『誕生日プレゼント(闇・オチ)』



「おい、ユキ。そろそろ出してくれよ」
「ダメだよ桃矢。そんなにさくらちゃんとあの子の仲を邪魔をしたいの?」

ここは友枝町三丁目、大道寺邸。
その秘密地下室。
桃矢はこの部屋に監禁されていた。

実は桃矢が藤隆について北海道に行った・・・というのは真っ赤な嘘である。

大道寺知世・立案・発動の

「さくらちゃんに李くんとの素晴らしい1日をプレゼントですわ〜計画」

の邪魔になると判断された桃矢は、知世のボディーガード達に拉致られていたのだ。
かつての桃矢であれば、こうもたやすく捕まることもなかったろう。
だが、月に全ての魔力を渡してしまった今、身に迫る危険(笑)を感じ取ることができずあっさりとお縄になってしまった。
まあ、たとえ魔力があろうと雪兎がグルになっていたのではどうしようもなかったろうが・・・。
こうして桃矢は1日、地下室に閉じ込められて過ごすハメになったのである。
(ちなみにもう一人、計画の障害になると判断されたケルベロスは睡眠薬入りのケーキであっさりと撃沈した)

それにしても、なぜ大道寺邸にこんな地下室があるのか?
何に使うつもりでこんな部屋を作ったのか?
大道寺母子の性癖を考えるとかなり危険な香りが漂ってくるが、深くつっこむのはやめよう。


「つってもな。もうこんな時間だぜ。もういいだろ?」

部屋の唯一つの調度品である時計はもう21時を指している。
今日1日、さくらと小狼のデートを邪魔できなかったのは残念だったが、もう開放されてもいい時間だ。
だが、雪兎は首を縦にはふってくれなかった。

「まだダメだよ桃矢。さくらちゃんとあの子の時間はこれからだからね」
「これからって、どういう意味だ?」
「今夜はあの子と二人っきりで過ごしたい、っていうのがさくらちゃんの希望なんだよ」
「な、なにぃぃぃっっっ〜〜〜???!!!」

二人っきりで一夜を過ごすだと〜〜〜???
さくらとあのガキが!!!

「だ、だめだユキ!それはまださくらには早い!」
「桃矢は心配性だね。大丈夫だよ。あの子はさくらちゃんが嫌がるようなことはしない子だから」
「いや!一晩いっしょにいたらどんな間違いが起きるかわからん!」
「間違いって・・・桃矢はなにを考えてるのかな?」
「うぅっ!」

桃矢がくぐもった呻きをあげた。
雪兎がいきなり桃矢の股間を踏みつけてきたのだ。

「ユ、ユキ・・・なにを・・・う・・・」

そのまま革靴の底でグリグリと踏みにじられる。
布越しに大事な部分を擦られる微妙な刺激に、桃矢のそれは激しい反応を見せてしまった。

「ここをこんなにしちゃって。一体、何を考えてるの?いけないお兄ちゃんだなあ」
「こんなところで・・・やめてくれ、ユキ・・・」
「そうだね桃矢。こんなところじゃね。あんまり大きな声を出すと誰か来ちゃうよ?」
「!」

雪兎がサディスティックな言葉で桃矢をいたぶる。
そう、ここは知世の家の中なのだ。
出入り口には知世のボディーガード連中も詰めている。
あまり大きな声をあげると誰かが様子を見に来るかもしれない。
必死で歯を噛み締めて声を抑える。
そんな桃矢の顔は雪兎の嗜虐心をさらに加熱させたようだ。

「ふふふ、いい顔してるね桃矢。でも、どこまで頑張れるかな?」
「う・・・あ・・・ユ・・・キ・・・ん・・・」
「抵抗しても無駄だよ桃矢。僕は桃矢から力をもらってるからね。桃矢の身体のことならなんでもわかるんだ。こんな風にね」
「ふぁぁっ!」

雪兎の靴先がさらに桃矢を責める。
言葉どおり、どこをどう責めれば桃矢が悦ぶのかを熟知した責め方だ。
快感に耐えかねて桃矢の身体がひくひくと蠢く。
絶頂が近い。

が、桃矢が昇りつめようとしたまさにその瞬間、雪兎の足は離れた。

「ユキ・・・?」
「やっぱりダメだよね。知世ちゃんの家でこんなことしてちゃ。はい、おしまい」
「ユキ、そんな・・・」

雪兎は桃矢の哀願に耳をかさずに背を向けて立ち去ろうとする。
だが、桃矢の方はこんな中途半端な生殺し状態で我慢できるわけもない。
雪兎の背に向かって惨めな「オネガイ」の言葉をなげかけた。

「ユキ、お願いだ・・・」
「うん?なに、桃矢」
「お願いだからイかせてくれ・・・」
「ん?よく聞こえないよ、桃矢。もっと大きな声で言ってよ」
「・・・い、イかせてくれユキ!お願いだ!」

もう恥じも外聞もない。
ここが知世の家の中だという認識も頭から飛んでいってしまっている。
ただ、イかせて欲しい。
その欲情だけが桃矢を支配している。

「はい、よく言えました。じゃあご褒美をあげないとね」

桃矢の惨めな哀願に雪兎は満足したようだ。
腰元にしゃがみこむと馴れた手つきでジッパーを下ろし桃矢の分身をあらわにする。

「桃矢のこれ、いつ見てもかわいいね」
「ユキぃ・・・はやく・・・」
「桃矢・・・イっちゃえ!」

ピシィッ!

・・・!!!

どくっ、どくぅっ!

雪兎の指のひとはじき。
一番敏感な部分への最後のトドメ。
その一撃で桃矢は絶頂を迎えた。
驚くほどの量の精が放たれ、雪兎の顔と眼鏡に染みをつける。

「こんなに出しちゃって・・・そんなによかったの?」
「・・・・・・」

雪兎は顔にかかった桃矢の精を舌で舐めとりながら、さらなる屈辱の台詞を浴びせた。
圧倒的な屈辱と快感の両方に襲われた桃矢はもう、言葉を返す余裕もない。
もちろん雪兎はこの程度で桃矢を解放する気はない。
楽しい時間はこれからだ。
完全にサディストの本性を曝け出した邪悪な微笑みを浮かべながら桃矢ににじりよる。

「桃矢ばっかり気持ちよくなっちゃってずるいよね。僕は全然満足してないのに。今度は僕を気持ちよくしてよ」
「ユキ・・・」

抵抗する気力も体力も失った桃矢は、美しい悪魔に蹂躙される予感に妖しい興奮を感じた・・・

END


お誕生日小説その3?です。
よく考えたら今まで、桃矢と雪兎を一度も書いていなかったのでここで登場してもらいました。
桃矢と雪兎は雪兎(攻)×桃矢(受)と認識しているのですが、この認識はあっているでしょうか。
以下、マガジンのネタばれを含みます。
Chapitre.216で登場した二人の後姿。
正直、あの話を読んだ時は桃矢は大切な妹が苦しむのを見過ごせるような男ではない、それは何か違うだろ!と思いました。
結局、違ったというオチになったわけですが。
で、その感想がこの話になりました。
どこがどうなったらこんな話になるのかというツッコミはスルーとさせていただきます。


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