サクラ闇に降り立った天才
〜透明の闘牌〜

132話 絶壁



キャスト:
アカギ:さくら
鷲巣様:小狼
安岡:知世
仰木:ケルベロス
岡本(鷲巣様部下の白服):偉

その他例によってわけのわからんキャストでお贈りします。

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クリア鷲巣麻雀5回戦は
南4局を迎えた時点で
ほぼその大勢が決せられていた…………!

この時点でサクラ・小狼2人の点棒は

サクラ39600 獲得金額の累計+3億3360万円
小狼10700 残り資金 2億6640万円

その差28900までに開いていた。
(平成10年の5億は現在の50億)

通常の麻雀でもこの3万点近い点差はセーフティリード……!
よっぽどのことがない限りまず……逆転不可能だが……
牌の3/4が透け(※)……直撃を避けることが容易な鷲巣麻雀ではなおのこと逆転不可能……!
致命的な28900差……!
※普通のガラス牌に変えました

ましてその相手が
天然……
ぽややん……
木之本さくらときては……
さらに絶望的……!

「うぅぅ…………」
(小狼様……気を確かに……)

後ろで見守る偉には小狼の苦悩がよくわかる。
サクラのガードはまさに完璧。
おまけに小狼の恫喝が全く通じない……!
小狼のあの恫喝……
「威圧」の魔力がこの少女には全く通じない……!
通常はこの魔力に30分も晒されればもうボロボロ……
保てないはずなのだ……正気を……!
なのにこの少女ときたら……

(この少女は……!)

その理由も偉にはわかっている。
2人の内封する魔力……その絶対量に差がありすぎるのだ。
小狼の魔力は無論、強大。
並みの魔術師など及びもつかぬ絶大なもの。
しかし、さくらのそれは……
あまりにも規格外……!
圧倒的……絶対的……超越的……
はかり知ることすらかなわぬ絶望的なまでの魔力量……!
これと比べたら小狼の魔力など太陽の前の星……
あまりにも違いすぎる光……その熱量!
さくらに必死で恫喝の魔力を送る小狼のその姿は
まるで底の見えぬ大穴にバケツで水を注ぐがごとき滑稽なもの……
無為……
無駄……
徒労……
全くの……無駄……!
けっして実ることはない……その労苦!

「く、くそ……!」

小狼も今にして後悔している。
己の愚行を。
そう……まさに愚行っ……!
してはならない戦いだった……

ここまでさくらは4回戦まで全てトップ。
そしてこの5回戦も
小狼に3万点近い差をつけて1位
ほぼトップを手中……
まさにパーフェクトだ。

まるで……壁……!
小狼の前に立ち塞がる圧倒的で……垂直な絶壁……!
手がかり……足がかりを与えない……
平らな壁……
大理石の岩板……!
そびえたつ……絶壁……!

(バカなっ……!)

いったいどう登ればいいというのか。
この絶壁を。
なんの起伏も
凹凸も
ふくらみも
皆無……絶無……!

ない! なにも無い!
見渡す限りなんの凹凸もない……
真っ平らな壁……!
どこを掴めばいいというのか
この偏平な起伏のない壁のどこを……

手がかり……
手ごたえ……
そういったものを全く感じさせない
あまりにも平らすぎる……
切り立った垂直な板……
垂直……偏平……絶壁……!

「ひど〜〜い、小狼くん!」
「え?」
「小狼くん、わたしの胸見ながら絶壁とか平らとかふくらみがないとか思ってる〜〜!」
「え? い、いやたしかに絶壁かもしれないけど……」
「ひど〜〜い! やっぱりそう思ってたんだ〜〜!」
「い、いやそれはだから……」
「なんてひどい男なんでしょう! 女の子に向かって絶壁だなんて」
「だからそれは……」
「さくらちゃん、こんな男に容赦はいりませんわ。今こそカードキャプターの出番です!」
「うん! 夢の力を秘めし鍵よ。真の力を我の前に示せ!『封印解除』!」

きら〜〜ん
呪文一閃、さくらの手にあらわれる夢の杖!
対の手に握られるは透明な牌ならぬカード。
クリアカード・『疾風』!

「ちょ、ちょっと待て! な、何をする気だ!」
「『疾風(ゲイル)』!」

びゅお〜〜〜〜!!

「うわわわわ〜〜〜〜」

びゅぅぅ〜〜〜…………
どっか〜〜ん!!

「女の子に胸の話は厳禁なんだからね!」
「おほほほ。デリカシーのない男はしょうがないですわね。でも、さくらちゃん。世の中にはそうい需要もありますから。そんなに心配することはありませんわ」
「そんな需要、いらないよ〜〜」
「ふう。まったくしょうもない小僧やったな。ま、ええわ。行きがけの駄賃ちゅうやつをもらってとっととオサラバしようか」
「うん!」
「それでは李くん。ごきげんよう〜〜」

………………
…………
……

「うぅぅ……な、なんでこんな目に……がくっ」
「しゃ、小狼様……がくっ」

麻雀。
それは人の心をえぐる闇。
その奥は深く…………暗い! 果てしなく!
深く昏い闇に飲み込まれた哀れな羊が今日もまた…………

END


クリア鷲巣麻雀でした。
鷲巣麻雀、本当に長い!
さくらが連載開始から20周年を記念していますが、アカギの方はなんと鷲巣麻雀編だけでほぼ20年。
麻雀勝負1回に20年という驚異的な連載期間。
劇中時間は半日もたっていません。
さくらがまだクロウカードを追いかけている時から一晩かぎりの麻雀勝負が続いています。
まさに驚異的……圧倒的……展開の遅さ!
これに比べればまだクリアカード編の展開の遅さも許せるというものです。
比較対象が悪すぎる?

ちなみにクリアカード編の感想をアカギ風に描写するとこんなもんでしょうか。

読者の焦燥……
不安……
疑惑……
それらがまさに頂点……沸点に達さんとするこの時……
ページをめくる指にふるえが走るこの期待……!

が…!
が…!
が…!
が…!
が…!
が…!

小狼ここでも動かず!
李小狼は動かないっ……!

お〜〜い、そろそろ動いてくれ〜〜い。

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