かつて人はいった。

敵を知り己を知らば百戦危うからず、と。

敵については今だ分からない。

なら私達がすべき事はなんだろう


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――The First Battle――

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「これで6人揃うて、
 いざ遺跡に潜るわけやけど――」
いざ遺跡の中へと意気込んだ処で、
不意に晃が口を開いた。
何か不備でもあったかな?
と思い返すも、
潜る準備は万端で、
別段不備なんてものは無さそうなんだけど…
「あ、あれ?
 何か忘れ物でもあったっけ?
 ちゃんと確認したから忘れ物はないはずなんだけど?」
「ああ、そういう事ではなくて――
 魅月はんも入った事やし、
 改めてお互いの実力を確認すべきや思うて…
 ここらで1つ模擬戦でもと思うたんやけど、
 どないやろ?」
あ、成る程、
そういう事か。
確かにお互いの力を模擬戦で理解するのは必要かもしれない。
昔の仲間達ともそうやって何度も模擬戦を繰り返した記憶がある。
「それは良い考えだねぇ、
  いいでしょオーケーやりましょ?」
「ほなら、他の人にも聞いて見ます。
 賛同してもらえてよぅおました。」
「じゃ、私の方でも聞いてみるから、
 手分けしてやろう!」
それにしても、
模擬戦か、
懐かしいなぁ。
前にここに来た時も、
仲間達とよくやったものだし、
今回もやって絆をもっともっと深めれるといいな。

が、
藤九郎、エモ、奏には了解を取り付けられたものの…
「嫌よ。」
魅月に嫌と一刀両断された。
うーん。
心配いらないんだけどなぁ…
「うーん。
 そこをなんとかっていう雰囲気でもないよね。
 でも、なんで嫌なの?」
「…加減が出来ないから。」
「大丈夫だって、
 だからこそやってみなきゃって思うのさ。
 みんなの事…
 魅月の事もっとよく知りたいし…」
「…」
ね?とお願いしてみるけど、
表情が一切変わらない。
これは失敗したかなぁ。
そう思った矢先だった。
「ふぅ…
 良いわよ。練習試合。
 どうなっても知らないとはいっておくわ。」
「うん、ありがとう魅月!」
どうやら向こうも反対しても無駄と思ったらしく、
なんとか了承してくれた。
後はいざ練習試合を残すのみ。
なんだか楽しくなってきたなぁ。
魅月はどんな戦い方するんだろう?
誰も知らないみたいだけど…

そして、いざ練習試合が始まる。
「ぼさぁとしぃはったら喰われますえ?」
開始と同時に晃が短剣を投げるが、
それをしっかり藤九郎がちゃぶだいで受け止める。
凄い…ちゃぶ台ってあんな使い方があったんだ…!
そして、魅月の方をちらりと見る。
全く戦う気配はないのだけ…ど?
背筋に戦慄が走る。
「えっ…!」
「は…?」
「なっ…!」
一瞬だけ“見えた”
透明な無数の霊が私達に絡みついてくるのが。
その力は酷く弱いが、
数が余りにも多すぎる。
そして、それを狙い澄ましたかのようにエモさんの攻撃が飛んでくる。
なんていう連携…!
しかも、絡みついた霊達で動けない隙に様々な攻撃を叩き込んでくる。
攻撃も中々届かない。
なんとか回復しながら戦うけれど、
どんどんとジリ貧になっていく――
「これは不味い…ねぃ…!」
必死に歯を食いしばって戦うが――
本当に不味い。
それにしても、魅月の戦い方を見てると、
ビュタレを思い出す。
――そういえばあの時――
思い出して気をとられた隙に、
どんどんと周囲に集まって来る霊達。
「レイナはん、危ない!」
「ちょっと、ぼーっとしてたら不味いって…!」
晃と奏の声で我にかえった時にはもう遅い。
「しまっ――多ッ…!」
一瞬の油断が敗北を招く。
霊の群れに押しつぶされ、私の意識は途絶えた――

「…大丈夫?」
気がつくと、私は寝かされていた。
「大丈夫大丈夫。
 強いねぃ…魅月は。」
「…私は弱いわよ。
 貴女が気を緩めたからに過ぎないわ。」
「それでもさ――
 それにそんな事はないと思うんだけどなぁ…」
よいしょっと起き上がる。
あんまり横になって看病させてても悪いから。
「…あら、膝枕はもう良いの?」
「えっ。
 そんな事されてたんだ!?
 気づかなかった…」
「……まぁ、気絶してたものね。
 それじゃ、私は先に行くわ。」
クスリと笑って魅月が背を向けて去る。
「…ん、またやろうね!
 楽しかったよ!」
その背中に向けて笑顔で告げる。
きっと…これを切っ掛けに彼女と仲良くなれる気がしたから――

■第四回 文章コミュイベント■
題材:第3回更新練習試合