなクリスマス、クリスマスってうれしそうに言ってるからとってもいい日なのことはわかるよ。
でもね。
さくらはあんまりクリスマスが好きじゃないの。
だって。
クリスマスの日は小狼くん、なかなか帰ってきてくれないんだもん……

「今日は遅くなる。悪いけど、いい子でお留守番しててくれよ」
「わん!」

小狼くんには元気いっぱいにお返事したけど。
やっぱり小狼くんがいないのはさみしいよ。
去年もそうだったんだよ。
去年のクリスマスの日も小狼くん、なかなか帰ってきてくれなかった。
それにね。
ようやく帰ってきてくれたと思ったら、小狼くんから女の子のにおいがいっぱいしたの。
小狼くん、女の子たちと遊んでたの?
さくらといるより女の子と遊んでる方がおもしろいの?
そう思ったらちょっと悲しくなっちゃったの。
くすん。

ううん、ダメダメこんなこと考えてちゃ。
小狼くんにお留守番を頼まれてるんだから。
もっとちゃんとしてなくちゃ。
どろぼうさんが入ってくるかもしれないし。
気をつけてないと。
うん!

ごとっ

ほ、ほぇ!?
今、なにか音がしなかった?
と、となりのお部屋からなにか聞こえたような……?

がさっ

ほぇぇ!
やっぱりとなりのお部屋に誰かいるよ〜〜。
な、なに?
まさか、ほんとうにどろぼうさん?
はぅぅぅ〜〜
ど、どうしよう!
お、おまわりさん呼ばないとダメなの〜〜??
でも、どうやって呼べばいいの〜〜??

きゅっ、きゅっ

く、くる〜〜
こっちのお部屋に近寄ってくる〜〜
どうしたらいいの〜〜
小狼く〜〜ん〜〜
もう、そこのドアの前まできてるよ〜〜

かちゃ

ほぇぇぇ〜〜〜!!

「メリークリスマス。さくらさん」

ほぇぇぇぇぇ……ほぇ?
え〜〜っと。
そこにいたのは真っ赤なお洋服と帽子にメガネをかけた小狼くんと同じくらいの年の男の子。
だれ?
どろぼうさん……じゃないよね?

「ひどいなあさくらさん。僕は泥棒じゃありませんよ」

あれ?
さくらの言うこと、わかるの?

「当然です。なんたって僕はサンタクロースですから」

サンタクロース?
う〜〜ん、なんだっけ。
あ、思い出した。
小狼くんに教えてもらったっけ。
たしか、いい子にしてるとプレゼントをくれるおじいさんだ。
でも、おじいさんには見えないよ?

「最近はサンタも世代交代の時世ですから。僕みたいに若いサンタもいるんですよ」

ふ〜〜ん。
よくわかんないけどそうなんだあ。
あれ。
サンタさんっていい子にしてるとプレゼントをくれるんだよね。
ってことは〜〜。

「そうです。今日はいい子のさくらさんにクリスマスプレゼントを渡すために参上しました」

わ〜〜い。
やっぱりそうなんだ〜〜。
そうだよね。
さくら、いい子にしてたもん。
うれしいなあ〜〜。
プレゼント、プレゼント〜〜。
サンタさんはプレゼントになにをくれるのかな〜〜。

「さくらさんはとってもいい子なので特別です。さくらさんが今、一番欲しいものを差し上げましょう」

さくらが今、一番ほしいもの?
わあ、うれしいなあ〜〜。
なににしようかなあ〜〜。
おもちゃがいいかなあ。
この間、テレビでおもしろそうなオモチャを見たんだよね〜〜。
あれにしようかなあ〜〜。
それとも食べ物の方がいいかなあ。
小狼くんの持ってたご本にすごく美味しそうな料理の写真があったな〜〜。
あれ、美味しそうだったな〜〜。
それともあれの方がいいかなあ〜〜。
あれもいいかな〜〜。
迷うなあ〜〜。
う〜〜んっと。
え〜〜っと。

………………………………
……………………
…………

小狼くん。
そうだ。
わたしが一番ほしいものなんてきまってる。
小狼くんだ。
小狼くんの他にほしいものなんてないよ。
小狼くん……。
わたしが今、一番ほしいのは小狼くんだよサンタさん!
そう言ったらサンタさん、少し困った顔になっちゃった。

「それは困りましたね。そのプレゼントは僕から差し上げることはできません」

うん。そうだよね。
小狼くんをくれるのは小狼くんだけだもん。
そんなのあたりまえだよね。
サンタさん、困らせてごめんね。

「でも、そのプレゼントならもうすぐここに来ますよ。やはり貴方にプレゼントを贈るのは彼の役目だったみたいですね。僕では役不足でした。ふふっ。それではさくらさん。メリー・クリスマス!」

ぽんっ

ほ、ほぇっ!?
サンタさん、消えちゃった。
あれぇ〜〜??
たしかにそこにいたのに〜〜?
どうやって消えちゃったんだろう。
不思議だな〜〜。
サンタさんだからなのかなあ。
そういえば、サンタさんどこから入ってきたんだろう。
玄関からじゃなかったよね。
窓から入ってきたの?
でも、ここってすっごく高いところにあるよね。
サンタさんはお空を飛べるのかなあ。
やっぱりサンタさんってすごいんだ〜〜。

トントントン……

あ!
この足音は!

「ただいま、さくら」

小狼くんだ!
小狼くん、おかえりなさい〜〜。
思ってたよりも早かったね。

「さくら、いい子にしてたか」

うん!
さくらいい子にしてたよ。
いい子にしてたからサンタさんが来てくれたんだよ!
プレゼントはもらえなかったけどね。
でも、いいの。
小狼くんが早く帰ってきてくれたから。

「ははっ、よしよし。いい子のさくらにはプレゼントだ」

プレゼント?
う〜〜ん、そういえばなんかいいにおいがするな〜〜。
とっても美味しそうなにおいがするよ。

「パーティ会場から鴨のローストをもらってきたんだ。ほらっ」

ん、なにこれ。
お肉っぽいけど。
食べていいの?
いったっだっきま〜〜す。

ぱくっ。
むぐむぐ。
ごっくん。

!?

はぅぅぅぅ〜〜〜〜。
おいしい〜〜〜〜!
すっごくおいしい〜〜〜〜!!
こんなおいしいお肉、はじめてだよ〜〜!!!
さくら、感激!

「気に入ったみたいだな。よし、待ってろよ。すぐお皿に盛ってきてやるからな」

こんなおいしいお肉がまだあるの?
わ〜〜い。
うれしいな〜〜。
おいしいな〜〜。
やっぱり、クリスマスはいい子にしてるとすてきなプレゼントがもらえるんだ〜〜。
さくら、クリスマスだ〜〜いすき!

END


ここのところ季節ネタをやっていなかったので久々にクリスマスのお話を。
サンタさんはエリオルです。トナカイはスッピーか?
人知れず住居不法侵入。
まさに彼にうってつけの役ですね。

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