『マリオネット・3』



あれ―――?

開いた目に入ってくるのは薄暗い天井だけ。
当たり前だ。他のものが見えるはずがない。
でも、さっきまでは別のなにかが見えていたような気がしたのだけど。
天井よりも遥かな高み、空よりももっと高いところで何かを見ていたような。
夢だったのか?
最近、おかしな夢を見ることが多いな。
たしかに何かの夢を見ていたはずなのに、起きると何も覚えていない。
変な夢だ。
少し、疲れてるのかな。
まあ、無理もないか。
さくらを苛めるのにカードを使いすぎてるからな。
高位カードまで使うのはやりすぎか。
ちょっと控えた方がいいかな。

「う、うぅん、小狼様ぁぁ・・・・・・。そんなのいやぁぁ・・・・・・。許してください小狼様・・・・・・」

ふふっ、なんださくら。
夢の中でまでおれに苛められてるのか。
可哀想になあ。
でも、おれから逃げることなんてできないぞ。
お前はもうおれのものなんだから。
お前の体も心も魂も、夢の中までみんなおれのものなんだから。
それがお前の必然なんだよ、さくら。
愛してるよ、さくら。
他の誰よりも。
お前は誰にも渡さない。おれの、おれだけのものだ・・・・・・

―――――――――――――――――――――――――――――――――

この時、小狼には布団の陰に隠れたさくらの顔が見えていなかった。
もしもさくらの顔が見えていたら彼はなんと思っただろうか。
さくらの顔にはかすかな笑みが浮かんでいた。
それは、無邪気さと淫靡さが絶妙に入り混じった―――夢の中の『人形遣い』が浮かべていたのと同じ微笑だった。

END


さっきまで考えていた大事なことことを忘れてしまうというのはツバサのサクラ姫からきています。
この話もネタはかなり前に考えついていたのを放置していましたが、ツバサも再開されたことなので書き上げてみました。
本当はツバサでアホ話を考えていたのですが、しばらくアホ話ばかりだったのでこれではいかんと思ってこっちを掲載しました。

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