愛・人魚姫
拍手お礼ストーリー
世界迷作劇場その2 愛・人魚姫 後編
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「さくら。ここへいたのか」
当の小狼王子が登場。
「こんなところで何をやってるんだ」
(小狼さま・・・)
「星でも見てたのか?ふふっ、ロマンチストなんだなさくら・・・」
(あ・・・小狼さま!?ん、ふぅぅ・・・!)
小狼王子、さくらを引き寄せるといきなりディープキスをかましました。
さらに服の上から胸を揉みしだきます。
とんでもないエロ王子です。
(小狼さま、今はダメェっ!ケロちゃんたちが見てるの!)
「なんだ、さくら人が来るのが心配なのか?大丈夫、ここには誰も来ないよ。誰にも見られたりはしないさ」
見られてます。
めっちゃ見られてます。
呆気にとられたユエとケルベロスが至近距離からめっちゃ見てます。
けれども小狼王子は気づきません。
俗に言う
「志村〜〜〜後ろ、後ろ!!!」
状態です。
(だ、だめぇっ!!!小狼さま、今だけはだめぇっ!)
「さくら・・・今日はいつもより激しいな・・・」
そりゃあそうでしょう。
こんなところを知り合いに見られてたら恥ずかしくてやってられません。
が、小狼王子は抵抗されるとかえって燃えるタイプのようです。
この鬼畜王子!
もちろん、そのような非道な行いを天が許すはずはありません。
「さくらちゃんから離れなさい!この外道!」
天の道を往き総てを司る(つもりの)女、知世姫の登場です。
「なんだ知世姫。まだいたのか。さっさと自分の国に帰ったらどうだ」
「お黙りなさい!さくらちゃん可哀想に・・・貴方はさくらちゃんが嫌がってるのがわからないのですか!」
「嫌がってる?ふん、これは悦んでるのさ。お前こそわかってないらしいな」
「いいえ!さくらちゃんを悦ばせられるのはわたしだけですわ!」
「その勝負ならこの間、決着がついたはずだが」
「くっ・・・たしかにあの時は不覚をとりました。ですが今夜は!」
バサァッ!
華麗にマントをひるがえす知世姫!
その下に隠されていたのは!
え〜っと。
なんといいますか。その。
ようするに「そういうお道具」です。
「このラブ・デラックス・マシーン・サバイブで今度こそさくらちゃんを天国へ連れて行ってさしあげますわ!!!」
「ふっ、笑止!そんな魂の通わぬ道具でオレに勝てるとでも思っているのか!」
「やってみなければわかりませんわ!それとも負けるのが怖いのですの?」
「なにぃ!言わせておけば!ならば、今度こそ完全な決着をつけてやる!」
「望むところですわ!」
「勝負は1時間!その間により多くさくらを悦ばせた方が勝ちだ!」
「委細承知!では、さくらちゃん。まいります!」
「さくら!いくぞ!!」
(ほ、ほぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜!!!)
!!!○×△※□▼*X@▽%#〜〜〜・・・・・・・・・………
神聖なる精霊たちの目の前で繰り広げられる悶犯荒淫修羅絵巻。
(ケロちゃ〜〜〜ん、ユエさ〜〜〜ん!お願いだから見ないでえぇぇ〜〜〜!今日のところは帰ってえぇぇ〜〜〜っっ!!!)
虚空に響き渡るさくらの声無き哀願・・・
「・・・帰るか」
「・・・そやな」
二人には今のさくらの状況がこれ以上はないというくらいによ〜くわかりました。
とりあえず危険なことはなさそうです。
そして同時に悟ってしまいました。
さくらがやつれていた理由を。
「毎日あんな目にあってりゃ、やつれもするわ!」
・・・と。
☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆
「・・・・・・・・・」
精霊たちの報告を受けた桃矢王はしばらく無言でした。
正直、ユエもケルベロスも桃矢王にこの話はしたくないな〜と思っていました。
二人とも桃矢王がどれほどさくら姫を大事に育てていたか知っています。
そのさくらが、BLマンガも真っ青の愛欲まみれの日々を過ごしていると知ったら桃矢王、卒倒してしまうかもしれません。
(やっぱり言わん方がよかったんやないのか?)
(そうもいくまい。真実を伝えるのが我らの役目だ。それにさくらが無事なことはわかったのだ。これで王も一安心だろう)
(そうか〜〜〜?あの兄ちゃん、ちょっと目つきがおかしくなっとるで?)
ケルベロスの言うとおり桃矢王、目が虚ろです。
さすがにユエも心配になって声をかけようかとした時、
「あぁっ!さくら!」
奇声を上げながら桃矢王が立ち上がりました。
ついに壊れたか?と思ったら
「さくら・・・お前はもうこの世にはいないのだな・・・」
「は?」
「愛する男に裏切られ・・・それでも愛を捨てられず・・・あぁ、可哀想なさくらよ!」
なにやらトンチンカンなことを言っています。
「いや、王よ。さくらは人間の国で無事に・・・」
「わかっている!わかっているぞ、心優しき精霊達よ。私を悲しませまいとしてお前たちが優しいウソをついてくれていることは・・・」
「いや、だから・・・」
「ありがとう、精霊達よ!だが、私はこの悲しみに打ち勝ってみせる!さくらの想い出を胸に!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
桃矢王、目がイっちゃってます。
どうやら王様、あまりにもド阿呆な現実を受け入れられなかったみたいですね。
現実逃避を始めてしまいました。
(やっぱ、この兄ちゃんには無理やったか・・・)
(やれやれ、だな)
「あぁ、可愛いさくらよ!お前のことは決して忘れない!そうだ!お前の儚く、美しい物語を国中に伝えてやろう。未来永劫、お前の可憐さを伝えるために・・・!」
完全にあっちの世界に行ってしまった桃矢王。
その姿に白い目を向けながら精霊たちは心の中でこうツッこむのでした。
「このシスコン王!」
☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆
こうして生まれたのが今も伝わる「人魚姫」の物語です。
えんど
拍手お礼ストーリーの再録です。