　当院では、深く進行した虫歯をできるだけ神経を残して治す、3-Mix MP法による治療を行っています。

　通常、ある程度虫歯が深く進行すると、歯髄と呼ばれる歯の内部の神経、血管を含む組織近くまで細菌が進入して、痛みを与えるようになります。従来はこのような虫歯では、歯髄を除去して、痛まないようにしていました。しかし、歯髄を除去すると、歯が脆くなり、虫歯を何らかの材料でつめただけでは割れやすくなることから、最終的に歯を金属あるいはその他の材質で被せることになります。このような処置をした歯は、長期的にはさらに悪くなる可能性が高くなり、最終的に歯を失ってしまう確率が高くなります。
　歯を大事にするためには、できるだけ歯髄の部分を残す治療、俗に[歯の神経」を残す治療を選択することが重要です。
　当院では、深い虫歯でも歯髄をできるだけ残すように、深い虫歯の表面に抗生物質の混合剤を作用させて、歯の中を無菌的にする治療、「３－Mix MP法」を行っております。

歯髄(歯の神経）近くまで進行した虫歯です。細菌が侵入している部分（右の図で黒い部分)をすべて除去すると、歯髄（赤い部分）に穿孔して、痛みが止まらなくなります。そこで、歯髄に近い黒い部分を残して治療するようにします。

虫歯になって溶けている部分を取り除きますが、歯髄に近いところの虫歯の部分はわざと残すようにします。通常この程度まで歯を削っても痛みはほとんど感じません。虫歯を削った底の部分の上に抗生物質の混合剤（黄色）を貼付します。

抗生物質が作用すると、残した虫歯の部分は無菌状態となり、再び歯の中から石灰質が運ばれて、硬い歯に戻ります。このようにして歯髄を安全に保護するように虫歯を治します。

深い虫歯の上の部分を削りました。色の濃い部分が歯髄に近い虫歯の部分です。虫歯が進行していますので、上の部分を削っている間には強い痛みはありません。