『EXTRA TRACK Other Client』



「以上が今回の標的の特徴です」
「…………」
「ミスター? どうなされました」
「若いな……」
「は?」
「いくつになる?」
「今年で14になります。それがなにか。貴方のルールに依頼人の年齢という項目はなかったと記憶していますが」
「依頼人の歳に興味はない。俺が気にしているのは報酬の支払い能力だけだ……。李一族の次期当主。そこは危惧していない。ただ……」
「ただ、なんでしょう」
「直前の仕事の依頼人がお前と同年齢だったのでな。ティーンエイジの依頼人。これも時代の流れというやつかと思っただけだ……」
「そうでしたか。しかし、貴方に仕事を依頼するティーンエイジなど世界に自分一人と自負していたのですが。やはり世界は広いのですね」
「話の腰を折ったな。続けてくれ……」
「はい」

………………………
………………
………

優しい恋人。親しい友人。
貴方は貴方をとりまく人たちをどれほど深く理解しているであろうか。
恋人の優しい微笑み。
友人の暖かい笑顔。
それが彼らの全てだと貴方は断言することができるだろうか。
彼らが貴方に見せない別の顔を持っていないとどうして言えよう。
闇の深淵につながる冷酷な素顔を……
それを知らないのは幸せなことなのかもしれない。

「小狼くん! 知世ちゃん!」

END(2017年作品)


李家も“G”のお得意様。

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