魁!!○塾
「奥義・賓奔汎!」の巻


(※この先は例によって寛容の心が試される内容となっていますので、あらかじめご了承ください)



キャスト
剣桃太郎:黒鋼
月光:ファイ
飛燕:シャオラン
雷電:山崎
伊達臣人:小狼
赤石剛次 :知世
富樫源次:ケルベロス
虎丸龍次:モコナ
王大人:侑子さん

ドクター・エーベルシャタイン:四月一日

その他いつも通りわけのわからんキャストでお贈りします。
あとキャストが毎回ころころ変わるのは気のせいです。

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〜〜〜前回までのあらすじ〜〜〜

魔蛾塵(マガジン)フェスティバル、開戦!
苦戦の末に第一の牙、魍魎塔五人衆を打ち破った小狼たち!
続く第二の牙、王宮への道へ挑む!
死闘を乗り越えついに最後の闘場へと歩を進めた一行!
そこで彼らを待つ者とは……!?

小狼 :「ここが最後の闘場か?」
ケロ :「暗くて何も見えんやないか」
山崎 :「よく見えないけど、とりあえずなんの仕掛けもないみたいだね」
小狼 :「こんなところでいったい、なにを……」
黒鋼 :「どうやらやっと俺の出番が回ってきたようだな」

シャオ:「黒鋼さん!」

知世 :「気をつけなさい黒鋼。どうもこれまでになく妙な雰囲気ですわ」
黒鋼 :「そんなことはわかってるぜ!」
シャオ:「頼みましたよ、黒鋼さん!」

モコナ:「黒鋼、がんばれ!」

薄闇に包まれた闘場へと降り立った黒鋼。
四方を壁に包まれた不気味な闘場である。
その奥にうっすらと浮かび上がる人影。
王宮への道、最後の番人であろう。
凄まじい殺気を放つその影に、しかしわずかな違和感を感じる黒鋼である。

黒鋼 :(出来る! かなりの腕だ! だがあの棍の構えはどこかで見たような気が……?)
ケロ :「み、見ろ! あそこに誰かいるで!」

モコナ:「向こうの扉からも誰かもう一人出てきたよ〜〜」

四月 :「よくここまできましたね、友枝小学校のみなさん」
黒鋼 :「なんだ。てめえが最後の相手か?」
四月 :「わわっ、そんなわけないじゃないですか。あなたのお相手はそこですよ、そこ!」
知世 :「そこと言われましても」
モコナ:「暗くてなにも見えないよ〜〜」
四月 :「ふふっ、そうですか。それでは灯りをつけてあげましょう。ふふふ……」

パッ
灯りが点され照らし出される最後の番人。
その姿は……!

黒鋼 :「なにっ!?」
シャオ:「なっ!? ま、まさかあれは?」

ケロ :「な、なんやて――! あ、あいつは――!!」

モコナ:「ファイ!」


バァァァァ〜〜ン!
そこに現われたのは玖乱賦淫椀多乱弩(クランプinワンダーランド)で命を落としたはずのファイであった!

黒鋼 :「ば、ばかな。お前はたしかにあの時……」
モコナ:「ファイ! 生きてたんだね、ファイ!」
シャオ:「こんなうれしいことはないですよ、ファイさん!」
ファイ:「………………」
黒鋼 :「だが、いったいどうしてここに……!?」
ファイ:「それはね……」


シュバッ!

ファイ:「きみたちを皆殺しにするためだよ!」
黒鋼 :「なっ!!」
モコナ:「ファイ!?」

ファイ:「いくよ!」
黒鋼 :「ま、待て! 一体これはどういうことだ!!」

シャッ
シャッ!
ズバァッ!
凄まじい勢いで突き込むファイ!
かろうじて身を躱す黒鋼だが、動揺は隠し切れない。

黒鋼 :「やめねえか、へらいの! 俺がわからねえのか!」
ファイ:「知らないなあ君なんか」
黒鋼 :「こ、こいつ……。おい、そこの眼鏡! こいつにいったい何をしやがった!」
四月 :「フフ、教えましょう。当、堀鍔学園学園長は僕にこんな命令をしました。人の脳を操作して絶対に裏切らない忠実な部下を作れと。学園長は人を信じられない非常に猜疑心の強い方だったのです」
黒鋼 :「またあの女か!」
四月 :「そしてその研究の成果がまさに今、あなたたちの目の前にいるというわけですよ。その人はもうあなたたちの知るファイさんではありません」
シャオ:「そ、そんな」
モコナ:「だ、だけど、なんであの時死んだはずのファイが?」

四月 :「講〇社の情報網を甘く見てはいけません。あの時まだファイさんは死んでなかったのです。虫の息だったファイさんを講〇社のエージェントが密かに助け出したというわけです」
黒鋼 :「余計な真似をしやがって」
四月 :「最後に言っておきます。ファイさんの記憶を元通りにするのは絶対に不可能です」
小狼 :「ふ、不可能……」
四月 :「さあファイさん。お遊びはそれくらいにしてください。そろそろ本気で頼みますよ」

ファイ:「りょ〜〜かい。いっくよ〜〜。セレス流奥義・賓奔汎(ピンポンパン)!」

バシッ!
バシッ!
バッ
バッ
バッ!

黒鋼 :「こ、これは!」

バッ
バッ!
ユバッ!

黒鋼 :「ぐっ!」

バッ
バッ
シャッ!

ケロ :「な、なんやあの両端に変な玉っころのついた刃物は!」
モコナ:「すごい勢いで壁に反射して襲ってくるよ!」
山崎 :「ぬぅ、あれが世に聞く賓奔汎……」
小狼 :「賓奔汎!?」

賓奔汎(ピンポンパン)……

中国明代に考案された屋内戦用の武具。
その特色は刃の両端に設置された特殊ゴム製の球にある。
極めて弾力に富んだこのゴム球を利用し、屋内の壁に乱反射させて思わぬ方向から攻撃を加えるのが奥義・賓奔汎の骨子である。
もちろんこの戦法を確立するためには精緻微妙なる角度の計算が必要なのは言うまでもない。
昭和の代に人気を誇った幼児向け番組「ピンポンパン」がこの奥義の躍動する様から名をとっているのは懸命なる読者の推察通りである。

民明書房刊:『屋内戦闘要諦一覧』より

ファイ:「さすがは黒さま。なかなかやるねえ。でもこの賓奔汎をもう一つ増やしたらどうなるかなあ?」
黒鋼 :「てめえ! 本当は記憶が戻ってるんじゃねえのか!?」
ファイ:「さ〜〜てね。それっ!」


バシッ!
ビュォッ!
バッ
バッ
バッ!

黒鋼 :「ぬぐっ!」
モコナ:「黒鋼〜〜!」
シャオ:「いけない。このままじゃあ、黒鋼さん本当にファイさんにやられてしまう!」
四月 :「ははっ、その調子ですよファイさん。相手は手も足もでないみたいですね」
黒鋼 :「そ、そいつはどうかな」

カッ

黒鋼 :「俺をそう簡単に倒せると思ったか!」

ガン!
黒鋼、渾身の一撃!
はじき返した賓奔汎が四月一日へと飛ぶ!

四月 :「う、うわわわわ〜〜ファイさ〜〜ん」
ファイ:「もう、しょうがないなあ。はっ!」


ガシッ!
間一髪でファイが弾いたもう一つの賓奔汎が四月一日へ飛んだ賓奔汎を撃ち落す。
その刹那、ファイに生じた一瞬の隙。
それを見逃す黒鋼ではない。

黒鋼 :「やはりな。今のお前ならそうすると思ったぜ」
ファイ:「くっ」
黒鋼 :「これで飛び道具はなくなった!」

体勢を崩したファイの背後をとった黒鋼。
そして。

ズバァァァッ!!

ファイ:「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」

剛剣一閃!
一刀両断!
黒鋼、容赦なし!

ファイ:「く、黒さま……ここは洗脳された仲間を救うために苦悩するところじゃないの?」
黒鋼 :「あぁん? なんでそんな面倒くせえ真似しなきゃならねえんだ。あほらしい」
ファイ;「そ、そうだよね。黒さまはそういう人だよね……がくっ」
四月 :「ファ、ファイさ〜〜ん、そんな簡単にやられちゃうのは」
黒鋼 :「うるせえやつだな。お前も死んどけ。諏訪家奥義・暹氣虎魂!」

ブバッ!

四月 :「うわぁ〜〜〜〜〜〜」

どっかぁぁぁぁ〜〜ん!!

奥義・暹氣虎魂、炸裂!

四月 :「そ、そんな……ようやく登場できたと思ったのに……がくっ」
侑子 :「死亡確認!」


ファイ・D・フローライト、死亡確認!
四月一日君尋、死亡確認!

黒鋼 :「ふう。手間取らせやがって。かたをつけてきたぜ」
シャオ:「で、でも。ファイさんが」
黒鋼 :「あぁ? まあ、どうにかなるだろ」
シャオ:「どうにかって……」

山崎 :「はははは、そう心配しなくても多分、大丈夫だよ」
シャオ:「そうなんですか?」
山崎 :「このマンガの死亡確認! はあてにならないことで有名だからね。そのうちひょっこり顔を出すと思うよ」
シャオ:「はぁ」

男塾マメ知識:
王大人の代名詞とも言える「死亡確認!」だが実のところ作中で3回しか言っていない。言われた3人がちゃっかり生きていたのは皆さんご存知の通り。

知世 :「USBメモリはファイさんが持ってましたわ」
小狼 :「これで2つか。あと5つ……」
ケロ :「まっとれや〜〜さくら! 今、助けに行くで〜〜」
黒鋼 :「けっ。どんなやつがこようと俺の敵じゃねえ!」
モコナ:「黒鋼、その意気だ!」
シャオ:「いきましょう。次の牙へ」
小狼 :「よし。行こう!」


第二の牙を乗り越えた小狼たち!
勝利の勢いをそのままに第三の牙へと向かう!
魔蛾塵フェスティバル、第三の牙で待ち受けるのはいったい何者か!
なんとなく、そろそろさくらが目覚めて流れ星に乗ってかってに帰ってきそうな気もするけど細かいことは気にするな!
戦え、小狼!
戦え、黒鋼、シャオラン、知世、ケルベロス、モコナ!
戦わなければ生き残れない!

to be continued……


このところ男塾づいている理由は男塾・外伝マンガの異様な熱気のため。
大豪院邪鬼、伊達臣人、赤石剛次、ととにかくクソ熱い。
おまけにツッコミどころ満載。
どれも全ページ、ツッコまざるをえないという怪作。
自分のような者にはたまらぬ逸品です。
大豪院邪鬼は特におススメ。
邪鬼様の熱さにしびれてください。

大豪院流奥義・明神疾憔極門 !

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