このWebSiteのテーマでもある「中度難聴」、これって実際にどの程度のものを指すんでしょうか。
「軽度」「中度」「重度」と分けるとお硬い感じがして、真実的にキッチリ区分けが出来てそうに感じます。しかし実は聴力の分類ってのは、学問的な世界も含めて結構曖昧で人それぞれでバラバラなんです。
「聾」という単語、これは世間ではおそらく「何も聞こえない」という意味で使われていると思います。ボク自身もそういう意味で使います。
しかし医学的には90dB以上が「聾」という分類になっています。この聴力ですと補聴器を使わないと殆ど聞こえない(例えば後ろから来る車の音が聞こえない等)と思われますが、しかし少なくとも聞こえてはいます。それでも医学的には「聾」なのです。
一方、全く音が聞こえない状態を「重度の難聴」と捉えることで、例えば100dBの聴力であっても何も聞こえないよりは軽いので、100dBの聴力を「中度の難聴」と認識する場合があります。
「障害者手帳を持ってる人が重度の障害者でそうでない人は普通」というゼロか1かの単純明快な図式が、是非はともかくとして世間一般の漠然とした常識です。
ちなみに教育関係の学会方面では、教育を伝えることが最優先となることから、授業内容が聞こえるか否かでラインが引かれるようです。
何も聞えない等声での伝達が上手く出来ない人をして、「先天的な異常のため、授業内容を聞くということについて生まれ付き難がある」ということで、「難聴者」と定義しているようです。すなわち僕らのような「耳で聞くことが出来る」者は、授業的にはまぁまぁ問題はなく最優先課題ではないので、難聴者のカテゴリーには入らないワケです。
「難聴者は耳から言葉が入らないので、文章を記述するのが苦手である」という一節にそれが如実に出ています。
というわけで、TPOによってその分類は全然違ってくることがお分かりかと思います。そんなワケで、考え始めると「中度」って何だろ?とワケが判らなくなります。