『誕生日プレゼント(翌朝)』



小狼はベッドの中で目を覚ました。
自身の体内時計を信じるならば、もう朝陽が昇っている時間である。
が、なぜか真っ暗だ。
いや、違う。
何かが自分の顔の上にのっかって視界を遮っているのだ。
何か細いものが顔の上に・・・?
これはいったい?
小狼は注意深く顔を動かして、顔の上にのっかっている物体の正体を確認した。

腕だ。

愛する「木之本さくら」の可愛らしい手がどででんと彼の顔の上に伸ばされているのである。
よ〜く見ると彼女はかなりすごい格好で寝ている。
両手を思いっきり横に伸ばして、両足もかなりの角度で開いている。
いわゆる「大の字」という状態だ。

(そういえば、ケルベロスの奴が言ってたな)

さくらは寝相が悪いと。
ベッドの上でごろごろ転げまわってる時があると。
時々、ベッドから落っこちると。

(ふふっ、それもさくららしいな)

愛する人の新しい一面を発見して小狼もご満悦の様子だ。
これで後はさくらが起きるのを待てばいい。
そして

「おはよう、さくら」

と声をかけてあげればいいのだ。
小狼はさくらの可愛い寝顔を見つめながら目覚めの時を待った。

待った。
・・・待った。
・・・・・・ひたすら待った。
・・・・・・・・・とにかく待ち続けた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

起きない・・・。

ここで小狼はもう一つ、ケルベロスが言っていたことを思い出した。

『さくらのやつな〜。めっちゃくちゃ寝起きが悪いんや。いっつも目覚まし時計3つも4つもセットしとんのに全然起きんのや。しょうがないからいつもわいが起こしてやっとるんやけどな』

(さ、さくら〜〜〜朝一番に「おはよう」ってこっちから起こしちゃ悪いのか?でもこのまま待ってたらいつ起きるんだ〜〜〜???お〜い、さくら〜〜〜そろそろ起きてくれ〜〜〜)

さすがに待ちくたびれて声をかけてみたけど、

「お〜い、さくら〜そろそろ朝だぞ〜」
「むにゃむにゃ・・・ケロちゃ〜ん、もう少し寝かせて〜〜〜」
「ケロちゃんて・・・さ、さくら・・・(汗)」

と、あっさり返される始末。
結局、小狼はさくらが目覚めるまで1時間以上も辛抱強く待ち続けたそうです。

END


ついでに阿呆話も。
時々、さくらと小狼の朝の目覚めの話を書かれる方がいらっしゃいますが、さくらは寝起きが悪いので実際のところこんな感じになるのではないかと。

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