幼児あるいは小学校低学年から始まる成長期の矯正歯科治療
乳歯から永久歯に生え変わる年齢は、上下の顎の骨の成長途上にあります。この時期には,骨格性不正咬合への治療として、大人になるまでに見込まれる顎の骨の成長を利用して上下の顎のアンバランスを改善したり、歯並びの幅を拡大することによって、狭くなっている顎の骨を拡げたりします。
 成人からの矯正治療では、一般的な矯正治療に加えて、骨格的な問題を矯正治療と外科的手術(提携病院で受けていただきます)の併用で治す治療も行っております。顎の骨の前後的アンバランスが大きすぎて、歯の向きを帰るだけではうまく噛めるように歯が並べられない場合にこのような治療を選択することがあります。一般に矯正治療は健康保険の対象外となりますが、医学的に、正しい噛み合わせを得るために手術を併用する必要がある場合、矯正治療は健康保険の適用となります。適用を受けるためには、大阪市より顎変形症施設基準の認定を受ける必要があります。

当院は顎変形症認定医療機関として登録されております。
 ・一般に中学生以降に行われるの永久歯に生え変わった後の矯正治療

永久歯に生え変わった段階では、上下の歯のかみ合わせ、歯の大きさによって治療方針が決まります。この段階では大きく分けて、(a) そのまますべての永久歯を並べる治療と(b)顎に比べて歯が大きすぎるため、あるいは出っ歯などで歯を引っ込めたいときに、歯の数を間引いて残りの歯を並べてかみ合わせを完成する治療、に分けられます。一般に、歯の表面にエッジワイズ装置といわれる矯正装置を貼り付けて、針金をとおして歯並びを整える治療を行います。
お仕事の関係などで金属製の装置を貼り付けるのが難しい場合は、セラミック製の装置を選択することもあります。
(a) 骨格性の不正咬合: いわゆる出っ歯(上顎前突)や受け口(反対咬合)など、歯の大きさや生えている向きではなく、上下の顎の骨のアンバランスが原因でうまく噛めない不正咬合。また、歯の大きさに問題は無いが、歯並びを支える顎の骨が極端に狭くなっているような不正咬合。
(b) 歯性の不正咬合:上下の顎の骨のバランスは問題ないが、葉の向きや大きさが原因でうまく噛めない、あるいは歯磨きがしにくくて虫歯になりやすいような不正咬合。
(c) a,b,の混合型:骨格的なアンバランスと歯の大きさの問題の両方が見られる不正咬合
(a)全ての永久歯を並べられる場合:成長期に歯並びをうまく拡げることができた場合や、骨格性の不正咬合の改善がうまくいって歯の大きさには問題が無い場合には、ずべての永久歯を並べることが可能になります。

(b)歯の数を間引いて残りの歯を並べる治療(右の写真):
歯が大きすぎたり、顎の骨の形が狭い場合で何らかの理由で成長期にうまく歯並びが拡がらなかった場合や、第2成長期に骨格的な顎のアンバランスがより大きくなってしまうような成長パターンの患者様の場合(特に受け口で背が高くなる患者様など)、歯が大きすぎるけれどもこの時期から治療を始める場合などは、無理に全ての歯を並べるよりは、歯の数を減らして残りの歯を無理なく並べる治療を行うことがよくあります。

歯の傾きが原因の受け口

金属の装置

セラミックの装置

抜歯する前

抜歯して矯正治療した結果

上の歯並びを広げる装置

治療費(消費税別)
治療時契約金 治療開始時契約金
(前期治療のみの場合を除く)
400,000
前期治療のみの場合
(すべての乳歯が永久歯に生え変わる前までに、必要な矯正治療が終了できる患者様の場合)
250,000
後期治療が必要となった場合
(前期治療を終えて一旦治療が終了した方で、さらに何年か後に永久歯の矯正治療が必要になった場合)
200,000
付加装置料 ミニインプラントピンの埋め込み
(一本につき)
6,400
セラミックブラケット
(上下前歯6本使用の場合)
30,000
調整料 月毎に
(一ヶ月中の来院日数にかかわらず)
5,000
経過観察料 来院月毎に 3,000

永久歯を抜歯した症例
14歳 女性 前歯の歯並びを直したいとのことで来院。
全ての歯の並べられるだけの顎の大きさがなかったため、歯の数を減らして並べることになりました。
上下第1小臼歯を抜歯してエッジワイズ装置(上の写真の装置装置)を用いて治療しました。矯正歯科治療期間 2年2か月 。
かかった治療費: 約60万円(検査から治療終了まで)
治療中の問題点: 矯正装置装着中にブラッシングが不良となりう蝕が発生したため、矯正治療しながら、治療しました。

歯 列 矯 正について

当院は、大阪市障害者自立支援法における育成医療の歯科矯正医療の指定機関として口唇裂口蓋裂に起因する不正咬合の矯正治療を行っています。
また顎口腔機能診断の施設基準の承認済み機関として、顎変形症患者の外科的矯正治療に係る矯正治療を行っています。

治療費について  

矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
@ 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間〜1、2 週間で慣れることが多いです。
A 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
B 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重 要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
C 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まります ので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと 隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
D 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がること があります。
E ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
F ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
G 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
H 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあり ます。
I 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
J 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
K 矯正装置を誤飲する可能性があります。
L 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する 可能性があります。
M 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
N 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物) などをやりなおす可能性があります。
O あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
P 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えてい る骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる ことがあります。
Q 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
 不正咬合は、その原因によって、(a) 骨格性の不正咬合、 (b) 歯性の不正咬合、および(c)それらの混合型に分類されます。当院では、患者様の年齢および歯並びの状態によって、以下の治療時期に分けた治療を行っております。

・前期治療:乳歯から永久歯への生え変わりの時期に、顎の成長のコントロール、早めに生えてくる永久歯の前歯の移動、歯並びの拡大などを行います。このような治療のみで矯正治療を終われる患者様もいらっしゃいます。

・後期治療::中学生以降で永久歯が生えそろった時点で、最終的なかみ合わせを作ります。前期治療のみで矯正治療が終われなかった患者様は引き続き後期治療に入ります。

・成人の矯正治療: 青年期以降でも矯正治療は可能です。ただし、骨格的な問題は、成長期と違って解決できないので、歯を動かすことのみでかみ合わせを治療することになります。

・外科的矯正治療: 上下の顎の骨格的なアンバランスが大きくて、歯を動かすだけではかみ合わせを改善することが困難な場合、直接顎の骨を動かす外科手術を併用した矯正治療を行います。

下あごの骨自体が大きい受け口