『不思議の国のさくら』

(テレビ版第55話 「さくらと不思議の国のさくら」より)


世界迷作劇場その6 不思議の国のアリス

キャスト
アリス:さくら
帽子屋:桃矢
トーイドルディー:小狼1号
トイドルダム:小狼2号

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わたし、いま「不思議の国のアリス」っていう本を読んでるの。
とっても素敵なお話なんだよ。
感想文を書くために、図書室で続きを読まなくちゃ!
あれ?
ここ、どこ?
このかっこうって・・・・・・アリスの服?
ほぇぇっ!?
わたし、本の中に入っちゃったの??

ちゃ〜〜ちゃちゃらちゃらっちゃっちゃ〜〜(アイキャッチ)

と、いうわけでアリスの本の中に入り込んでしまったさくら。
気がついたら正装した帽子屋さん(?)が怪しげな手つきで紅茶を用意してくれてます。
なんで帽子屋さんが紅茶を淹れてるんでしょうか。
わけがわかりませんが、それが不思議の国が不思議である由縁なのでしょう。

「飲むの?」

くいっ

「おいしー」

差し出された紅茶をあっさりと口に運んでしまうさくら。
ここまでアヤシサ満載の紅茶をなんの疑いもせずに飲んでしまうあたりが、さくらがさくらである由縁といったところでしょうか。
もうちょっとばかり気をつけた方がいい気がしないでもありません。
彼女の周りは腹に一物も二物も抱え込んだ方々が多いですので。
案の定、ニヤリと悪そうな笑みを浮かべる帽子屋さん。
う〜〜ん、やっぱりこの兄ちゃんにはこういう悪人面の笑みが似合いますね。

「あっ、そうだ。ここがアリスの世界だったら小さくなる薬とかもあるのかも。もうちっちゃくなるのはイヤだから、絶対飲まないようにしなきゃ!」
「それだよ」
「ほえ?」
「いま飲んだのがちっこくなる薬」
「え? えぇ? えぇぇ? ほ、ほぇ〜〜〜〜!!」

ピュ〜〜〜〜
ボッチャン!!

ちびっこくなった体を風でピュ〜〜っと飛ばされて川に落っこちてしまったさくら。

「ほえええええええ!! がぼ、がぼっ!」

ゴボゴボゴボ・・・・・・

小さくなった体を思うように動かすことができず沈んでいくさくら。
邪悪な魔法使いの姦計にはまった少女は哀れ、水底の藻屑へと・・・・・・
な〜〜んてことはありません。

「ハッ! ここは・・・・・・? あ、李くん?」

頼れるさくらのナイト(笑)、小狼くんの登場です。

「ありがとう、李くん!」

とお礼を言ったさくらですが、よくよく見たらなんか小狼くんの様子がいつもと違うような気がしてきました。

「李くん、なんでそんな格好してるの? それ、ペンギンさん? ん? んん? あれ? え? えぇ? ほええええ!? なんで李くんが二人いるの〜〜??」

そ〜〜です。
なぜかさくらの目の前には小狼くんが二人います。
顔も背丈もお洋服(着ぐるみ)もまったく同じ。
違いはネクタイの色だけ。
おまけにこの小狼くんもやっぱりいつもの小狼くんとは違う、不思議な世界の住人のようです。

「オレはトーイドルディー」
「オレはトイドルダム」

と、意味不明の自己紹介をしてきます。

「あ、あのね李くん。どうすればこの世界から出られるか知ってる?」
「知りたいか? クイズに正解したら教えてやる」
「教えてやる」
「ほ、ほえ?」

と、これまた意味不明なクイズ合戦をしかけてきます。

「さて、本当なのはどっちだ」
「どっちだ」
「オレには好きなやつがいる」
「オレには好きなやつはいない」
「どっちだ?」
「どっちだ?」

(え〜〜っとぉ。李くんは雪兎さんのことが好きだから・・・・・・)

アホみたいなクイズにつきあってもしょうがない気もしますが、他に手がかりになりそうなものもないので、必死で答えを考えるさくら。

「いる!」
「ピンポーン。あったりー」
「あったりー」

やった、当たった! これでこの世界から出られる!
と喜んだのも束の間、

「では次の問題」
「次の問題」
「おれの好きなやつはおれより背が高い」
「おれの好きなやつはおれより背が低い」
「どーっちだ」
「どーっちだ」

また意味不明のクイズをしかけてきました。
しょうがないのでまたまた必死で答えを考えます。

(雪兎さんは李くんよりもおっきいから・・・・・・)

「高い!」
「ブーッ。はっずれー」
「はっずれー」
「ええ? だって雪兎さん李くんよりおっきいし・・・・・・雪兎さんじゃないの・・・・・・?」

あれ? 李くんが好きな人って雪兎さんと違う人なの??
?マークを浮かべてうんうん考え込んでしまうさくら。

あの〜〜。
さくらさん、ちょっといいですか?
ここがちょ〜〜っと不思議でちょ〜〜っと変な世界だということをお忘れになっていないでしょうか。
ここはいつもあなたがいる世界とはちょ〜〜っと違う世界ですよ?
当然、目の前にいる小狼くんも、あなたの世界の小狼くんとはちょ〜〜っとばかり違いますよ?
そんな風にのん気に考えごとをしていると・・・・・・

「不正解者には罰ゲームだ」
「罰ゲームだ」
「え?」

びりびりぃっ!

「ほ、ほええええええええ〜〜〜〜〜〜っっ!!」

ほ〜〜ら。
やっぱりこんな目に。
トーイドルディー&トイドルダム兄弟、さくらのお洋服をびりびりに破いてはぎ取ってしまうのでした。
とんでもないエロ兄弟です。

「ななな、なにをするの、李くん!!」
「不正解者への罰ゲームは脱衣が基本だ」
「基本だ」
「そんなの初耳だよ〜〜」

う〜〜む。まあ、基本っちゃあ基本なんですけどね。
でも、それは小学生が遊んじゃいけないゲームの基本ですね。
このエロペンギン兄弟は日ごろどんなゲームをやってるんでしょうか。
真っ赤になってかわいいおっぱいを隠すさくら。
そんなさくらにふりかかるエロ兄弟のさらなるクイズ責め!

「では最後の問題」
「では最後の問題」
「オレの好きなやつはだ〜〜れだ?」
「オレの好きなやつはだ〜〜れだ?」
「そんなの知らないよ〜〜!」

さくら、今度は即答。
てか、おっぱい丸出しのこの状況でクイズなんかやってられないですよね。普通は。
この状況で答えろという方が無理というものです。
でも、この答え方はちょっとよろしくありませんでしたね。
エロペンギン兄弟、さくらの回答にご立腹の模様。

「むかっ!」
「むかっ!」
「こいつはオレの気持ちに全然気づいていない!」
「気づいていない!」
「こんなやつにはオシオキだ!」
「オシオキだ!」
「ほえ? え? え・・・・・・きゃぁぁぁぁ〜〜!!」

ぐぃぃっ!

おっと、これはご無体。
エロペンギン兄弟、さくらの両手をむんずと捕まえて宙吊りにしてしまいました。
両手をバンザイの形に開かれ、おっぱいを隠すこともできずに吊り下げられたさくらはまさに「捕まった宇宙人」状態。

「ほ、ほぇぇぇぇぇ〜〜〜〜!」
「じぃ〜〜〜〜」
「じぃ〜〜〜〜」
「いやぁぁぁ〜〜、見ないで〜〜! 李くん、見ないでぇぇ〜〜!!」

あらわになったおっぱいをガン見するエロペンギン兄弟。
さくらはエロペンギンたちの視線から逃れようと懸命に身をよじるのですが、この体勢ではどうしようもありません。
むしろ、おっぱいを右へ左へとぷるぷるさせてエッチさを強調してるようなものです。
いつもだったらここで、

“少女の無駄な抵抗には男たちの獣欲を昂進させる効果しかなかった”

とか書いちゃってるところですが、エロペンギン兄弟、さすがにそこまでエッチくはないのでご安心を。

「じぃ〜〜〜〜」
「じぃ〜〜〜〜」
「くすん、くすん。ひどいよ、李くん。こんなの。くすん」

食い入るようにさくらのおっぱいを見つめる小狼×2。
涙目のさくら。
ひっく、ひっくとさくらの泣き方が本格的になりかけたその時。

「きれいだ・・・・・・」
「きれいだ・・・・・・」

小狼×2の口からポツリとこぼれるつぶやき。
さくらはこれに敏感に反応します。

「え、李くん。今、なんて言ったの? さくらのことキレイって言った?」
「あぁ。木之本のからだ、とってもきれいだ」
「とってもきれいだ」
「それに・・・・・・とってもかわいい」
「とってもかわいい」

ぽぉ〜〜っと熱でもあるかのような赤い顔でさくらを見つめながらつぶやく小狼×2。

「李くん・・・・・・李くんがわたしのこと、キレイって・・・・・・かわいいって・・・・・・」

こちらも熱でもあるかのようなぽぉ〜〜っとした顔つきになるさくら。
おや〜〜?
これはどうしたことでしょうか。
吊り下げられていたさくら、急に大人しくなってしまいました。
泣くのも止めてしまったようです。
瞳にはまだ涙が浮かんでますけど、今は泣いてるというよりも潤んでいるという感じです。
じろじろと無遠慮に見つめる小狼×2の視線に抵抗しなくなってしまいました。

(やだ、わたしどうしちゃったんだろう。こんなに恥ずかしいのに・・・・・・。李くんに見つめられると・・・・・・なんか変な気持ちになっちゃう・・・・・・)

熱心に少女を見つめる少年。
恥ずかしがりながらも、少年に裸身をさらす少女。
こう書くと、なんかちょっといい雰囲気になってきたように思えますね。
絵面はこんな感じですけど。


ま、ここはちょ〜〜っと不思議でちょ〜〜っとおかしな世界。
もちろん、このままいい雰囲気でお話が続くようなことはございません。

「もっと見る!」
「もっと見る!」
「ほぇ? ・・・・・・!! そ、そこはダメぇぇぇ〜〜〜〜〜!」

エロペンギン兄弟、おっぱいだけではガマンができなくなってしまったのでしょうか。
さくらに最後に残された下着“クマさんパンティー”にまで手を伸ばしてきました。
さすがにさくらもそこまでは許せません。

「だ、ダメ〜〜! それはとっちゃダメ〜〜」
「こ、この! 暴れるな!」
「暴れるな!」
「そんなこと言ってもそこだけはダメなの〜〜! え〜〜い!!」
「あ、逃げるな!」
「逃げるな!」

ペンギン兄弟の手をようやく振りほどいたさくら。
あわてて逃げ出しはしたものの、ちっこい体の悲しさ、ペンギン兄弟にすぐ追いつかれてしまいます。

「パンツの下も見る!」
「パンツの下も見る!」

ジリジリとさくらに迫る小狼×2。
目が完全にイっちゃってます。

「ほ、ほぇぇぇぇ〜〜〜〜」

ぽややんなさくらもさすがにこれには身の危険、というか女の子の本能がこの先はヤバイ! というものを感じてしまったようです。
星の鍵を取り出し、

「ほ、星の力を秘めし鍵よ真の姿を・・・・・・『雷(サンダー)』!」

どっかぁぁぁぁ〜〜ん!!

『雷(サンダー)』を一閃!
真っ黒焦げになってひっくり返るエロ兄弟。

「きゅう」
「きゅう」
「はぁはぁ。・・・・・・ってこんなことしてる場合じゃないよ! 早くこの世界から出る方法を見つけないと!」

すたたたた〜〜〜〜

おっぱいを隠しながら走り去るさくら。
残されたのは焼き鳥ならぬ焼きペンギン2羽。

「やられた」
「やられた」
「でも、おっぱいは見た」
「おっぱいは見た」
「わが生涯に一片の悔いなし!」
「悔いなし!」
「がくっ」
「がくっ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・

さてさて。
その後、さくらは『小(リトル)』と『大(ビッグ)』をさくらカードに変えてなんとか不思議な世界から脱出したのですが、このお話には後日談があります。

「さあ、さくらちゃん。これが次回用のバトルコスチュームですわ」
「う〜〜ん」
「あら。どこか気に入らないところでもおありですの?」
「あ、気に入らないとかじゃないんだけどね。胸のところ、もうちょっとスリットが大きい方がいいかなぁって気がして。あと、スカートももう少し短い方がいいかな」
「そうですか。でも、そうするとお肌の露出が少し多くなりますわね。さくらちゃんはあまり露出が激しくないほうがお好みかと思ったのですが」
「(ぼそっ)だって・・・・・・李くんが見てくれるから」
「李くん? 李くんがどうかなされました」
「な、なんでもないよ! ただ、その方が動きやすいかなって思っただけだよ! それだけだよ!」
「??」

ちょっぴりアブナイ性癖に目覚めてしまったさくら。
小狼とさくら、二人の明日はどっちだ!?

END


テレビ版の 「さくらと不思議の国のさくら」より。
この話、小狼が2人出てきますね。
小狼2人はツバサやホリツバでは珍しくない光景ですが、CCさくらで小狼2人というのは今見直すとちょっと新鮮な感じがあります。
まさか、この話はツバサの展開を暗示していた!?
・・・・・・ってことはないとは思うのですが。

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