人魚姫


拍手お礼ストーリー
世界迷作劇場その1 人魚姫

キャスト
人魚姫:さくら
王子様:小狼
隣国の姫:知世

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ある嵐の晩、船から落ちた王子様を助けた人魚姫。
その王子様のことがいつまでも忘れられず、魔女と契約を交わして人間の体を手に入れました。
『対価』として払ったのは自分の声。
たとえ言葉を交わすことができなくてももう一度あの方に会いたい、その一心で泳ぎにくくなった体を動かして浜を目指します。

さて、一方の王子様。
なにげに浜辺を散歩していたら倒れている人を発見しました。
あわてて駆け寄り助けあげますが、

「おいっ、大丈夫か!って・・・うわっ!」

素っ裸の人魚姫に鼻血ぶーの王子様。若いです。
こうして(どうして?)お城にお持ち帰りされた人魚姫は「さくら」と名づけられて王子様付の侍女として暮らすことになりました。

(小狼様・・・)

言葉を交わすことが出来なくても憧れの王子様の側にいられる。
それだけでさくらは幸せです。

☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆

ですが、その幸せに忍び寄る暗い影。
いつからか「隣国の姫が小狼王子に言い寄っている」という噂がさくらの耳に入ってくるようになりました。
王子との恋が叶わなければ海の泡となって消えてしまう・・・それが魔女と交わした契約。
それでも

(たとえ、わたしが消えてしまっても・・・小狼様が幸せになるのなら・・・)

小狼様さえ幸せなら自分はどうなってもいい・・・さくらはその日が来るまで精一杯明るく振舞おう、それだけを心に誓って小狼に仕え続けました。

☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆

そんなある日の夜、お城で開かれたパーティ。
そこでさくらは初めて隣国の姫に会うことができました。

「ふふっ、貴方がさくらちゃんですのね。噂は聞いてますわ」

長い黒髪。
宝石のような瞳。
白く透き通った肌。
とても綺麗なお姫様です。

(この方が小狼様の・・・この方だったら小狼様もお幸せに・・・)

これで自分も安心して消えていける・・・と心から安堵するさくら。

・・・が。

「さあ、さくらちゃん。女の子同士で話し合いましょう」

とあやしげな部屋に引きずり込まれてしまいます。
???なさくらに先ほどとは別人のような妖しい笑みを浮かべてにじり寄る知世姫。

「あぁっ、さくらちゃん。本当に可愛らしいですわ〜〜〜」
(と、知世姫???え?あ、あの?え?)

なにやらとってもいや〜んな感じになってきました。

「この髪、この肌、この瞳・・・もうたまりませんわ〜〜〜」
(そ、そんなとこさわっちゃダメぇ〜〜〜!!!)
「逃がしませんわよさくらちゃん。わたしがなんであんなヘタレ男に気があるふりをしたと思いますの?全部あなたを手に入れるためのお芝居ですわ!」
(えぇぇっ!?ほ、ほぇぇぇ〜〜〜っっっ!!!)

そう、知世姫はソッチ系の人だったのです。
炸裂する知世姫のラブラブ・ウルトラコンボ。
ようやく解放された時はすでにどっぷり夜も更けていました。

☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆

(知世姫があんな人だったなんて・・・これじゃあ小狼様は・・・?)

小狼の将来に一抹(どころではない)の不安を感じるさくら。

と、そこへ

「さくら。ちょっとオレの部屋まで来てくれるか?」

今度は小狼王子から声をかけられました。

(小狼様・・・)

小狼に声をかけられると今でも嬉しさでいっぱいになるさくら。
当然、こんな夜遅くに男の部屋に呼ばれることの意味などわかっていません。

ガバッ!

案の定、部屋に入ったとたんにベッドに押し倒されてしまいました。

(しゃ、小狼様?)
「さくら・・・知世姫と何をしてたんだ?」
(な、なにをって・・・その・・・あの・・・)
「どうした?口では言えないようなことをしてたのか?」

口ではも何もさくらは言葉を出せないのですが。
まあ、実際のとこ口に出せないようなことをされてましたけど。

「オレは・・・オレはずっとお前を見てたのに・・・お前だけを見てたのに・・・なのに!オレよりあんな女の方がいいのか!さくら!」
(え?えぇっ?しゃ、小狼様がわたしを???えぇぇぇ〜〜〜???)

う〜ん、この王子様、ちょっと自己ちゅーなところがあるみたいですね。
見てるだけじゃ女の子は気づいてくれませんよ?
特にさくらみたいに天然な女の子は。

「お前は誰にも渡さない!誰にも!お前はオレだけのモノだ!」
(小狼様!?あ・・・そんな、心の準備がまだ・・・はぅぅぅ〜〜〜!!!)

またまたさくらの身体を襲う愛のスーパーコンボ。
さくらの声無き絶叫は、空が白くなるまで続きました。

☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆

翌朝。

「知世姫!さくらから手を引いてもらおうか。さくらはオレのモノだ!」
「あら、さくらちゃんはそうは言ってないみたいですけど。昨晩はそれはそれは・・・くすっ」
「それがどうした!さくらを本当に悦ばせられるのはオレだけだ!」
「いいえ!さくらちゃんのことを本当に理解しているのはわたしですわ!」
「なんだと!だったら試してみるか?」
「望むところですわ!」
「さくら!来い!」「さくらちゃん!こちらに!」
(ほ、ほぇぇぇ〜〜〜〜〜〜!!!)

こうして小狼王子と知世姫の(過剰な)愛に包まれて人魚姫は幸せに暮らしたそうです。

めでたしめでたし。

(はぅ〜〜〜そんなにされたら体がもたないよ〜〜〜)

えんど。


拍手お礼ストーリーの再録です。

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