『ウサギとカメ・リバース』


世界迷作劇場その8改 ウサギとカメ キャスト変更版

キャスト
ウサギ:さくら
カメ:小狼

特別出演 森の動物達
ネコ:知世
森の村長さん:山崎

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むかしむかしのその昔。
とある森の中にウサギさんとカメさんが住んでいました。
この二人はとても仲が悪く、顔を合わせるときまったように言い争いになってしまうのでした。

「弱い。そんな力で森の平和を守るのは無理だ」
「そんなのやってみなきゃわからないでしょ」
「やらなくてもわかる。お前には無理だ」
「む〜〜〜〜」

まあなんといいますか。
はたから見てると素直になれないバカップルにしか見えないんですけどね。
二人とも恋愛レベルがお子ちゃまですので。
それはさておき。

「お前の長所は足が速い、ただそれだけだ。そんなことで森の平和が守れると思ってるのか」
「足が速いのはいいことだよ。みんなのピンチにすぐ駆けつけられるもん」
「ふん。それもたいした速さじゃない。そんなもの何の役にもたたない」
「そんなことないもん! 少なくとも小狼くんよりは速いんだから。小狼くんよりはみんなの役にたってるよ!」
「ほう。自信だけはたいしたものだな。それじゃあ、本当に足が速いかどうかおれと勝負してみるか?」
「望むところだよ!」
「ならば明日、勝負といこう」
「明日だね。わかったよ。あ、一応言っとくけど魔法を使うのはなしだからね」
「当然だ。魔法なんか使わずともお前なんかには負けない(魔法は、な。ククク・・・・・・)」

売り言葉に買い言葉。
カメさんとかけっこ勝負をすることになってしまったウサギさん。
でもウサギさん、大丈夫でしょうか?
カメさん、なにやらよからぬことを企んでいるみたいですけど。

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まあそれはさておき。
こうして始まったかけっこ勝負。

「二人とも用意はいいかな? それじゃあヨ〜〜イ・・・・・・」

パアァァァン!

スタートの号砲一発、走り出すウサギさんとカメさん。
やはり走力ではウサギさんが圧倒的に有利。
あっという間にカメさんを引き離し、カメさんを置き去り状態にしてしまいます。
けれど、カメさんは少しも焦りません。

「今のうちに楽しんでおくんだな。仮初めの勝利の味ってやつを。ククク・・・・・・」

う〜〜む。
カメさん、やはりなにか怪しい企みごとを隠しているようです。
いったい、どんな手を使うつもりなのでしょうか。

さて。
一方のウサギさん。

「ハァハァ。ここまできたらもう、わたしの勝ちは決まりかな」

カメさんに影さえ踏ませぬブッチギリの独走状態で最後の給水所までやってきました。
ここまでくればもう、ゴールまであとわずかです。

「さくらちゃん、おつかれさまです」
「あ、知世ちゃん」

最後の給水所にいたのはウサギさんのお友達のネコさん。
優しい笑顔でウサギさんにコップを差し出します。

「さあ、さくらちゃん。ゴールまではあとわずかです。これを飲んで最後の一頑張りをしてくださいな」
「うん。ありがとう知世ちゃん。それじゃあ、行ってくるよ」
「がんばってくださいな、さくらちゃん。おほほほほ〜〜〜〜(ニヤリ)」

ネコさんの黒い微笑みに気づかずコップを受け取ってしまうウサギさん。
この辺はやっぱりウサギさん、ちょっとポヤヤンすぎなところがありますね。

「さあ、ゴールまではあと少しだ。がんばるぞ〜〜・・・・・・って、あれ? なんか眠くなってきたような・・・・・・?」

ウサギさん、ゴールまであとわずかというところで急に眠くなってしまいました。
いけない、あと少しだけ走らなきゃとは思うのですが、この眠さはただ事ではありません。

「おかしい・・・・・・な。昨日はよく寝たはずなのに。いけない・・・・・・、こんなところで寝ちゃダメ・・・・・・だ・・・・・・め・・・・・・・・・・・・」

ふらふら〜〜
バタッ。

すぅーっ すぅーっ・・・・・・

おやおや。
ウサギさん、とうとう眠気に耐え切れずにバッタリと倒れて眠り込んでしまいました。
道のど真ん中ですぅすぅと気持ちよさげな寝息をたてて眠るウサギさん。
それに忍び寄る黒い不気味な影・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・

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「はっ!」

ウサギさんが目を覚ましたのは眠りに落ちてからどれくらいたったころでしょうか。
あたりはすっかり暗くなっていました。

「いけない! 早くゴールに向かわないと! って、あ、あれ? ここ、どこ?」

あわてて起き上がろうとしたウサギさんでしたが、そこで自分のいるところが変なことに気がつきました。
たしか自分は道の真ん中で倒れたはずです。
それなのに、今いるところはそうではありません。
どう見てもどこかの森の中、それもかなり深いところです。
困惑するウサギさん。
それを見下ろす不吉な影。

「ようやく目を覚ましたのか」

黒い影の正体。それは・・・・・・
ま、今さらもったいぶってもしょうがないですね。
影の正体はもちろんカメさんです。

「小狼くん!?」
「ずいぶんと長いお休みだったな。起きるのを待ってたら日が暮れちゃったぞ」
「え、もうそんな時間? かけっこ勝負はどうなったの?」
「もちろんおれの勝ちだ。ほら」

驚くウサギさんにカメさんは1枚の賞状を見せます。
それには

「表彰状 カメ殿

貴方は友枝森かけっこ勝負に見事に優勝しました。
よってそれをここに表彰いたします。
おめでとう。パチパチパチ。

優勝賞品は負けちゃったウサギさんです。
煮るなり焼くなり好きなようにしちゃってください。
それじゃあね〜〜。あはははは〜〜〜〜。

友枝森村長:山崎 貴史」

と書いてあるのでした。

「えええ〜〜!?!?!? なにこれ〜〜??」
「かけっこ勝負の結果証明書だ。お前が寝てる間にもらってきた」
「そんなあ〜〜」
「まあ、そういうことだ。所詮、お前はおれの敵じゃなかったってことだ」
「うわ〜〜ん、くやしい〜〜! ん? そ、それはともかくとして。わたし、なんでこんなところにいるの?」
「そんなのきまってる。おれが運んできたんだ。お楽しみを他のヤツに邪魔されたくないからな」
「お楽しみ? なにそれ」
「おいおい。その賞状よく読んだのか。ちゃんと下の方に書いてあるだろう?」
「なになに。え〜っと、優勝賞品は負けちゃったウサギさんです? 煮るなり焼くなり好きなようにしちゃってください?」
「わかったか。お前はもうおれのものなんだよ。おれが何をしようとお前には抵抗する自由はないんだよ。何をしようともなあ・・・・・・」

淫靡な笑みを浮かべてじりじりとにじりよるカメさん。

「あは、あははは・・・・・・」

引きつった笑顔でずりずりと後ずさるウサギさん。
そりゃあそうでしょう。
誰も助けに来なさそうな薄暗い森の中で男の子と二人っきり。
女の子にはかなりデンジャラスなシチュエーションです。
これにはポヤヤンなウサギさんもさすがに身の危険を感じたようですね。

「え、え〜〜っと。それじゃまたね、小狼くん!」

ウサギさん、カメさんを置いて文字通り脱兎の勢いで逃げ出しました。
なんだかんだいって自分の方が足は早いんだから逃げ切れるとふんだのでしょう。

しか〜〜し。

「バカめ。おれから逃げられるとでも思っているのか。キャストオフ!」

カッ!!

鋭い気合と共にカメさんが甲羅についたレバーを倒すとあ〜〜ら不思議。
カメさんの甲羅はバラバラになって弾け飛んでしまいました。
その下からはスリムで筋肉質なボディが姿を現します。
さらに

「クロックアップ!」

の叫びとともにベルトのスイッチを押すと一瞬でウサギさんを追い抜いてしまいました。
凄まじい超加速力です。
これにはウサギさんも吃驚仰天。

「しゃ、小狼くん・・・・・・なの? な、なんなの、その姿は??」
「驚いたか。これがおれの真の姿、仮面ライダートータス・ライダーフォームだ!」

説明しよう!
仮面ライダートータスは「マスクドフォーム」と「ライダーフォーム」、2つの姿を有している!
普段は防御力の高いマスクドフォームをとっているが、動きの早い敵に対抗する時はプロテクター(甲羅)をキャストオフして高速形態・ライダーフォームへと変化するのだ!
さらにベルトのスイッチを入れることで超スピードで行動できる「クロックアップ」が発動!
人智を超えた超加速力で敵を翻弄する!

・・・・・・って、そんな便利なものがあるなら最初から使ってれば楽勝じゃね? というツッコミは例によってスルーの方向で。

驚きのあまり硬直するウサギさんをカメさんは目にも止まらぬ速さで縛り上げてしまいます。
それも少年少女向けの雑誌には絶対に出てこないエッチな縛り方でです。

「出来た! 亀の亀による亀のための縛り! これぞ真・亀甲縛り!」

またまたうまいこと言ったつもりでドヤ顔を決めるカメさん。
だから似合ってませんて。

「ほえええ〜〜〜〜」
「ようやくおれのものになってくれたなあ、さくら。タップリと楽しませてもらうぞ」
「ダメ〜〜。こんなところじゃダメぇぇぇ〜〜。人が来ちゃうよ〜〜」
「それもそうだな。時間はいくらでもあることだし、家に持ち帰ってゆっくり楽しむことにするか」
「それもダメぇぇぇ〜〜。ダメなの〜〜」
「あきらめろよ、さくら。お前はもうおれのものなんだ。この先もずっとな。ククク・・・・・・」
「はううう〜〜〜〜」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・

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こうしてカメさんのお家(ショッカー秘密基地・友枝支部)にお持ち帰りされてしまったウサギさん。
夜な夜な人体改造という名目のエッチないたずらで可愛いお肉を隅から隅まで丹念に調べ上げられてしまうのでありました。

めでたしめでたし。

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(全然めでたくないよ〜〜。わたし、やっぱりやられ役じゃないの。こんなのやだよ〜〜))
(さくら。おれと一緒なのがそんなにいやなのか?)
(そ、それは・・・・・・。いやじゃないよ・・・・・・)
(だったら問題なしだな。めでたしめでたしだ)
(でもでも! エッチなのはだめなの〜〜!)

めでたしめでたし?

END


通りすがりのカードキャプターだ! おぼえておけ!

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