『お薬(裏)』

そしてさくらの意識は深い闇に堕ちていった・・・

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

「!?」

どれくらい時間がたったのか。さくらは目をさました。
だが様子が変だ。
小狼の部屋にいたはずなのに薄暗い牢獄のような場所にいる。
おまけに何も着ていない。生まれたままの姿だ。

『カシャッ』

ふいにデジカメのシャッター音が響く。
あわてて胸を隠そうとしたが手が動かせない。何かで固定されている。

「ようやくお目覚めか」

声の方に振り向くとデジカメを構えた小狼が立っていた。

「しゃ、小狼くん?」

『カシャッ』『カシャッ』『カシャッ』

小狼はさくらの問いかけを無視して無言でデジカメのシャッターを切り続ける。
さくらは恥ずかしくて体を隠したかったが動けない。
何回もシャッターを切ってようやく満足したのか、小狼はデジカメを降ろした。

「可愛い写真だろう?」

デジカメを操作してさくらに自分のあられもない姿を見せる。

「こいつを町中にばら撒いてやろうか?それともインターネットで世界中に配信してやろうか?」
「い、いや・・・」
「だったらどうすればいいか・・・わかるよな?」
「あぁ・・・」

さくらは観念して目を閉じた・・・

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

「・・・ん・・・や・・・」

ソファーで眠りこけるさくらに毛布をかけていた小狼はさくらの声に手を止めた。
だが目を覚ます気配はない。寝言だったようだ。

(寝言か。夢でも見てるのか。それにしてもどんな夢を見てるんだ?)

時々、イヤイヤをするように身体をよじるが顔はやけに嬉しそうだ。
ひょっとして大道寺に何かされてる夢か?などと考えながらテーブルの上の紅茶を片付ける。
そして残った紅茶を口に含んだ時、またさくらの声が聞こえた。

「あぁっ!やめて小狼くん!そこはダメェッ!ゆるしてぇっ!!!」

「?×??※△〒??〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!!!」

小狼は口にした紅茶を一気に吹き出してしまった。

(なんだ〜〜〜!?何をやってるんだ!?夢の中のおれは!!!)

一体、奈緒子たちに何を吹き込まれたのか・・・
あたふたしながら吹き出した紅茶を拭き取る小狼の横で、さくらは幸せそうに眠り続けていた。

END

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