中度難聴(感音性難聴)WebSite 【 静かの森 】

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「聞き取れない」と言おう

相手の話が上手く聞き取れなかった時、ついつい「聞えない」って言ってしまいませんか?

これって大きな間違いだってことに気付きました。
考えてみたら、「聞えない」って「音がしない(無音)」っていう意味ですよね。「スミマセン、耳が悪くて聞えないんですけど」って言われた方にしてみたら、音が聞えないんだから(無音なんだから)もっと大きい声で話そうと思うのが普通ってもんですよ。

でもボクらみたいな中度の感音性難聴って、「聞えない音」と「聞き取れない音」が混在してて、言葉は今一つ「聞き取れない」方なんですよね。「聞えない」んじゃないんです。聞えてはいるんです。「聞き取れない」という意味で「聞えない」と言ってしまってるんですよね。
でもそれは手前勝手な解釈で、相手は判りませんヨ。無駄に声を張り上げさせて何回も聞き直してしまうことにもなり兼ねません。悪循環です。申し訳ないことです。

今や全く聞えない方々も含めて「難聴者」という呼ばれ方をします。普通に聞える方々からすれば、「聞き取れない」という感覚は判りにくいものです。そこへもってきて「聞えない」と言うと、全く聞えない方々も含めて耳の悪い人はみんな一律的に音が聞えないものなのだと思われても不思議ではありません。

「難聴の方は耳から全く言葉が入ってこないため、日本語文法の文章が上手く出来ないと専門書に書いてありましたが、あなたの書く文章は普通と全く変わりありません。学説とは違うようなのですが、どのようにして言葉を学んだのですか?」 と聞かれたこともあります。

間違った認識が広まっている!偏見だ!理解がない!と憤慨する前に、まずこちらの状況を正確に伝えるのがマナーだと思うんですよ。
何と言っても相手は良く判らないんですから。
これは例えば、「手が痛い」と訴えてるのに全然的外れな対処しかしてくれない!私が○○だから差別している!許せない!と怒るので、良く良く聞いてみたら、痛いのは手は手でも腕の上の方だった、、という事態に似てると言えます。これでは逆に「勝手だ」と嫌がられてしまいます。

こちらの状況を正確に伝えなければ、相手方だって適切なフォローをしようにもやり様がないですよね。
健聴者なんだからその辺は察するべき、とするのは【甘え】です。難聴は見えません。健聴者だからって全てを見通すような飛び抜けた力を持ってるワケではありません。その辺はみんな同じハズですよネ。
間違った認識は、こちらサイドにも責任の一端があるように思えます。

聴覚障害者(ボクら中度難聴者も含めて)は情報障害者とも言われています。耳が悪いせいでボンヤリしてると思われがちなんですが、実は情報が入ってこないから反応できないだけ、ということです。
それだけに正確な情報を必要としている者が、自ら不正確な情報を提供するのはオカシイのではないかと思うのです。

聞えない時は「聞えない」、聞き取れない時は「聞き取れない」と言いましょうよ。


念のためお断りしておきますが、全く聞えない〜高度難聴の方々と軽・中度難聴者を区別するべきだ、と言ってるワケではありません。
フォローしてもらう相手には、まずこちら側の正確な情報を提供するべきだという主旨ですので、悪意に取ることのないよう、よろしくご了解下さい。