勿論、こちらとしても最大限の聞き取る努力はしておりますが、不幸にして話し手の口調と聞き取り能力が上手く噛み合わないこともあります。例え補聴器をつけていても、100%OKではないこともあります。
一度聞き直して聞き取れれば良いのですが、場合によっては何度聞き直してもサッパリ聞き取れないこともあります。そのような場合のフォローについての御紹介です。聞き直したら必ずこうしてほしいというワケではありません。
「お願いしたいフォロー」ということで、やもすると「やってもらって当たり前」的態度にも思えますでしょうが、言い直し回数を最小限に抑え、出来るだけスムースなコミュニケイションを目指すため、と御理解下さい。
聞き返すことが多い難聴者ですが、気軽に聞き返しているのではありません。聞き直される方と同じくらいの気持ちでいることを何卒御理解下さい。
ちなみに、この方法は耳の遠いお年寄りとの会話でも使えます。
内容 | 例 | 解説 | |
お願いしたいフォロー | 他の言葉の頭文字に置き換えて言い直す | サシミ ↓ サラリーマンのサ シクラメンのシ ミカンのミ | 他の言葉に置き換えることによって連想しやすい 例:*ラリーマン→*=サ |
失敗しがちなフォロー | @言葉そのものを大声で連呼する *注 | サシミ ↓ サシミ!サシミ!! | 聞き取れない言葉は叫んでも聞き取れないことが多い (特に電話) |
A言葉を単に分解して連呼する | サシミ ↓ サシミのサ! サシミのシ! サシミのミ! | 聞き取れない音は分解しても聞取り難く、更に連想し難い | |
B五十音の行で説明する | サシミ ↓ サシスセソのサ! サシスセソのシ! マミムメモのミ! | 聞き取れない音の五十音の行をベースにしても聞取り難く、更に全く想像がつかなくなる |
「サシミ」という単語があったとします。「ハシン」「カシニ」「ナシニ」などと聞き取れてしまうことがあると思います。実際は「*ぁ*ぃ*ぃ」(「*」は不明瞭な音:以下同じです)と聞こえています。「マミムメモ」は一旦口を閉じるので音がこもりがちで、「ン」と聞き違い易いです。「サ」から「シ」に移る時、歯を閉じて勢い良く息を吐き出すのか、かすれた音が判るので真ん中の音は「シ」らしいということは判ります。
このように聞き取れなかった単語を聞き返した時のフォローについて、次の表の「実際の聞こえ方」の内、どれが察し易いか見比べてみて下さい。
元の言葉 | 実際の聞こえ方 |
サシミ | *ァ*ィ*ィ |
サシミ! サシミッ!! サッシッミッ!!! | *ァ*ィ*ィ! *ァ*ィ*ィ!! *ァッ*ィッ*ィッ!!! |
サシミのサ! サシミのシ! サシミのミ! | *ァ*ィ*ィの*ァ! *ァ*ィ*ィの*ィ! *ァ*ィ*ィの*ィ! |
サシスセソのサ! サシスセソのシ! マミムメモのミ! | *ァ*ィ*ゥ*ェ*ォの*ァ! *ァ*ィ*ゥ*ェ*ォの*ィ! *ァ*ィ*ゥ*ェ*ォの*ィ! |
サラリーマンのサ シクラメンのシ ミカンのミ | *ァラリーマンの*ァ *ィクラメンの*ィ *ィカンの*ィ |
「サ」「シ」「ミ」というそれぞれの音が聞こえないのではなく、「s」「m」などの子音が判らないので、「サシミ」をベースにされても判り難いですし、聞き取れない音の五十音の行をベースにされても尚更判り難いというのがホントのところです。従って、他の判り易い単語の頭文字にしていただけると大変助かるのです。
例えば「サラリーマンのサ、シクラメンのシ、ミカンのミ」という具合です。「サ」「シ」「ミ」そのものが判らなくても、つまり「*ぁラリーマン」「*ぃクラメン」「*ぃカン」と聞けば「*」の部分を察することが出来るのです。仮に一度でダメでも、もう一度別の単語を出せば判ると思います。
ただし、例に出す単語が幾通りにも連想出来るものや、聞く方が知らない単語だと、事態は更に混迷化してしまいます。
例えば申し訳ないのですが「サトウのサ」はあまり良くない例です。
「*ぁトウの*ぁ」と聞こえてしまい、「サトウのサ」なのか「カトウのカ」なのか判らない場合があるからです。