『誕生日プレゼント(艶)』


(この先、若干R指定が入りますので苦手な方はご遠慮ください)



「さくら、もうすぐ誕生日だな。今年のプレゼントは何がいい?」

オレは台所で洗い物をするさくらの後ろ姿にそう問い掛けた。
日本に戻ってきてからもう3回目の春。
以前は恥ずかしくて口にできなかった台詞も今は普通に口から出てくる。
それだけオレ達の仲も進展しているのだ。
それに対するさくらの返事は

「誕生日プレゼント?う〜ん、わたし小狼くんがくれるものならなんでもいいよ」

とそっけない。
別に気のない返事をしているのではない。
さくらは本当にそう思ってるのだろう。
かつて大道寺にさくらへのプレゼントについて相談した時、

「さくらちゃんは李くんがプレゼントするならたとえ鉛筆1本でも大喜びですわ!」

と言われたものだ。

オレは仮にも李一族の当主。
オレにねだればどんな高価なプレゼントでも思いのままだ。
(現に苺鈴に同じ質問をすると、即答でめちゃくちゃ高価な宝石か洋服を要求される・・・)
なのに、さくらはそんなものを要求してきたことはない。
去年もさんざん悩んだ挙句に近所の花屋で買った花束を贈ったのだが、大して高価でもない花束にさくらは大喜びしてくれた。
そんなところは本当にさくららしい。
昔、カードをめぐって初めて出会った時から全く変わっていない。
初めて会ったあの時から。
あの時から・・・
あの時・・・
・・・。

・・・訂正。

さくらは大きく変わっている。
後ろ姿だけでもハッキリそれとわかる女性のシルエット。
細くくびれた腰。
ささやかに、だが優雅に自己主張する胸のライン。
自分と同じ生き物なのか?と疑いたくなるような華奢な手足。
白いうなじ。

ただ可愛いだったあの時とは違う。
本当に女性として美しくなった。
男の本能を強く刺激するほどに。

(う・・・やばいな)

そんなことを考えたら急にむらむらと邪(よこしま)な念が浮かんできた。
そういえばそろそろ満月が近い。
月の魔力の増加によってオレの欲望も強くなっている。
いかん、自制しなければ・・・と思ったのは一瞬だけ。
オレは本能のおもむくままにさくらに近寄った。

「きゃっ!」

ふいに後ろから抱きつかれたさくらは可愛い悲鳴をあげる。

「なんでもいい?冷たいな、さくら・・・前はオレが欲しいって言ってくれたのに」
「そ、そんな・・・小狼君がいらないっていう意味じゃないよ?その…ひぅっ!」

エプロンの上から強く胸を揉みしだいてさくらの返事を遮る。
くぅ、この感触・・・!
ぺったんこだったあの頃とは大違いだ。
ダメだ。
もう止められない。
さくらが欲しい。今すぐ。

「オレは今年も『小狼』をプレゼントしたいんだけどな。ダメ・・・か?」
「そんなの・・・ダメなわけないよ。でも、誕生日は今日じゃないよ?」
「なんだ、さくら。誕生日にもこうして欲しいのか?意外とエッチなんだな」
「・・・!もう!小狼くんのばかっ!」


☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆


ベッドに腰かけたオレの前にさくらが立っている。
そして1枚、また1枚と身につけているものを外していく。
とても扇情的な光景だ。
いつもはオレがさくらの服を脱がせるのだが、今日はさくら自身の手で脱いでいる。
オレがそう望んだからだ。

初めて会ったあの時からどれくらいさくらの身体が変わったのか?
それをこの目で確かめたかった。

さくらもオレに裸身を晒すのは初めてではないが、こうして明るい部屋の中でまじまじと見つめられたことはない。
最後の1枚を脱いだ時、さすがに恥ずかしくなったのか両手で大事な部分を隠した。

「ダメだ、さくら。ちゃんと見せてくれ」
「そんなこと言われても・・・やっぱり恥ずかしいよ。男の子ってどうしてみんな女の子の裸を見たがるの?」
「どうしてって・・・奇麗なものを見たがるのは当たり前だろ?」
「きれい?本当に?わたし、きれいなのかな?知世ちゃんみたいに肌が白くないし、利佳ちゃんみたいに胸も大きくないし・・・」
「他のやつはどうかは知らないよ。オレが見たいのはさくらだけだから」

これはウソじゃない。
たしかにさくらの周りにいる女の子たちはみんなきれいだ。
でも、オレにはさくらしか見えない。
さくらだけが見たい。
オレのこの気持ちがさくらにも届いたのか。
さくらは黙って両手を下ろした。

さくらの全てがオレの前に晒される。

・・・奇麗だ。本当に。

さくらと初めてあった年の夏、林間学校でさくらの水着姿を見た。
あの時のさくらの姿は今でもよく憶えている。
たしかにあの時のさくらも可愛かった。

でも今のこの美しさはまた別だ。
白い肌も。
豊かな胸も。
その先端の桜色の突起も。
細い腰も。淡い茂みも。
まだまだ未完成ではあるけれど、女性らしくなったシルエットも。
恥じらいに紅く染まる頬も。

本当に奇麗になった。
そしてこの奇麗な身体は今、オレのものだ。
オレだけがこの身体を見ることができる。
オレだけがこの身体を自由にしていい。
もう、我慢できない・・・

「奇麗だ・・・さくら」
「本当?小狼くんにそう言ってもらえるとうれしいな・・・」
「あぁ、本当だよ。本当に奇麗だ。もう我慢できないよ。誕生日前だけどオレのプレゼント受取ってくれるか?さくら」
「小狼君・・・うん。ちょうだい。『小狼くん』を・・・」


☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆


(ちょっと気張りすぎたか)

自分の横でぐったりしてるさくらを見ながらそう反省した。
やっぱり月の魔力が強い日はまずかったらしい。
魔力に突き動かされたオレはさくらが失神してしまうまで幾度となく求め続けた。
さすがにやりすぎだ。
それにいくらなんでも、これが誕生日プレゼントというのはマズイだろう。

だが、誕生日プレゼントについてはさっき、さくらの身体を眺めていた時に贈るものを思いついたので問題ない。
さくらは本当に奇麗になった。
いや、きっとこれからもっともっと奇麗になる。
そして、オレはもっともっと奇麗になったさくらも自分のモノにしたい。

だからこの先もさくらが「オレのもの」であるという証を贈る。
指輪を。
この左の薬指に合う指輪を。

無論、正式に婚約などできる齢ではないし、一族の了承も得ていない。
今は何の意味も無い、ただの指輪でしかない。

それでも贈る。
いつか、本当の指輪をはめてもらうために。
それまで、この指を予約しておくために。

「さくら。これからもずっと・・・オレのものでいてくれ」

END


誕生日話その2です。
その1は4月1日号のマガジンでツバサがどうなるかわからなかったため、あのような話になったのですが、この話はマガジンを読んだ後、急遽作成しました。
以下、ちょっとネタばれを含みます。
ロリキャラ代表(笑)とまで言われたさくらの大人になった姿というのはなかなか衝撃的でした。
なのでこの話はさくらが成長していく、というのを盛り込んでみました。
しかし、大人になったさくら、あまり撫子さんに似てない気がするのですが・・・。髪型の問題でしょうか?

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