『涙(凶)』
(※この先、R18指定で過激な表現を含みますので苦手な方はご遠慮ください)
「い・・・や・・・もう、これ以上は・・・」
さくらが泣いている。
二度と泣かせないと誓ったはずのさくらが。
泣いている。
苦悶の涙を流している。
オレの下で。
オレに組み敷かれて。
オレに貫かれながら。
やめろ
やめるんだ
さくらは苦しんでいる
今すぐさくらを離せ
頭の中でそう叫ぶオレがいる。
だけど、オレの身体は止まらない。
魔力に突き動かされた身体はさくらを責め続ける。
暴走する『月の魔力』に支配された身体が。
オレの魔力の源は月。
それゆえ月の満ち欠けによって魔力が増減する。
新月の日にもっとも低下し満月の日に最大になる。
そして、満月の夜は最高潮となった魔力の影響を受けて精神も身体も異常に昂ぶる。
この魔力を思うままに解放したい。
目の前の全てを破壊してしまいたい。
邪悪な欲望にとり憑かれる。
それは何があっても守ると誓ったさくらに対しても変わらない。
いや、むしろさくらこそがこの欲望の対象になる。
さくらを滅茶苦茶に壊してしまいたい。
あの白い身体を心ゆくまで蹂躙したい。
あの無垢な心を下衆な欲望で塗りつぶしてしまいたい。
「守る」と誓ったからこそ、何よりも大切なものだからこそ自分の手で完膚なきまで破壊してしまいたい。
矛盾した想い。
これまではなんとかその欲望を抑えてきた。
さくらと本当に結ばれてからしばらくはこの欲望も静まっていた。
だが、魔力と体の成長に伴って欲望も強くなる。
満月を迎えるたびに、一人部屋の中で歯噛みしてこの欲望を抑えてきた。
両手で血が出るほど強く自分の体を抱きしめ夜明けを待ちわびた。
それも強くなる欲望の前には無駄なことだった。
さくらを守りたい。
さくらを守るためにもっと強くなりたい。
もっと強い魔力が欲しい。
そうして強くなった魔力が欲望を強くする。
守るための力が、守る対象を傷つけることを求める。
この矛盾。
そしてついにオレはその欲望に負けてしまった。
いや、それは言い訳だ。
いつもオレ自身が心のどこかで望んでいたのだ。
さくらを汚したいと。
『今すぐ会いたい』
たった1行のメールに何の疑いも持たずにさくらはやってきた。
飢えた狼の牙にかかりに。
――――――――――――――――――――――――――――――
「う・・・あ・・・」
さくらが苦しげに呻く。
その体にはオレが吐き出した欲望の残滓と邪悪な『呪紋』がへばりついている。
『禁』
『避』
オレがさくらの体に刻み付けた呪だ。
『避妊のための術だよ。まだ赤ちゃんができるのは早すぎるからな』
その言葉をさくらは疑いもせずに術にかけられた。
避妊のための術というのは嘘ではない。
だがさくらに刻んだ呪はそれだけではない。
『淫』
『縛』
『封』
身体を淫らにする呪。
四肢の自由を奪う呪。
魔力の発動を封じる呪。
女性を貶めるための術。
本来ならばオレより魔力の強いさくらにはかからないはずの術。
それを避妊のためなどと偽りさくらに施す。
なんという卑劣な男なんだオレは。
栄光ある李一族の当主のすることか。
そう思っても術をかける手が止められない。
「小狼くん?これ、いったいなに?なにをしてるの?」
施術が終わった時、さくらも自分が何をされたか気づいたようだ。
当然だろう。
指一本動かせなくなっているのだから。
そしてようやく気づいたようだ。
目の前にいるのが「優しい小狼くん」ではなく、薄汚い欲望に支配された獣であることに。
「小狼・・・くん?」
怯えた目でオレを見つめる。
いつも強い意志を秘めて輝いている瞳が、捕獲された小動物のように震えている。
欲望に支配されたオレはその瞳にも歪んだ悦びを感じた。
さくらの小ぶりだが形のいい胸を荒々しく揉みしだき、その頂点にある桃色の突起に舌を這わせる。
「ん・・・んん・・・」
いつもより激しい愛撫にさくらも戸惑いながらも感じ始めたようだ。
だが、今日のオレはこの程度では満足できない。
しこり始めたその突起に歯を立てて噛み付いた。
「ひぅっ・・・!」
いきなり与えられた未知の刺激にさくらの体がはね上がった。
性の知識の少ないさくらは痛みを伴う愛撫があることなど想像もしていなかったろう。
今度こそ真正の恐怖を含んだ目でオレを見返す。
「いや・・・、小狼くん、やめて!」
「いや?もう、こんなになっているのに?」
言いながらさくらの秘所に指を挿し込んだ。
熱くぬるんだ肉壁が指に絡みつく。
無論、悦びの表現ではない。
淫靡な術で無理やり体を燃え立たされているだけだ。
それを知りながら、なおも卑猥な言葉でさくらを責め立てる。
「こんなになっているのに嫌、はないだろう?さくら」
「いや、こんなのいやぁっ!・・・んむうっ!」
淫らな露に濡れた指を今度はさくらの口に挿し入れて言葉を封じる。
自分の雫を舐めさせられる、こんな体験ももちろん初めてだろう。
四肢の自由を奪われた上に言葉までも奪われる。
もはや、目の前にいるのはクロウカードの後継者でも世界最高の魔術師でもない。
狼に引き裂かれるのを待つだけの哀れな子羊だ。
「だったらこれはなんなんだ、さくら。このいやらしい雫は?素直になったほうがいいぞ」
「いや・・・や・・・」
「強情だな。まあいい。そろそろいくぞ、さくら」
「やめ・・・あぁっ!」
獣の凶器に突き上げられ、望まぬ絶頂に押し上げられたさくらの悲鳴が部屋の中に響いた。
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どれほど時間がたったのか。
幾度、さくらの中に精を放ったのか。
それすら定かではない。
抵抗する術を持たない無力な少女をオレは思うがままに貪った。
ただ貫き責めるだけではない。
身動きできない体を好きなように曲げ、伸ばし、卑猥なポーズをとらせて眺め視線で汚す。
羞恥に震える耳元でいやらしい言葉を囁いて辱める。
敏感な突起をしゃぶり、つまみ、はじき、快感と痛みの両方で苛む。
さくらの体のあらゆる箇所をあらゆる手段で汚した。
愛撫などではない。
蹂躙というのが相応しい、ただ己の欲望を満たすためだけの行為。
わかっている。
明日の朝、正気に戻った自分がどんな醜態を晒すのか。
どんなミジメな思いをするのか。
きっと、見るに耐えないような無様で滑稽な姿でさくらに許しを請うのだろう。
涙すら流しながらオレを嫌いにならないでくれ、許してくれと請い続けるだろう。
わかっている。
でも止められない。
それにもう一つわかっていることがある。
さくらはそんなオレを何も言わずに許してくれる。
傷ついてボロボロになった自分のことなど何も省みずにオレを抱きしめてくれる。
そして優しく微笑みながら
「わたしは大丈夫だから。小狼くんを嫌いになったりしないよ」
そう言ってくれる。
それもわかっている。
それに自分は甘えている。
それでも・・・それでも止められない。
この欲望を。
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「小狼・・・く・・・ん・・・もう、許して・・・」
涙を流して哀願するさくら。
本当にこいつの涙はキレイだ。
だが、今のオレにはその涙すら欲望の対象になる。
さくらの頬を流れる涙を舌で拭い取る。
甘い。
しょっぱいはずの涙がオレの舌にはなによりも甘く感じる。
その甘さが欲望をさらに加速させる。
「さくら。お前が悪いんだ。お前が・・・お前の存在がオレを狂わせるんだ・・・」
「しゃお・・・らん・・・くん・・・・・・」
さくら。
お前は誰にも傷つけさせない。
誰にも泣かせない。
『他の誰か』には。
お前を傷つけていいのは、お前を泣かせていいのはオレだけだ。
だから泣いてくれさくら。
オレの前だけで
オレのためだけに
END
涙(狼)の初期版です。
タイトルどおりでちょっと小狼が狂気に走りすぎた気がしたので改定して狼に変えました。
狼の方もかなり凶悪ですが・・・。