『シンデレラ・媚毒編』


世界迷作劇場その5改 シンデレラ・媚毒編

キャスト
シンデレラ:さくら
意地悪な継母:大道寺園美
意地悪な継姉:大道寺知世
親切な魔法使いその1:ケルベロス
親切な魔法使いその2:エリオル
王子様:小狼

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昔々、あるところにシンデレラというとても可愛らしい女の子がいました。
ですが、シンデレラにはとても意地悪な継母と継姉がおり、シンデレラはいつも二人にいじめられて辛い思いをしていました。
そんなある日、お城から王子様のお嫁さん選びの舞踏会を開くとのお知らせが届きます。
着飾って出かける継母と継姉。
一人さびしくお留守番のシンデレラ。
そんなシンデレラを哀れんだ親切な魔法使いさんが、シンデレラにカボチャの馬車と素敵なドレスをプレゼントしてくれました。
シンデレラのあまりの美しさに王子様はすっかり夢中になります。
でも、魔法が続くのは夜の12時まで。
泣く泣く王子様の元を離れるシンデレラ。
翌日からは再び、継母と継姉にいじめられる辛い毎日。
でも、王子様はお城に落ちていたガラスの靴を頼りにシンデレラを捜し当てます。

「おぉ、この靴がピッタリあう貴方があの時の方ですね。お願いです。わたしのお妃になってください」
「はい。小狼さま」

こうして王子様のお嫁さんになったシンデレラは、いつまでも幸せに暮らしたそうです。

めでたしめでたし・・・?

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「どうしたんだい、シンデレラ。最近、元気がないみたいだけど」
「いえ、たいしたことはありませんわ、小狼さま。季節の変わり目でちょっと体調が優れないだけです」
「ならいいんだけど。何か悩んでることがあるのなら何でもオレに言ってくれ」
「ありがとうございます、小狼さま。でも本当に大丈夫です」
「そうか」

優しい王子様の気遣いに笑顔を返すシンデレラ。
ですが、王子様が立ち去ってしまうと、シンデレラの顔にはなぜか物憂げな表情が浮ぶのでした。

大きなお城。
キレイなお部屋に美味しい料理。
大勢の召使達。
なによりもとても優しい素敵な王子様。

何不自由ない、満たされた生活。
そのはずなのに。

(どうしてだろう・・・。なにかが・・・何かが足りない気がする・・・)

シンデレラはこの幸せな毎日に満足していない自分を感じていました。
今の自分には何かが足りない。
でも、その何かがわからない。
足りない何かを探すかのようにお城のバルコニーから遠くを見つめ続けるシンデレラ。

☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆

そんなある日。
シンデレラはふと、自分がいつも同じ方向を見ていることに気がついてしまいました。
遠く、森の彼方の一点。
あそこは・・・あそこにあるのは・・・!

それに気づいた時、シンデレラは走り出していました。
草原を抜け、川を渡り、森を越えてシンデレラは走り続けます。
魔法使いさんにもらったドレスが破けていくのも、ガラスの靴が脱げてしまったのも気にしません。
ただ、ひたすらに走り続けます。
走って走って走り続けて・・・シンデレラが辿り着いたのは意地悪な母子が住む元の家でした。

(なんでわたし、こんなことろに? ここにいたらまた、お母様とお姉さまにいじめられてしまうのに・・・)

頭ではそう考えているのに、シンデレラの足は勝手に動いて家の中に入っていきます。
そうして辿り着いた家の奥では意地悪な継母と継姉がシンデレラを待ち受けていました。

「お帰り。シンデレラ」
「そろそろ戻ってくる頃だと思っていましたわ」

二人の顔に浮ぶ毒々しい淫らな笑み。
それがシンデレラの目には神々しい天使の微笑みのように写りました。
そして悟りました。
自分に足りなかったのはこの二人のキビシイお仕置きだったのだと。

そうなのです。
キビシイお仕置きを受け続けたシンデレラは、もう普通の愛され方では満足できない体になってしまっていたのです・・・

「お母様・・・お姉様・・・わたし・・・」
「ふふっ、何も言わなくていいわよ。シンデレラ。私達にはお前のことはみんなわかってるんだから」
「お母様・・・」
「そうですわ〜〜。シンデレラを満足させてあげられるのは私達だけですわ〜〜」
「お姉様・・・」
「さあ、こちらにおいで。シンデレラ。あんなヘタレ男にうつつを抜かした罰をたっぷりと与えてあげるわ」
「覚悟してくださいね、シンデレラ。もう二度と王子様の前に立てない体にしてさしあげますわ」
「あぁ、お母様、お姉様。お許しを・・・」

許しを乞いながらも口元には淫らな笑みを浮かべるシンデレラ。

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

こうしてシンデレラは優しい継母と継姉の深い愛情を受けて、いつまでも幸せに暮らしたそうです。

HAPPY END?

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「ぐぇぇぇ〜〜〜っっ! な、なにするんや! はなさんかい! ちゃんと小僧を出してやったやないか。何が気に入らんのや!」
「出てきただけだろうが! 大体なんなんだ、このストーリーは! こんなシンデレラがあるか!」
「最近はよくあるやないか。本当はエッチな○○物語っちゅうのが。コンビニでよく売っとるやろ」
「それでもシンデレラの相手は普通、王子様だろうが! なんで意地悪な母子になる! ・・・? おい、なんだそのお菓子の束は。さてはお前、大道寺に買収されてたな!」
「これは正統な対価っちゅうやつや。対価に見合う仕事はせんといかんからな。うげげ、く、首〜〜、絞まっとる絞まっとる! はなせ〜〜 苦しい〜〜」
「まあまあ、李くん。落ち着いて」
「!? 柊沢?」
「ケルベロスにそんな高尚なストーリーを求めても無駄ですよ。どうでしょう。ここは一つ、私に任せてみませんか。私ならば書いてさしあげますよ。シンデレラと王子様の愛と交歓のストーリーをね」
「そうか! それじゃあ頼んだぞ、柊沢!」
「まかせてください」
「(アホが・・・。クロウがそんなもん書くはずないやないか。進歩のない小僧やな〜〜)」

to be continued・・・?


シンデレラ・真実の愛編に続く?

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