『鶴の恩返し』


拍手お礼ストーリー
日本迷作劇場その3 鶴の恩返し

キャスト
村の若者:小狼
鶴:?
?:雪兎

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ある雪の日。
村の若者、小狼は罠にかかった鶴を助けてあげました。
この若者は生まれつき心が優しく、困っている者を見ると助けずにはいられないのです。
決して

(これで夜には素敵な女性が大判、小判に米俵を持ってお礼に来てくれるだろう!)

などど不純なことは考えていません。
ホントですよ?
なんか別のお話とごっちゃになってる気もしますが、この若者は異国の出身なので日本の昔話に詳しくないのでしょう。
いや、ホントはそんな不純な動機じゃないですから。この若者が優しいからですから。
ホントですって。

さて、その夜。

トントントン・・・

若者の家の戸を叩く音が。

(お、もう来たのか)

と勢い込んで戸を空けた若者の目に入ったのは

「夜分遅くに申し訳ありません。旅の者ですがこの雪に難儀してしまいまして・・・」

銀の長髪を垂らした美しい青年・・・もとい、女性。

「ユエ・・・。何やってんだよ・・・」
「申し訳ありませんが一晩、お泊め願えないでしょうか」

はっきり言って速攻でお帰り願いたいところですが、困っている人を見捨てるわけにもいきません。
しぶしぶ家に招き入れる若者なのでした。

〜中略〜

「1つだけお願いがあります。わたしがこの部屋にこもっている間は決して中を覗かないでください」
「あぁ。わかったよ」

さて、あれからよくわからない経緯で家にいついてしまった女性。
恩を返すために機を織りたい、そのために部屋を貸して欲しいと言い出してきました。

(覗かなければいいモノを作ってくれるんだよな。このパターンは)

とまたまた不純なことを考えてしばらくは覗かなかった若者。
ですが、覗くなと言われると覗きたくなってしまうのが人の性。
ついに我慢ができなくなったある夜。
そ〜っと女性の部屋を覗いた若者が見たモノは・・・

「ぱくぱく、もぐもぐ、ごっくん。いや〜美味しいなあ〜このお米」
「いいから黙って食え」
「うん。ぱくぱくもぐもぐ・・・」

長髪に隠されたもう一つの顔にご飯を放り込み続ける女性の姿。
そう、女性の正体は妖怪・二口女だったのです!

「な、なんだ!お前たちは!?」
「はっ!見〜〜〜た〜〜〜な〜〜〜!」
「最近お米が減るのが早いと思ったら・・・!」
「まずいとこ見られちゃったな〜〜〜。でも、見られたからには・・・」
「見られたからには・・・」
「「生かしておけない!」」
「な!?や、やめろ〜っ!う、うわぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!!」

・・・・・・・・・

こうして哀れな若者は妖怪の餌食となってしまうのでした。

「怪奇!二口女の恐怖!」

終。

(ちょっと待てぇぇぇ〜〜〜!タイトルが変わってるぞ〜〜〜!鶴の恩返しじゃなかったのか〜〜〜!!)
(ん〜〜〜?お腹の中でうるさいなあ〜〜〜)
(さっさと消化しろ)
(うわわわ!と、溶ける!助けてくれ〜〜〜)


拍手お礼ストーリーの再掲です。

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