ふとした切っ掛けだった。
この島に来る事になったのは。
その切っ掛けがなんだったのか、
瞳を閉じれば今でも鮮明に思い出せる。
そう、あれは―――
* * * * * * * * *
「……その秘宝があれば、
私はもう霊達に悩まされる事は無い、と?」
「ヒェヒェヒェ…その通り。
ただし、その秘宝は今や、暴走し続ける島の中、
それに秘宝を持ち帰る為には試練が待ち受けるがのぅ。」
学校の校舎の校門のすぐ傍で、占いをしていた老婆。
学校から人が帰り、
既に私以外誰も残っていないのに…
じっと、身じろぎもせず店を開いていたのに興味をそそられ、
私は話しかけた。
ほんの興味本位だったとはいうのに、
私の特殊な体質に気づいたのには本当に驚かされた。
そして、私が、
なんとかする術を知っているとでもと問うた答えこそが、
島の秘宝の話だった。
「…で、それを私に話す理由と、
行き方は?」
「…ヒェヒェ…話は早い。
何。
その方が面白いものが見れると思っただけでございますよ。
そして、行き方については…
この手紙に書いてあるとおりにすれば…」
差し出された手紙を受け取る。
「…まぁ、良いわ。
無くてもそれはそれで…
また別の方法を探し続ける。
それが私の生き方だから…
それじゃ、ありがとう。
この世に在らざるお婆さん?」
そしてそのまま踵を返し、
今まで通い、潜伏してきた学校を離れる。
島へと足を運ぶ為に…
* * * * * * * * *
――再び瞳を開く。
目の前にあるのは賑やかな光景。
様々な人々、
中には人でないもの達もいるようだが――
ともあれ、
本で読むような話に出てくるような者達の姿が見える。
(…まるで夢でも見ているよう。
でも、現実ね…
私のようなものがいるのだから、
不思議ではあれど、
否定するまでの要員は無い…)
この光景を一人で勝手に歩を進めると、
不意に声をかけられる。
そこにいたのは数名の人物。
――良かったら一緒に行かない?
一人よりも大勢でいった方が良いと思うの――
なるほど、確かにその通り。
私は1つ頷いて皆と共に行動を取る事にした。
1つの言葉を投げかけてから。
「…構わない。
けれど、その前に言っておく事があるの。
私が居れば霊を呼び寄せる。
貴方達に凶運、災厄をもたらすかもしれない。
それに私は大して力はないの。
ただの女子高生だから。
それでもよければ…
是非お願いするわ。
――フフッ、宜しくね…」
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