『お風呂とごはん』



「着いたぞ」

うみゅ?
気がついたらもうそこにいた。
ここどこ?
ここがごしゅじんさまのお家?
うわぁ。明るくてとってもきれい。
さっきの箱とはぜんぜんちがうよ。
ここがこれからのお家になるのかなあ。
なんて思いながらきょろきょろしてたら、またごしゅじんさまの声がした。

「飯と風呂と、風呂が先だな」

フロ?
フロってなんだろ。
めしはごはんのことだよね。
フロってなに?

つれてこられたところは四角いもようがいっぱいあるお部屋。
やっぱり四角い入れものみたいなおっきな箱もある。
ここでなにするんだろ。
そう思って見てたら、ごしゅじんさまはなんかひもみたいなものをだしてきた。

ジャーーッ

ほ、ほぇ?
あのひもからお水が出てくる〜〜。
なんで〜〜?
お水はもういやだよ〜〜。
つめたいのはいやだよ〜〜。

「こんなもんか」

そう言いながらごしゅじんさまがお水を近づけてくる。
いや〜〜。
お水はいや〜〜。

パシャッ

ほえっ!
ほえぇぇぇぇ……ん?
あれ?
このお水、あったかぁい……
ぜんぜんつめたくないよ。
あったかくて、とっても気持ちいい。
はぅぅぅぅ〜〜。
気持ちいいよ〜〜。

「ずいぶん汚れてるな。待ってろ、今きれいにしてやる」

ごしゅじんさま今度はしろっぽいなにかをぬりつけて、ごしごししはじめた。
これ、なんだろ。
なんだかよくわからないけど、すごくいいにおいがするね。
ごしゅじんさまの手もとっても気持ちいい。
ごしごしされるたびに、きれいになってく気がするよ。
えへへ。なんかうれしいな。
ごしゅじんさまがきれいにしてくれる。
きれいになったわたしをみてほしいな。
ごしゅじんさまに。

「よし。いいだろう」

いっぱいごしごしされた後は、またあったかいお水をいっぱいかけられた。
それから、白いやわらかいのでからだをふいてくれた。
これもとってもいいにおいがしたよ。
お水をぜんぶふいてもらったら、また抱っこされた。
抱っこされて次につれてってもらったのは、よくわかんないお部屋。
なんかむずかしそうなものがいっぱいおいてある。
でも、わたしがおかれたのはお部屋のまんなかの四角いのの上。
四角いけど、やわらかくてすべすべしたのがしいてあって気持ちいい。
うれしくなってお手てとあしをう〜〜んってのばしてころがっちゃった。
そしたら、ごしゅじんさま、上からまたやわらかいのをかけてくれた。
すごいなあ。
ここはすっごく、やわらかくていいにおいのするものばっかりだよ。
ごしゅじんさまはすごいなあ。

「いい子にして待ってろよ。今、いいものをもってきてやるからな」

うん!
いい子で待ってるよ。
いいものって、なにかな。
ごしゅじんさまがくれるんだもん。
きっとすてきなものだよね。
わたし、待っちゃうよ。
ごしゅじんさまのことなら、いつまでも待てるよ……

―――――――――――――――――――――――――――――――――

「できたぞ」

そう言いながらごしゅじんさまがもってきてくれたのは、よくわかんないもの。
だってはじめて見るものだったんだもん。
でも、はじめてでもわかる。
すごくいいにおいがする。
あれはごはんだよ! それもとってもおいしいごはんだよ!
うれしい〜〜。
おなかぺこぺこだよ。
わ〜〜い。
いっただっきま〜〜す。

もう待ちきれなくて、うれしくって、ごしゅじんさまがおいてくれたごはんに飛びついちゃったよ。
でもね。
ごはんにお手てが届く前にひょい、ってごしゅじんさまに持ち上げられちゃったの。
わぅ?
ごしゅじんさま?
そのまま、すわったごしゅじんさまのひざの上にのせられちゃった。
う〜〜ん。
ここもいいけど〜〜。
ごはん、ごはん〜〜。

「もう少し待て。今、フーフーしてやるから」

ふーふーってなに?
ごしゅじんさま、ごはんをすくってお口の前でふーふーしてる。
う〜〜ん、ふーふーするといいことあるのかな?
すこしの間、ふーふーしてから

「ほら」

ってお口の前にもってきてくれた。
もう待ちきれないよ〜〜。

ぱくっ。

うん。
おいっしい〜〜!
すごくおいしい〜〜!!
ほんとうにすごくおいしい。
さっきのカリカリとは大ちがいだよ。
おいしい〜〜。
ごしゅじんさまがすくってくれたの、一口で食べちゃった。
これだけじゃ足りないよ〜〜。
もっともっと〜〜。

もちろん、この一口で終わりなんてことはなくて。
ごしゅじんさまは何度もふーふーしたのを食べさせてくれたよ。
おいしくって、うれしくって、夢中になって食べたよ。
わんわん!
おいしい!
うれしい!

「うまいか」

うん!
とってもおいしいよ!
こんなおいしいごはんをが食べれて、うれしいよ!

「そうか」

あ……。
ごしゅじんさま、笑ってくれた……。
すごくやさしいお顔で。
な、なんだろ、これ。
むねがきゅぅうんってする。
ごしゅじんさまの笑ったお顔見てると、うれしくなる……。
ごしゅじんさま……

その後もごしゅじんさまはごはんを食べさせてくれたよ。
あと、白いお水みたいのも飲ませてくれた。
これもあったかくて、とってもおいしかったよ。
ごしゅじんさまが作ってくれたごはん、あっという間になくなっちゃった。
しょうがないよね。
おなかぺこぺこだったんだもん。
ほんとうはもっと食べたいな〜〜って思ったんだけどね。

「一度にあんまりいっぱい食べるとお腹を壊すからな。今日はここまでだ」

って言われちゃった。
そうなのかなあ。
まあ、いいかあ。
いっぱい食べたもんね。
ふぁ〜〜ぁ。
なんか眠くなってきちゃった。
ごはんいっぱい食べたせいかな。
むにゃむにゃ。
わたし、ねてばっかりだよ。
でも、それもしょうがないよね。
だって、ごしゅじんさまのそばにいると、とっても気持ちいいんだもん……

NEXT……


続きます。

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