(財)全国青少年教化協議会(全青協)という団体の機関誌「ぴっぱら」の11-12月号に草加市子ども会の記事を載せていただきました。全青協はお寺子ども会などを支援するなど子どもたちの健全育成を目的とした団体だそうです。取材していただきありがとうございました。
(記事内容)
TOPIC 「子どもによる、子どものための子ども会」
埼玉県の南東部に位置する草加市。東京に隣接し交通の便もよいことから、ベッドタウンとして若い世帯や子供の数が比較的多い地域だ。
かつては地域の子ども会活動も盛んだったが、少子化の影響などにより、近年では活動の規模は小さくなり、団体数も大幅に減少している。
そんな中、若者たちの手により、市内のどの地域の子ども達でも参加できる新しい子ども会「草加市子ども会」が、3年前発足した。
◆若きリーダーたち
同会を立ち上げたのは、市内の子ども会連合組織である「草加市子ども会育成者連絡協議会(草子連)」に所属するジュニアリーダーたちだ。ジュニアリーダーとは、研修を受け認定された、高校生、大学生の子ども会指導者のことだ。
会長を務める駒澤大学3年生の安高昌輝さんは、「異年齢の子どもたちがふれあい、共通体験をもつ機会が失われていることに危機感を覚えました」と語る。自身も幼いころから子ども会に参加し、野球などに興味が移りつつも、現在まで関わってきた。研修を受け勉強していくうちに、面白さとやりがいをおぼえるようになったそうだ。
設立にかかわったメンバーは6人ほど。現在では、中学生から大学生までが運営に携わる。保護者から会費を集め、宿泊キャンプをはじめ、流しそうめん大会やスポーツ大会など、学生生活の合間を縫って月に一度の行事を行っている。
また、もっと子ども会の良さを知ってもらおうと、春には草子連とともに小学校に案内を出し、「体験会」を行っている。子どもたちにはゲームなどを体験してもらい、保護者には併せて説明会を行うというしくみで、新規の参加者を募っている。
◆こだわりは「子ども中心」
「子どもによる、子どものための子ども会」を目指しているという同会。行事は、すべて子どもたちとの話し合いにより決まる。去る9月20日・21日に開催された「子ども企画秋キャンプ」は、まさに3年間で最も“子ども中心”の手ごたえが感じられた催しとなったそうだ。
子どもたちと事前に行った会議は全3回におよぶ。キャンプファイヤー、ゲームなど、子どもたちの「これがやりたい!」という発想を、リーダーが予算や時間と相談しつつまとめていく。ゲームなどの司会も、配役をきめて子どもたち自身が行った。
当日は、木の実などの「アイテム」を集め、飾り付けてポイントを競う「素材ツアー」という子ども達オリジナルのゲームが、最高の盛り上がりを見せたという。
毎月の行事を通じて、リーダーは少しずつ子どもたちの性格を把握してきた。「この2人を組ませたらうまくいくかも」「この子は頼りにしてみせたら『しょうがないな〜俺がやるよ!』と頑張ってくれそうだ」などと、細かい采配が運営に活きてくる。
◆大切なのは充実感
これまで、リーダーたちは保護者の信頼を得ることに苦心してきた。何か問題が生じたときに、若い彼らが年上の保護者達を納得させていくのは簡単ではない。彼らはその都度、話し合いを重ね乗り越えてきた。おかげでいまでは協力者も増え、関係は安定してきている。
大変なことも多いが、やってよかったと思うことも多いと安高さんは言う。たとえば活動の中で、ふとした拍子に子どもたちが他の子への優しさや気遣いを見せることがある。そんな時には、「コイツ、成長したな〜」と、しみじみとうれしさがこみ上げてくるそうだ。
「後を継ぐ後輩のためにも、ここ1〜2年で運営を安定させたい」と言う安高さんは、もうすぐ就職活動の時期を迎える。「使命感だけではこの活動は続かない。後輩たちには何より充実感を味わってほしい」と語る若い横顔は、誰よりも頼もしいリーダーのそれだった。