『EXTRA TRACK Other Request』



「お願いしたいことは以上です」
「標的は魔術協会の幹部か……」
「はい」
「一つ確認したいことがある」
「なんでしょう」
「現存するただ一人の“D”の称号を持つ魔道師。お前ならば奴らを始末するのもそう難しくはなかろう。なぜ自分でやらない。金を使ってまで俺に依頼する理由はなんだ」
「たしかにそう難しくはないでしょう。ですが、さすがに足がつきます。それでは後々、やっかいな事になりますから。それに」
「それに?」
「魔法こそが全て、魔法こそが至高、そう信じて疑わない連中に思い知らせてやりたいんですよ。魔法などとは全く関係のない、強大で凶悪な『力』がこの世にはあるということをね。そう、まさに貴方のような」
「魔法が全てと信じる、か。お前などまさにその典型に見えるがな」
「いけませんか?」
「いや……。話しはわかった。やってみよう。報酬の振込みを確認次第、仕事にうつる……」
「では、よろしくお願いします。ミスター・デューク=トウゴウ」

………………………
………………
………

魔法は無敵か。
人智を超えた絶大なる力、魔法。
魔法は無敵であろうか。
答えは否、だ。
中世において魔道師の結界は騎士の振るうあらゆる刀槍を防ぎえた。
この時代、魔道師は無敵の存在と言ってさしつかえなかったであろう。
だが、現代のアーマー・ピアシング(鉄鋼貫通弾)は厚さ5cmのスチール鋼をやすやすと貫通する。
伝説の鎧を薄紙の如く突き破る弾丸に魔法は抗しうるのか。
1km彼方からマッハで飛来する銃弾を魔法は察知しうるのか。

魔法は強大。
しかし、無敵でも完全無欠でもない。
全ての魔道師はこの事実を肝に銘じておくべきである……

END(2018年作品)


今月号を見たらなんとなく。海渡なら“G”に仕事の一つや二つ、依頼しててもおかしくなさそうです。

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