歯周病の治療について

歯周病とは一般には歯槽膿漏といわれてきた疾患で、歯を支える組織(歯茎やその中の歯を支える骨)の病気です。具体的には歯の根元に沈着した歯石とその中の歯周病菌が、歯肉に炎症を起こし、慢性的に腫れた状態のことを言います。
歯石なぜできるのでしょうか?

歯の根元と歯肉の間には2-3mmの歯周ポケットという自然にできた溝があります。もともとこの場所はお口の中の細菌が溜まりやすいのですが、歯ブラシをしていても何日も磨き残した歯の根元に蓄積した歯垢は分厚くなり、その中に唾液のカルシウムが沈着して、硬い歯石を形成します。いったん歯石が歯の表面にできてしまうと、歯ブラシをいくらうまく使っても取れなくなります。また、どんなに一生懸命歯ブラシを毎日していても、どうしても磨きにくいところや、唾液が出てくる穴に近いところは歯石ができやすいものです。

歯石とその中に含まれる細菌(歯周病菌)によって、慢性的に歯肉が攻撃されると、歯肉は赤く腫れてきて、歯ブラシが少しあたるだけで出血するようになります。出血するとますます磨くのがいやになって、歯石の蓄積が加速されます。歯肉が腫れて出血するだけならまだいいのですが、その中では実は歯を支えている歯槽骨がだんだん溶かされていきます。。

歯周病の予防したり、また早期に発見して治療するためには、自覚症状の無い段階で、歯周病検診を受けることをお勧めします。

歯周検診では、まず歯の表面についている歯垢や歯石の分布や量を診て、歯周病が進行する傾向やブラッシングで磨き残しがどこにあるかなどをチェックします。そして、一本一本の歯の歯周ポケットの深さを測って、どの程度歯周病治療が必要か、治療計画をたてます。

歯周病の初期治療として、まず歯周組織に破壊的な影響を与える歯石を除去することからはじめます。初期の歯周病では、最初の歯石鳥でほとんど歯の周りをきれいにできます。そして、一般的に必要とされる歯磨きの指導(歯ブラシ、糸ようじ、歯間ブラシの練習)を行います。
何度か、診させていただいた上で、歯周組織が健康に保たれていることが確認できてくると、数ヶ月から年に一回程度の定期検診に移行します。

ある程度歯周病が進行している場合(歯周ポケットの深さが4−6mm程度の場合)は、歯肉の炎症が強いため歯周ポケットの深いところに沈着している歯石を除去すること(一回の歯石除去で完全に歯の周りをきれいにすること)は困難になります。ある程度最初に歯石を除去した上で、前述の歯ブラシ練習で歯肉の炎症を軽減した上で、さらに深い場所にある歯石を除去します。

再生治療について

歯の周りの骨が一部だけ失われてしまっている場合、歯周病の手術とともに、歯槽骨の再生治療を行います。
失われてしまった骨と歯の間に人工的な空間を作り、その空間の中に骨が伸びてくるようにします。うまく行くと、そのままではどんどん失われていく歯槽骨をある程度回復させられます。

骨が溶かされていくと、やがては噛む力に耐えられなくなって、触るとグラグラしてきて、ついに歯を失うことになります。実は、歯周病のたちが悪いのは、かなり歯周病が進行して、歯を支えている歯槽骨がなくなってしまい、噛めなくなるまで痛みを伴わないことです。つまり、虫歯と違って、痛くなってきたときは、歯を失う一歩手前まで来てしまっていることにあります。

左の歯の前の歯槽骨がほとんどなくなっています。

再生治療により、3分の2の骨ができています。

1年後

歯周ポケット部の歯磨きの仕方

糸ようじを使った歯と歯の間の掃除

歯間ブラシによる清掃