『真・鶴の恩返し』


拍手お礼ストーリー
日本迷作劇場その3改 真・鶴の恩返し

キャスト
村の若者:小狼
鶴:?

―――――――――――――――――――――――――――――――――

ある雪の日。
村の若者、小狼は罠にかかった鶴を助けてあげました。
この若者は生まれつき心が優しく、困っている者を見ると助けずにはいられないのです。

(今度こそ素敵な女性が恩返しに来てくれるんだよな!)

などと呟いていたのは聞かなかったことにしましょう。
前回の失敗に懲りずに・・・などという野暮なツッコミも避けたいと思います。

さて、その夜。

トントントン・・・

若者の家の戸を叩く音が。

(今度は大丈夫だろうな!)

と勢いよく戸を空けた若者の目に入ったのは

「夜分遅くに申し訳ありません。旅の者ですがこの雪に難儀してしまいまして・・・」

黒い長髪を垂らした美しい少女。

「大道寺・・・。今度はお前か・・・」
「申し訳ありませんが一晩、お泊め願えないでしょうか」

前回以上に速攻でお帰り願いたいところですが、断ったらこの女は何をしでかすかわかりません。
黒瞳の奥から滲み出る禍々しいオーラに気圧されて、しぶしぶ中に招き入れる若者でした。

〜中略〜

「1つだけお願いがあります。夜の間は決してわたしの部屋を覗かないでください」
「ずいぶん展開が早いな。まあ、わかったよ」

その夜、挨拶も早々に図々しく注文をつけてくる少女。
ま、普通に考えると夜中に若い女性の部屋を覗くのはかなり問題があります。
今夜一晩だけ泊めてさっさと出て行ってもらおうと考えた若者。
前回のこともありますし、一晩何もしないで放っておこうと思っていました。

しかし。

ガサガサ。ゴソゴソ。
カチャッ、カチャッ
キリキリキリ

少女の部屋からなにやら怪しい音がしてきます。
どう考えても何かよくないことをしているとしか思えません。
さすがに気になってそ〜っと覗いた若者が見たモノは・・・

「距離300・・・風向き北北西・・・風速6・・・」

最新式の狙撃銃を構える少女の姿。

「な!?何をやってるんだ!!」
「あら。あれほど中を見るなと言っておきましたのに」
「それで一体、何を撃つ気だ!」
「ご存知ありませんの?今夜、この村にお殿様が視察に来られるのですわ」
「お殿様が?」
「ここは絶好の狙撃ポイントですの」
「そのためにオレの家に・・・お前、テロリストだったのか!?」
「スナイパーと呼んで欲しいですわ。それにしても見られたからには・・・」

チャッ!

「生かしておけませんわね!」
「うわわわ〜〜〜!やめろ〜〜〜っっ!!」

ズギューーーン!!

「・・・がくっ」
「とんだ邪魔が入りましたわ。おっと、そろそろターゲットが通る時間ですわね」

・・・・・・・・・

その夜、領内見回りに出かけたお殿様、木之本桃矢之助様が何者かに狙撃されるという事件があったとかなかったとか。

トモヨ13 第1140話

『雪夜の銃弾』

END(2010年作品)

(だからまたタイトルが途中で変わって・・・)
(あら?まだ息がありますの。しぶといですわね)

ズギューーーン!


拍手お礼ストーリーの再掲です。

戻る